京都の和菓子ガイド決定版!老舗からカフェまで目的別に紹介

京都の食文化

基本から知る京都の和菓子の世界へようこそ。この記事では、まず知りたい京都の和菓子とは何か、その定義から丁寧に解説します。宮中文化と茶の湯が育んだ京菓子の歴史を紐解き、京都の和菓子とお茶が織りなす最高のペアリングについてもご紹介。京都の四季を映す季節の和菓子や、まさに京の美意識を味わう食べる芸術ともいえる生菓子の魅力に迫ります。さらに、目的別に選ぶ京都の和菓子めぐりと題して、歴史を味わう京都の和菓子の老舗巡りから、地元民が選ぶ京都の和菓子ランキング、そして京都の絶品和菓子カフェ&甘味処7選まで、幅広くピックアップしました。祇園や嵐山といったエリア別に巡る和菓子屋さんガイド、思わず写真に撮りたくなるインスタ映えする京都のモダン和菓子、旅の思い出にぴったりな京都で楽しむ和菓子作り体験まとめなど、あなたの知らない京都の和菓子の楽しみ方が見つかるはずです。この記事を読めば、あなたの次の京都旅行が何倍も味わい深いものになるでしょう。五感で楽しむ奥深い京都の和菓子の魅力に、きっとあなたも引き込まれることでしょう。

  • 京菓子の歴史と文化的背景がわかる
  • 季節や芸術性といった京菓子の奥深い魅力がわかる
  • 老舗からカフェまで目的別におすすめのお店が見つかる
  • 和菓子作り体験など新しい楽しみ方を知ることができる

基本から知る京都の和菓子の世界

色とりどりの美しい京菓子が上品に並べられている様子。京都の和菓子の多様性と芸術性を象徴している。

  • まず知りたい京都の和菓子とは?
  • 宮中文化と茶の湯が育んだ京菓子の歴史
  • 京都の和菓子とお茶、最高のペアリング
  • 京都の四季を映す季節の和菓子
  • 京の美意識を味わう食べる芸術「生菓子」

まず知りたい京都の和菓子とは?

「京菓子」と「和菓子」、この二つの言葉を耳にした時、その違いを明確に説明できるでしょうか。結論から申し上げますと、京菓子は和菓子という大きな括りの一種です。そもそも和菓子という言葉自体、歴史的に見れば比較的新しいもので、文明開化に沸いた明治時代以降、海外から流入したパンやケーキなどの「洋菓子」と区別するために定着しました。

その中でも京菓子は、他の和菓子とは一線を画す特別な位置づけにあります。京菓子とは、その名の通り、かつて千年にわたり日本の都であった京都で、土地の職人によって作られる和菓子を指します。日本の政治・文化の中心地であった京都には、天皇がお住まいの宮中をはじめ、公家や格式高い寺社仏閣、そして茶道の家元が集まっていました。そのため、彼らに献上するための最高品質の菓子が常に求められたのです。

これらは「上菓子(じょうがし)」と呼ばれ、庶民が日常的に口にする「駄菓子」や「並菓子」とは、あらゆる面で明確な違いがありました。例えば材料一つをとっても、上菓子には当時極めて貴重だった白砂糖や、徳島産の「和三盆糖」、最高級とされる「丹波大納言小豆」などが惜しみなく使われました。一方で、庶民の菓子には黒糖や雑穀が主に用いられていたのです。

「有職故実」と京菓子

京菓子の発展を語る上で欠かせないのが、宮中や公家の儀式・年中行事のしきたりを定めた「有職故実(ゆうそくこじつ)」です。京の菓子司たちは、これらの儀式にふさわしいお菓子を作ることを通じて、意匠や製法の格式を高め、専門的な技術を磨き上げていきました。

また、上菓子は儀式や茶会といった特別な場で供されるため、単に味が良いだけでは不十分でした。その場にふさわしい物語性や、季節の移ろいを繊細に表現する芸術的な意匠が何よりも重視されたのです。このように、京菓子は日本の歴史や文化の根幹と深く結びつき、宮廷文化の雅やかさや、茶の湯の精神性の中で洗練され、独自の発展を遂げてきました。

言ってしまえば、京菓子は単なる地方のお菓子ではありません。日本の美意識、受け継がれてきた伝統、そして相手を思うおもてなしの心が凝縮された、五感で味わう文化そのものなのです。

京菓子のポイント

  • 和菓子という大きな枠組みの中の一つ
  • 京都の職人が京都で作る和菓子を指す(京菓子協同組合連合会の定義
  • 宮中や茶道など、都の文化とともに発展した「上菓子」をルーツに持つ

宮中文化と茶の湯が育んだ京菓子の歴史

京菓子の歴史は古く、その起源は平安時代(794年-1185年)にまで遡ります。当時の都、平安京では貴族文化が花開き、宮中行事などで菓子が用いられるようになりました。この頃の菓子は、遣唐使がもたらした「唐菓子(からくだもの)」の影響を強く受けています。米、麦、大豆などの粉をこねて様々な形にし、油で揚げたもので、神饌(神様へのお供え物)としても重要な役割を担っていました。

鎌倉時代から室町時代にかけては、茶の湯の文化が京菓子の発展に大きな影響を与えます。禅宗とともにお茶を飲む習慣が広まり、特に室町時代には千利休によって茶道が大成されました。当初、茶請けには果物や木の実が用いられていましたが、次第に茶席にふさわしい加工菓子が作られるようになります。茶席で濃厚な抹茶と合わせて供される菓子は、味はもちろんのこと、見た目の美しさや季節感が重要視され、芸術性を飛躍的に高めていきました。この頃、中国の「点心」から伝わった羊羹や饅頭も、日本の食文化に合わせて独自の進化を遂げます。

羊羹のルーツはスープだった?

「羊羹」という漢字が示す通り、元々は羊の肉を使ったスープでした。しかし、肉食を禁じられていた禅僧たちが、小豆や小麦粉を練って蒸し、羊の肝に似せたものを作ったのが日本の羊羹の始まりと言われています。現在の練り羊羹の形が完成するのは、寒天が発明された江戸時代のことです。

安土桃山時代には、ポルトガルからカステラ、金平糖、ボーロといった「南蛮菓子」が伝来します。砂糖や卵をふんだんに使った濃厚な甘さと斬新な食感は、当時の人々に衝撃を与えました。これらの新しい材料や製法は京の菓子職人たちに新たなインスピレーションを与え、京菓子はさらに多様な発展を遂げることになりました。

そして、平和な世の中が続いた江戸時代には、経済の発展とともに菓子作りが庶民の間にも広まります。京の職人たちは有職故実(朝廷や武家の礼儀・慣習)に基づいた伝統の技を守りながらも、趣向を凝らした美しい菓子を次々と生み出し、今日私たちが目にする京菓子文化の礎が築かれたのです。

京都の和菓子とお茶、最高のペアリング

静かな茶室で、抹茶と美しい京菓子がセットで提供されている。和菓子とお茶の伝統的なペアリングを示している。

京菓子と茶道は、切っても切れない深い関係にあります。茶席において和菓子は、単なるお茶請けではなく、一服のお茶をより深く、豊かに味わうための重要な役割を担っています。

茶道でいただく抹茶には、濃厚で格式高い「濃茶(こいちゃ)」と、日常的に楽しまれる「薄茶(うすちゃ)」があります。それぞれに合わせる和菓子も異なります。

  • 主菓子(おもがし): 濃茶の前にいただく、練り切りやきんとん、羊羹といったしっとりとした生菓子や半生菓子。ボリュームがあり、しっかりとした甘さが濃茶の力強い風味と調和します。
  • 干菓子(ひがし): 薄茶と一緒に出される、落雁や有平糖、煎餅といった水分の少ない乾いた菓子。軽やかで上品な甘さが、薄茶の爽やかな味わいを引き立てます。

先に和菓子をいただくことで、その上品な甘さが口の中に広がり、後から飲む抹茶の風味をまろやかにし、うま味や香りを一層引き立ててくれます。この味の対比と調和こそ、最高のペアリングが生み出す魅力と言えるでしょう。

また、茶席で出される和菓子は、亭主(もてなす側)から客への「おもてなしの心」の表現そのものです。その日の茶会のテーマや季節、お客様のことを想いながら選ばれた和菓子は、まさに空間を彩る芸術品。菓子が乗せられる器(菓子器)との取り合わせも亭主の腕の見せ所です。客は和菓子の意匠や菓銘(菓子の名前)から亭主の心遣いを汲み取り、それが会話のきっかけともなるのです。

お菓子のいただき方豆知識

茶席では、亭主から「お菓子をどうぞ」と勧められたら、懐紙(かいし)を取り出し、正客(その日の主賓)から順に菓子器からお菓子をいただきます。隣の客に「お先に」と会釈をするのは、共に席を囲む人々への配慮を示す日本の美しい作法の一つです。

このように、京都の和菓子とお茶の関係は、味覚だけに留まりません。季節感、美意識、おもてなしの精神といった、日本の伝統文化そのものを体現する、奥深いペアリングなのです。

京都の四季を映す季節の和菓子

春の桜、夏の涼、秋の紅葉、冬の雪を表現した4種類の京菓子。京都の和菓子が映し出す四季の美しさ。

京菓子の最も大きな魅力の一つが、巧みな季節感の表現です。古くから自然の移ろいを大切にしてきた京都の人々の美意識が、小さな菓子の中に凝縮されています。菓子職人たちは、季節の風景や風物詩を繊細な技術で写し取り、私たちに季節の訪れを教えてくれます。「季節を先取りする」のが粋とされ、実際の季節より少し早く店頭に並び始めるのも特徴です。

春の和菓子

長い冬が終わり、生命が芽吹く春。桜や菜の花、よもぎなどをモチーフにした、華やかで優しい色合いの和菓子が多く登場します。代表的なものに、関東風の「長命寺」と関西風の「道明寺」がある「桜餅」、よもぎを練り込んだ鮮やかな緑色の「草餅」、そして宮中行事に由来する「ひちぎり」や「花見団子」があります。

夏の和菓子

暑い夏には、見た目にも涼やかな和菓子が好まれます。透明な寒天を使った「錦玉羹(きんぎょくかん)」は、中に金魚や川の流れを描いたりと、涼を呼ぶデザインが特徴です。また、ぷるんとした食感の「わらび餅」や「葛切り」、そして6月30日の「夏越の祓」に、無病息災を願って食べられる「水無月」も夏の風物詩です。三角形のういろうは氷室の氷を、上の小豆は魔除けの意味を表しています。

秋の和菓子

実りの秋は、味覚も見た目も豊かな季節です。栗や柿、さつまいもなど、秋の味覚をふんだんに使った和菓子が店頭に並びます。茶巾で絞った「栗きんとん」は、まさに秋の味覚の王様。他にも、収穫を祝う「亥の子餅」や、紅葉や銀杏、月などをかたどった美しい「練り切り」が、秋の情景を見事に表現しています。

冬の和菓子

寒く厳しい冬には、温かみのある意匠や、凛とした空気感を表現した和菓子が見られます。新年を祝う宮中行事に由来する「花びら餅」、椿や水仙といった冬の花を模したもの、そして雪景色を表現した真っ白な「こなし」や「きんとん」など、静寂の中に春を待つ生命力を感じさせるデザインが特徴です。冬至に食べられる柚子を使ったお菓子も、この時期ならではの味わいです。

京の美意識を味わう食べる芸術「生菓子」

日本の和菓子職人が、繊細な練り切り(生菓子)を丁寧に手作りしている様子。京菓子の高度な技術と芸術性。

京菓子の中でも、特にその芸術性が際立つのが「生菓子(なまがし)」です。生菓子とは、水分含有量が30%以上の日持ちのしない菓子の総称で、主に茶席で使われる「上生菓子(じょうなまがし)」がその代表格です。

上生菓子は、餡(あん)を主材料とし、職人の卓越した手仕事によって四季折々の自然や風物詩が表現されます。その技法は多岐にわたり、それぞれに異なる食感や表現の可能性があります。

  • 練り切り(ねりきり):白餡に求肥(ぎゅうひ)や山の芋などをつなぎとして加えて練ったもの。絹のようになめらかで、着色しやすく、細工がしやすいため、花や鳥など繊細な形を作るのに最もよく用いられます。口に入れるとすっと溶けるような上品な食感が特徴です。
  • こなし:白餡に小麦粉や寒梅粉などを混ぜて蒸し、力強く揉みこなして粘りを出したもの。練り切りよりもややしっかりとした、もっちりとした食感が特徴で、京都で古くから伝わる伝統的な技法です。
  • きんとん:裏ごししてそぼろ状にした餡を、中の餡玉に箸で一本一本植え付けていく技法。山の景色や野に咲く花の可憐さ、菊の華やかさなどを表現するのに使われ、ふわっとした口当たりが楽しめます。

これらの生菓子には、一つひとつに「菓銘(かめい)」という詩的な名前が付けられています。菓銘は、源氏物語や古今和歌集といった古典文学、能や禅語、あるいはその年の干支から取られることも多く、その名を聞くことで、菓子の背景にある物語や情景を想像する楽しみがあります。

五感で味わう総合芸術

美しい形と色彩(視覚)、上品な甘さと香り(味覚・嗅覚)、なめらかな舌触り(触覚)、そして菓銘から広がる物語(聴覚)。京菓子は、まさに五感すべてで味わう総合芸術なのです。手のひらに乗る小さな宇宙ともいえるでしょう。


目的別に選ぶ京都の和菓子めぐり

  • 歴史を味わう京都の和菓子の老舗巡り
  • 地元民が選ぶ京都の和菓子ランキング
  • 京都の絶品和菓子カフェ&甘味処7選
  • 祇園・嵐山エリア別、和菓子屋さんガイド
  • インスタ映えする京都のモダン和菓子
  • 京都で楽しむ和菓子作り体験まとめ

歴史を味わう京都の和菓子の老舗巡り

千年の都・京都には、長い歴史を誇る和菓子の老舗が数多く存在します。時代を超えて受け継がれてきた伝統の味と技に触れることは、京都観光の醍醐味の一つです。ここでは、特に歴史の深い名店をいくつかご紹介します。

一文字屋和輔(いちもんじやわすけ)

今宮神社の参道に店を構える、日本最古の和菓子屋とも言われる老舗です。創業は平安時代中期の長保2年(1000年)。一条天皇が疫病退散を祈願したのが神社の始まりとされ、このあぶり餅も元々は神前にお供えされた厄除けの餅でした。メニューは「あぶり餅」ただ一つで、きな粉をまぶした親指ほどの餅を竹串に刺して炭火であぶり、白味噌のタレをかけた素朴な味わいが、千年以上にわたって人々を魅了し続けています。向かいには同じくあぶり餅を商う「かざりや」があり、両店が並ぶ風景は時代劇の一幕のようです。

俵屋吉富(たわらやよしとみ)

宝暦5年(1755年)創業。烏丸の本店は、有職故実に基づいた風格ある店構えで、宮家や寺社、茶道家元の御用達を務めてきた京菓子司です。代表銘菓の「雲龍」は、丹波大納言小豆の粒餡と村雨餡を一本ずつ手で巻き上げた棹物菓子で、龍が雲の中を勇壮に飛ぶ姿を表現しています。本店に併設された「京菓子資料館」では、京菓子の歴史や文化を学ぶこともできます。

鍵善良房(かぎぜんよしふさ)

享保年間(1716年~1736年)に、祇園の地で創業した老舗です。こちらの代名詞とも言えるのが、名物の「くずきり」。注文を受けてから作るつるりとした喉越しのくずきりを、奥深い味わいの黒蜜または上品な甘さの白蜜でいただくスタイルは、祇園を訪れる多くの人々のお目当てとなっています。菊の御紋をかたどった美しい干菓子「菊寿糖」や、季節の上生菓子もまた絶品です。

ご紹介した老舗
店名 創業 代表銘菓 特徴
一文字屋和輔 平安時代(1000年) あぶり餅 日本最古とも言われる歴史。疫病退散祈願に由来する素朴な味わい。
俵屋吉富 江戸時代(1755年) 雲龍 宮家御用達の格式。京菓子資料館も併設。
鍵善良房 江戸時代(享保年間) くずきり 祇園の風情と共に味わう、作りたての甘味。干菓子も美しい。

地元民が選ぶ京都の和菓子ランキング

お土産選びに迷ったら、地元の人々にも長く愛されている定番の和菓子を選ぶのがおすすめです。ここでは、特定の調査に基づく公式なランキングではありませんが、京都土産として常に人気上位に挙げられる、間違いのない銘菓をいくつかご紹介します。

第1位:阿闍梨餅(あじゃりもち)

「阿闍梨餅本舗 満月」が作る、京都土産の絶対的エース。その名は、厳しい修行を行う高僧「阿闍梨」がかぶる網代笠に形が似ていることに由来します。もちもちとした独特の食感の皮は、餅粉をベースに様々な素材を秘伝の製法で練り上げたもの。その皮で、あっさりと炊き上げた丹波大納言小豆の粒餡を包んでいます。しっとりとした皮と上品な餡の甘さのバランスが絶妙で、一つ、また一つと手が伸びる美味しさです。個包装で配りやすいのも人気の理由です。

第2位:生八つ橋(なまやつはし)

京都の和菓子と聞いて、多くの人が思い浮かべるのが「八つ橋」ではないでしょうか。その名の由来は、箏曲の創始者・八橋検校にちなむ説や、伊勢物語の舞台となった三河国八橋の板橋を模した説など諸説あります。米粉や砂糖、ニッキ(シナモン)を混ぜて蒸した生地は、焼いたものと、近年主流の焼かずに餡を包んだ「生八つ橋」があります。定番のニッキや抹茶味のほか、チョコレートや季節のフルーツを使ったものなど、お店によって様々なバリエーションがあり、選ぶ楽しみも豊富です。

第3位:お濃茶ラングドシャ 茶の菓(ちゃのか)

洋菓子の要素を取り入れつつ、京都らしさを存分に感じられる逸品が「マールブランシュ」の「茶の菓」です。使われているのは、厳選した宇治の茶葉を「茶の菓」のためだけに合組(ブレンド)したこだわりの「お濃茶」。そのお濃茶を練り込んだラングドシャで、ミルク感豊かなオリジナルのホワイトチョコレートをサンドしています。サクッとした食感と、抹茶の濃厚な香りとほろ苦さが口いっぱいに広がり、和と洋が見事に融合した味わいは、幅広い世代に支持されています。(参照:マールブランシュ公式サイト

購入時の注意点

特に「阿闍梨餅」や一部の「生八つ橋」は、保存料を使用していないため賞味期限が比較的短めです(製造日から5日~1週間程度)。お土産として渡す日を考慮して購入することをおすすめします。多くの商品は京都駅の売店でも購入可能ですが、本店でしか味わえない雰囲気や限定品もあります。

京都の絶品和菓子カフェ&甘味処7選

美しい日本庭園を眺められる、京都の和モダンな和菓子カフェの店内。落ち着いた空間で甘味を楽しめる。

お土産として持ち帰るだけでなく、京都の風情ある空間でゆっくりと和菓子を味わう時間は、旅の何よりの楽しみになるでしょう。作りたてでなければ味わえない繊細な甘味や、美しい庭園を眺めながら過ごすひとときは、格別な思い出を刻んでくれます。ここでは、店内でこそ味わいたい絶品和菓子が楽しめるカフェや甘味処を厳選して7軒ご紹介します。

1. 茶寮 宝泉(さりょう ほうせん)

下鴨神社のほど近く、閑静な住宅街にひっそりと佇む数寄屋造りの名店です。暖簾をくぐると、手入れの行き届いた息をのむほど美しい日本庭園が迎えてくれます。こちらの名物は、なんと言っても注文を受けてから練り上げる「わらび餅」に尽きます。現在では大変希少となった国産の本わらび粉を100%使用しており、その独特の弾力と、とろけるような口どけは他では決して味わえません。添えられた濃厚な黒蜜が、わらび餅本来の風味をさらに引き立てます。静寂の中で庭を愛でながらいただく一口は、忘れられない贅沢な時間となるでしょう。

訪問のポイント

京都中心部からは少し離れていますが、その分、観光地の喧騒を忘れて落ち着いた時間を過ごせます。行列ができることも多いため、時間に余裕を持って訪れることをお勧めします。

2. 都路里(つじり)

宇治茶の老舗「祇園辻利」が、お茶の正しい淹れ方と飲み方を多くの人に伝えたいという想いから開いた茶寮です。祇園本店は常に行列ができるほどの人気で、抹茶をふんだんに使ったパフェが看板メニューとして知られています。中でも一番人気の「特選都路里パフェ」は、抹茶ホイップクリーム、白玉、抹茶ゼリー、小豆、抹茶カステラなどが美しい層をなし、様々な食感と抹茶の豊かな風味を一度に楽しめる逸品です。季節ごとに登場する限定パフェも見逃せません。

3. 鍵善良房(かぎぜんよしふさ)

前述の通り、祇園の地で江戸時代から続く老舗です。お土産として有名な干菓子もさることながら、店内の喫茶室でぜひ味わっていただきたいのが名物の「くずきり」です。注文が入ってから作るできたての葛は、つるりとした喉越しと心地よい弾力が特徴。奥深い味わいの黒蜜、または上品な甘さの白蜜に絡めていただけば、祇園の粋な風情を舌で感じることができます。夏場はもちろん、冬でも温かい部屋でいただく冷たいくずきりは格別です。

4. ぎをん小森

花見小路から少し入った、白川のほとりに佇む甘味処です。元はお茶屋だったという趣のある町家を改装しており、風情あるお座敷でゆったりと甘味をいただけます。こちらの人気メニューは「わらびもちパフェ」。抹茶アイスや抹茶ゼリーの上に、ぷるぷるの大きな本わらび餅が乗った贅沢な一品です。窓から見える白川の流れや石畳の景色もご馳走の一つと言えるでしょう。

5. 出町ふたば

こちらはカフェではありませんが、作りたてをその場で味わうという点で、最高の甘味処の一つです。創業明治32年、いつも行列が絶えないことで有名な餅菓子専門店。看板商品の「名代豆餅」は、ほんのり塩気のきいた赤えんどう豆がごろごろと入った柔らかいお餅で、こし餡の上品な甘さを引き立てます。多くの人が、購入してすぐそばの鴨川デルタ(賀茂川と高野川の合流地点)まで歩き、川の流れを眺めながら頬張るのが定番の楽しみ方です。

6. 中村藤吉本店 京都駅店

宇治に本店を構える安政元年創業の老舗お茶屋です。京都駅の便利な立地にありながら、本格的な宇治茶スイーツが楽しめるとあって大変な人気を博しています。ぜひ試していただきたいのが、竹の器で提供される「生茶ゼリイ」。ぷるぷるとした食感の濃厚な抹茶ゼリイに、白玉、小豆、そして抹茶アイスが添えられています。宇治本店まで行かずとも、最高品質の抹茶の味わいを堪能できる貴重な一軒です。

7. 然花抄院(ぜんかしょういん) 京都室町本店

室町通に佇む、呉服問屋であった築300年の町家を改装したお菓子屋さんです。ギャラリーも併設された洗練された空間で、「然」カステラをはじめとする創作和菓子がいただけます。併設の「茶庭(さてい)」では、中庭を眺めながら、看板商品のカステラや季節の生菓子、お抹茶などを楽しめます。しっとりとした食感の「「然」カステラ」は丹波黒豆を食べて京都で育った鶏の卵を使用しており、濃厚な味わいが特徴です。伝統とモダンが見事に融合した空間で、静かな時間を過ごしたい方におすすめです。

祇園・嵐山エリア別、和菓子屋さんガイド

京都を代表する観光地である祇園と嵐山。散策の途中に立ち寄りたい、それぞれのエリアでおすすめの和菓子屋さんをご紹介します。

祇園エリア

舞妓さんが行き交う花街・祇園は、老舗の甘味処が軒を連ねるエリアです。石畳の道を歩きながら、風情あるお店を訪ねてみましょう。

  • 鍵善良房:前述の通り、名物の「くずきり」は必食です。祇園の情緒を感じながら、ひんやりとした喉越しを楽しんでください。
  • ぎおん徳屋:国産の本わらび粉と和三盆で練り上げた、とろとろ食感の「徳屋の本わらびもち」が人気。夏にはかき氷も絶品です。
  • 祇園小石:創業80年以上の京飴の老舗が手がける甘味処。秘伝の黒糖を使った「黒糖みつパフェ」が看板メニューです。
  • ZENCAFE:鍵善良房がプロデュースするモダンなカフェ。特製の葛もちと季節のフルーツ、こだわりのコーヒーが楽しめます。

嵐山エリア

渡月橋や竹林の道など、豊かな自然が魅力の嵐山。美しい景色と共に味わう和菓子は格別です。

  • 鶴屋寿(つるやことぶき):道明寺を使った上品な桜餅「嵐山さ久ら餅」が有名。塩漬けの桜の葉二枚で包まれており、一年を通して購入できます。
  • 老松(おいまつ) 嵐山店:有職菓子司として知られる老舗。夏柑(なつかん)を丸ごと使った涼菓「夏柑糖」はあまりにも有名。併設の茶房「玄以庵」では、季節の上生菓子と抹茶がいただけます。
  • eXcafe(イクスカフェ)京都嵐山本店:広大な日本庭園を持つ旧邸宅を改装した和モダンなカフェ。自分で七輪で焼く「ほくほく、お団子セット」が人気で、よもぎと白の団子をみたらしと小豆につけていただきます。

どちらのエリアも魅力的なお店がたくさんありますね。散策で少し疲れたら、甘いもので休憩するのが京都観光のコツかもしれません。歩きながら楽しめるテイクアウトスイーツを探すのも楽しいですよ。

インスタ映えする京都のモダン和菓子

動物の形やパステルカラーが可愛らしい、インスタ映えする京都のモダン和菓子。伝統と革新の融合。

伝統的な京菓子だけでなく、近年は若い世代の職人やデザイナーによる新しい感性の和菓子も注目を集めています。思わず写真に撮りたくなるような、可愛くておしゃれなモダン和菓子は、新しい京都土産としても人気です。

UCHU wagashi

「人をわくわくさせたり、しあわせにする和菓子」をコンセプトに、デザイナーが手がける、カラフルでポップなデザインの「落雁(らくがん)」が人気のお店です。動物や積み木をかたどった可愛らしい落雁は、最高級の和三盆糖の上品な甘さと口どけの良さが特徴。パーツを組み合わせて絵を描くように楽しめる「drawing」シリーズなど、伝統的な和菓子に新しい価値を吹き込んでいます。

nikiniki(ニキニキ)

聖護院八ッ橋総本店がプロデュースする、生八つ橋の新しい楽しみ方を提案するお店。季節の花などをモチーフにしたカラフルな生八つ橋「カレ・ド・カネール」は、まるで宝石や洋菓子のようなビジュアル。また、好きな味の生地と餡、フルーツのコンフィなどを組み合わせて、自分だけのオリジナル生八つ橋を作ってその場で味わうこともできます。

果朋(かほう)

旬のフルーツを贅沢に使った、断面が美しい和菓子がSNSで話題のお店です。特に、みずみずしいフルーツと白餡、羽二重餅を透明な瓶に詰めた「果朋だんご -みかさ-」や、季節のフルーツをまるごと包んだ「珠玉」シリーズ(フルーツ大福)が人気。和と洋が融合した新しいスイーツは、見た目の華やかさだけでなく、素材の組み合わせの妙が光る逸品です。

京都で楽しむ和菓子作り体験まとめ

京都の和菓子作り体験教室で、参加者が笑顔で職人から教わっている様子。旅の楽しい思い出作り。

京都の和菓子を「食べる」だけでなく、「作る」楽しみを体験してみませんか?京都には、初心者でも気軽に京菓子作りを体験できる工房や教室がいくつかあります。職人の技に触れ、自分の手で美しいお菓子を生み出す時間は、旅の特別な思い出になることでしょう。

和菓子作りは、農林水産省が次世代に継承すべき食文化として選定する「うちの郷土料理」の一つでもあり、日本の文化を深く理解する素晴らしい機会です。

京菓子司よし廣

職人さんが丁寧に指導してくれるので、初めての方でも安心です。体験では、季節の上生菓子を3〜4種類作るコースが一般的。職人さんが目の前で見せてくれる繊細な手さばきは、まさに圧巻です。自分で作ったお菓子は、その場で抹茶と共にいただくか、素敵な箱に入れてお土産として持ち帰ることができます。

七條甘春堂(しちじょうかんしゅんどう)

三十三間堂の近くに本店を構える、慶応元年(1865年)創業の老舗。こちらでも和菓子作り体験教室が開催されています。季節の干菓子と練り切り菓子などを作ることができ、職人の繊細な技を間近で見られる貴重な機会。歴史あるお店の趣を感じながら、創作に没頭できます。

和菓子作り体験の基本情報

  • 所要時間: 約60分~90分が一般的です。
  • 料金目安: 2,500円~3,500円程度。
  • 持ち物: 特に必要ありませんが、エプロンがあると安心です(貸し出しがある場合も多い)。
  • 予約: ほとんどの教室で事前予約が必要です。旅行の計画を立てる際に、各店舗の公式サイトなどで詳細を確認し、予約しておくことをおすすめします。

五感で楽しむ奥深い京都の和菓子の魅力

  • 京菓子とは京都の職人が都の文化の中で育んだ特別な和菓子
  • その起源は平安時代にまで遡り千年以上の歴史を持つ
  • 茶の湯の文化と深く結びつき芸術性を高めてきた
  • 唐菓子や南蛮菓子など海外の文化も取り入れ発展した
  • 京菓子の最大の魅力は自然の移ろいを映す巧みな四季の表現にある
  • 春は桜、夏は涼、秋は実り、冬は雪景色など季節を先取りして映し出す
  • 生菓子は職人技が光る食べる芸術品ともいえる存在
  • 練り切りやきんとんなど様々な技法で花鳥風月を表現する
  • 一つひとつの菓子には古典文学や禅語にちなんだ菓銘が付くことがある
  • 京都には一文字屋和輔など千年続く歴史ある老舗が点在する
  • 阿闍梨餅や生八つ橋は時代を超えて愛される定番のお土産
  • 茶寮 宝泉のように美しい庭園を眺めながら甘味を楽しめるカフェもある
  • 祇園や嵐山など観光エリアごとに特色ある和菓子屋を巡るのも楽しい
  • 近年ではデザイン性の高いモダンな和菓子も新しい京都土産として人気
  • 和菓子作り体験は京都の文化をより深く知り旅の特別な思い出になる
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