こんにちは。日本文化ラボ(Nippon Culture Lab)の「samuraiyan(さむらいやん)」です。
京都への旅行や出張が決まって、「せっかくだから美味しい朝ごはんを食べたいな」と計画を立てている方も多いのではないでしょうか。古都・京都といえば和食のイメージが強いかもしれませんが、実は総務省の家計調査などでも度々話題になるほど、パンの消費量が全国トップクラスの「パン好きの街」としても知られています。(出典:総務省統計局『家計調査』)

そんなパン愛あふれる京都だからこそ、少し早起きして、焼きたての香りに包まれながら一日をスタートさせるのは最高の贅沢です。しかし、いざ探してみると「ネットの情報だと7時開店って書いてあるけど、実際はどうなの?」「早朝から開いているお店はどこにあるの?」と、迷ってしまうことも少なくありません。
この記事では、私が実際に現地を歩き回り、時には地元の方に聞き込みをして見つけた、「朝6時半から開いているお店」や「エリアごとの朝パン活用術」について、どこよりも詳しくご紹介します。美味しいパンで始まる京都の朝は、きっとあなたの旅を特別なものにしてくれるはずですよ。
- 6時半からオープンしている京都ならではの早朝パン屋の実態
- 観光客だけでなく地元住民にも愛されるエリアごとの店舗情報
- イートインやモーニング利用に最適な時間帯とお店の選び方
- 人気のパンを確実に手に入れるための訪問タイミングとコツ
京都のパン屋の朝営業はなぜ早い?6時半開店の文化

京都の朝は、皆さんが想像している以上に早いんです。特にパン屋さんに関しては、一般的な7時開店よりもさらに30分早い「6時半」からオープンしているお店が、決して珍しくありません。なぜこれほどまでに朝が早いのか。その背景には、職人さんが多い京都ならではの産業構造や、新しいもの好きでありながら合理性を重んじる京都人の気質が深く関わっているように感じます。
西陣織の職人さんや学生さん、そして早朝から活動する寺社仏閣関係の方々など、朝早くからエネルギーを必要とする人々にとって、手軽に食べられて腹持ちの良いパンは、昔から欠かせない「生活の糧」だったのかもしれません。ここでは、そんな京都ならではの「6時半開店」という文化と、それを支える具体的なお店について、さらに深掘りしていきたいと思います。
6時半オープンの店と地元の暮らし
京都で「パン屋・朝営業」と検索して、まず驚かされるのがその開店時間の早さです。6時半という時間は、観光客がホテルを出発する時間よりもずっと早く、完全に地元の生活リズムに合わせて設定されています。この時間帯にパン屋さんに行くと、出勤前のスーツ姿の男性や、散歩帰りのお年寄り、部活へ向かう学生など、京都の「素顔」の朝の風景に出会うことができます。
その代表格とも言えるのが、京都駅の目の前、バスターミナルのすぐ近くにある「進々堂 JR京都駅前店」です。ここはなんと朝6時半からオープンしており、夜は22時まで営業しているという、まさに京都の玄関口を守る頼れる存在です。店内に入ると、ショーケースには焼き上がったばかりのクロワッサンやデニッシュがずらりと並び、香ばしいコーヒーの香りが漂っています。
私が以前、早朝の新幹線で東京へ向かう際、6時40分頃に立ち寄ったことがあるのですが、店内はすでにモーニングを楽しむ人や、テイクアウトでランチ用のパンを選ぶ人で賑わっていました。イートインスペースも充実しており、駅の雑踏を眺めながら、熱々のコーヒーとトーストで目を覚ます時間は、何物にも代えがたいひとときです。
進々堂 JR京都駅前店は年中無休で営業しています。早朝の出発前はもちろん、夜遅くに京都に到着した際にも、翌朝のパンを確保する場所として非常に重宝します。立地の良さはピカイチですので、困ったときはここを目指せば間違いありません。
右京区や左京区で愛される店舗
早朝営業のパン屋さんは、京都駅のような便利な中心部だけにあるわけではありません。むしろ、観光ガイドにはあまり載らないような住宅街にこそ、地元の人々に愛され続ける名店が潜んでいるんです。特に右京区や左京区といったエリアは、古くからの住宅地と大学などが混在しており、生活の一部として機能しているパン屋さんが点在しています。
例えば、右京区梅津にある「ベーカリーポシェット」。ここは6時半から営業している地域密着型のお店です。決して派手な店構えではありませんが、地元のお母さんたちが自転車で次々と訪れます。特に有名なのが、本場ドイツから直輸入した数種類のスパイスとフルーツをふんだんに使った本格的なシュトーレンですが、普段使いの食パンやクリームパンも絶品です。お店の方とお客さんの「おはよう、今日は寒いね」といった何気ない会話が聞こえてくるのも、この店ならではの魅力です。
また、左京区浄土寺エリアにある「ベーカリーヤマダ」も、同じく6時半オープンのお店として知られています。哲学の道や銀閣寺からも近いこのエリアは、静かな住宅街でありながら文化的な薫りが漂う場所。朝の散歩がてらに立ち寄り、焼きたてのパンを買って近くの公園やベンチで食べる。そんな贅沢な時間の使い方ができるのも、早朝営業のお店があってこそです。
こうしたお店は「観光客向け」に作られた体験ではなく、京都の人が送っている「普段の暮らし」そのものを味わえる場所です。少し足を延ばしてでも訪れる価値は十分にあります。
安い100円パンと朝のコスパ需要

毎日の朝食だからこそ、味だけでなく「価格」も非常に重要なポイントですよね。物価高が続く中でも、京都には「安くて美味しい」を実現している驚きのパン屋さんたちが頑張っています。その筆頭が、朝6時50分からオープンしている「感動の100円パン」です。
向日町店や鎌倉ベーカリー七条店などが展開されており、その名の通り、店内に並ぶ多くのパンが100円(税別)で提供されています。「100円だからサイズが小さいのかな?」と思いきや、そんなことはありません。ふっくらとした菓子パンから、具材がしっかり乗った惣菜パンまで、ボリュームも十分。これが100円で買えるのかと、初めて行った時は思わずトレー山盛りに買ってしまったほどです。
特に向日町店には、席数は少ないものの2席ほどのイートインスペースが用意されています。通勤・通学前にササッと朝食を済ませたい時や、小腹が空いた時の強い味方です。朝からカレーパンやウインナーロールなどのガッツリ系メニューも充実しているので、これから一日歩き回る観光前のエネルギーチャージにもぴったりです。
長期滞在をする方や、お子様連れの大家族での旅行の場合、朝食代もばかになりません。そんな時、こうしたコストパフォーマンス抜群の「100円パン」のお店を知っておくと、浮いた予算を夕食や拝観料に回せるので、旅の満足度がグッと上がりますよ。
まるき製パン所など人気店の魅力

京都のパン文化を語る上で、絶対に外せないレジェンド的な存在。それが松原通にある「まるき製パン所」です。創業から70年以上、地元で愛され続けるこのお店も、平日は朝6時半から営業しています。早朝にもかかわらず、お店の前には自転車や車が次々と止まり、ひっきりなしにお客さんが訪れる光景は、もはや京都の朝の風物詩と言っても過言ではありません。
お店の特徴は、なんといっても昭和の雰囲気を色濃く残すレトロな外観と、昔ながらの対面販売スタイルです。ガラスのショーケースには、名物のコッペパンサンドがずらり。「ハムロール」や「サラダロール」、「カツロール」といった惣菜系から、「あんぱん」「クリームパン」などの甘い系まで、シンプルながらも毎日食べたくなる味が揃っています。コッペパン自体が驚くほどふわふわで、具材とのバランスが絶妙なんです。
お店のお母さんたちに「これと、これください」と注文すると、手際よく袋に詰めてくれるやり取りも、温かみがあって素敵です。コンビニのパンとは一味も二味も違う、手作りの温もりを感じられる朝食になります。
訪問時に最も注意していただきたいのが営業時間です。平日は6時半オープンですが、週末や祝日は開店時間が7時になり、閉店も14時頃と早まります。「せっかく行ったのに閉まっていた!」とならないよう、曜日の確認は必須です。
京都にはまるき製パン所以外にも、歴史あるユニークなパン屋さんがたくさんあります。さらに深く知りたい方は、ぜひ以下の記事もチェックしてみてください。
売り切れ注意のパンを確保するコツ
人気店で美味しいパンを手に入れようとする時、最大の敵となるのが「売り切れ」です。特に京都の個人経営のパン屋さんは、その日に売る分だけを丁寧に手作りしていることが多く、大量生産のお店とは違って在庫に限りがあります。
例えば、七条にある「井上製パン」。7時台にオープンするこのお店は、地元の人たちから絶大な支持を集めています。特にカツサンドや、トマトとチーズを使ったカプレーゼなどの惣菜パンはファンが多く、朝のピークタイムを過ぎるとショーケースが空っぽになってしまうことも珍しくありません。「まだ9時だし大丈夫だろう」と思って行ったら、目当てのパンは影も形もなかった…という経験、私にもあります。
では、どうすれば確実に手に入るのでしょうか。
お目当てのパンを確保する3つの鉄則
- 開店直後を狙う: 基本にして最強の方法です。品揃えが最も豊富なのは、やはりオープン直後。焼きたてに出会える確率も高いです。
- 電話予約を活用する: お店によっては、前日や当日の朝に電話での取り置き(予約)に対応してくれる場合があります。「どうしても井上製パンのカツサンドが食べたい!」というような明確な目的がある場合は、ダメ元でも電話で確認してみることを強くおすすめします。
- 第2候補を決めておく: 万が一売り切れていた場合に備えて、近くの別のパン屋さんやカフェをリサーチしておくと、精神的なダメージを減らせます。
京都のパン屋で朝営業を楽しむエリア別活用ガイド
ここからは、実際に京都を訪れる皆さんが、自分の滞在先やスケジュールに合わせて最適なパン屋さんを選べるよう、エリアごとの活用ガイドをお届けします。京都駅周辺の便利な店舗から、烏丸御池のおしゃれなイートイン、そしてゆっくりモーニングを楽しめるお店まで、それぞれの特徴を知って使い分けてみてください。
京都駅周辺の7時に開く便利な店
京都駅は多くの旅行者にとって旅の拠点となる場所です。新幹線に乗る前、あるいは夜行バスで到着した直後など、駅周辺でサッと美味しいパンを買いたいというシチュエーションは多いはず。先ほど紹介した6時半オープンの「進々堂」以外にも、7時開店の素晴らしい選択肢がいくつかあります。
まずおすすめしたいのが、駅構内(南北自由通路沿いのお土産エリア内)にある「ブルディガラ エクスプレス 京名菓・名菜処 亰店」です。朝7時からオープンしており、改札からも近いため利便性は抜群。ここはハード系のパンや、発酵バターを使ったクロワッサンが評判で、駅ナカとは思えないクオリティの高さです。新幹線の車内で食べる朝食として、少しリッチな気分を味わいたい時に最適です。
また、駅から500mほど、徒歩で7〜8分歩いた場所にある「ルーク 本店」も7時オープンです。こちらは駅前の喧騒から少し離れた路地裏にあり、赤レンガ風の可愛らしい外観が目印。「街のパン屋さん」といった温かい雰囲気で、厳選素材を使ったパンが並びます。駅の近くでありながら、観光地価格ではない良心的な設定も魅力の一つ。時間に少し余裕があるなら、ここまで足を延ばしてみる価値は大いにあります。
| 店舗名 | 場所 | 開店時間 | おすすめシーン |
|---|---|---|---|
| 進々堂 JR京都駅前店 | 京都駅前 | 6:30 | とにかく早く、イートインしたい時 |
| ブルディガラ エクスプレス | 京都駅構内 | 7:00 | 新幹線乗車前のテイクアウトに |
| ルーク 本店 | 駅から徒歩8分 | 7:00 | 散歩がてら地元の味を楽しみたい時 |
7時台の烏丸御池でイートイン
京都市の中心部、烏丸御池エリアは、ビジネス街でありながら観光の拠点としても非常に便利な場所です。ここには、京都のパン好きなら知らない人はいないと言われる名店「Flip up!(フリップアップ)」があります。
開店時間は7時から8時の間(日によって多少前後することがあるため、余裕を持って行くのが吉です)。このお店の最大の特徴は、自家製酵母を使ったモチモチ食感のベーグルや、噛むほどに旨味が広がるハード系のパンです。特にチョコレートやチーズがたっぷりと入ったベーグルは、一度食べると病みつきになる美味しさ。朝一番に行くと、焼き上がったばかりのパンの香りが店いっぱいに広がっています。
店内には数席ですがイートインスペースも用意されています。焼きたての熱々をその場で頬張るのは、パン屋巡りの醍醐味ですよね。ただ、非常に人気店のため、朝から行列ができていることも珍しくありません。もし店内がいっぱいなら、テイクアウトして近くの御金神社にお参りに行ったり、少し歩いて二条城の周りを散策してから食べるのも、京都らしい朝の過ごし方かなと思います。
ゆっくり過ごせるモーニングの実情

「朝はパンを食べたいけれど、テイクアウトして外で食べるのはちょっと…。お店の席に座って、ゆっくりとモーニングセットを楽しみたい」という方も多いでしょう。その場合、パン屋さんの開店時間と、モーニングの提供時間には少しズレがあることに注意が必要です。
例えば、天然酵母パンの美味しいモーニングプレートを提供している「濵口商店」。ここのモーニングは絶品ですが、オープンは8時半からです。「早起きして6時半に行ったのに開いてなかった!」とならないよう注意してください。その分、内容は非常に豪華。自家製の天然酵母パン3種に加え、本日のスープ、大原の野菜を使ったサラダ、ゆで卵、豆乳ヨーグルトなどがセットになって900円前後と、価格以上の満足感があります。静かな空間で、身体に優しい朝食をゆっくりと味わいたい方には最高の選択肢です。
また、京都の朝といえば「喫茶店のモーニング」も外せません。パン屋さんではありませんが、「イノダコーヒ 本店」(7時開店)や、カフェとして利用できる「進々堂 三条河原町店」などは、パンを主役にした素晴らしい朝食メニューを提供しています。蝶ネクタイのスタッフさんがサービスしてくれる老舗喫茶店で、厚切りのトーストと香り高いコーヒーを楽しむ。そんな優雅な朝も、京都ならではの体験です。
コーヒーとパンの組み合わせについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
イートイン可能な店の選び方
イートインを利用する際に気をつけたいのが、席数とお店の雰囲気です。「イートインあり」と書いてあっても、実際に行ってみたらカウンターが2席あるだけで満席だった…なんてことはよくあります。
目的別・イートインのおすすめ活用法
- 時間重視・移動重視なら:
駅ナカや駅近のチェーン店(VIE DE FRANCEなど)がおすすめ。席数が多く、回転も速いため、座れる確率が高いです。Wi-Fiや電源がある場合も多く、旅の計画を練るのにも便利です。 - 味重視・パンそのものを楽しむなら:
Flip up!のような専門店へ。席数は少ないですが、焼きたての感動はひとしお。混雑している場合は、「テイクアウトに切り替える」という柔軟さを持っていくと気が楽です。 - 空間・体験重視なら:
あえて時間を8時以降にずらして、濵口商店や老舗喫茶店のモーニングを狙いましょう。席に座ってオーダーするスタイルのお店なら、落ち着いて食事を楽しめます。
自分の旅のスタイルに合わせて、「サクッとエネルギーチャージ」なのか、「朝食そのものをイベントとして楽しむ」のかを決めておくと、お店選びで失敗しにくくなります。

京都のパン屋の朝営業で最高の旅を
ここまで、京都の早朝パン屋事情について、6時半オープンの文化からエリアごとの攻略法までご紹介してきました。京都の人がいかにパンを愛し、日常的に食べているか、少しでも伝わりましたでしょうか。
最後に一つ、とても重要な注意点があります。それは情報の鮮度です。ネット上のグルメサイトやブログには、古い情報がそのまま残っていることが多々あります。今回のリサーチでも、以前は早朝営業として紹介されていた「パン屋さんのひみつ」というお店はすでに閉店していましたし、「進々堂 京都伊勢丹店」は駅直結で便利ですが、開店時間は10時であり、朝食利用には向きません。
せっかく早起きして向かったのに、お店が閉まっていたらがっかりしてしまいますよね。訪問前には、必ずGoogleマップの最新情報や、お店の公式Instagramなどで当日の営業状況を確認することを強くおすすめします。
「早起きは三文の徳」と言いますが、京都の朝に関しては、美味しいパンと素敵な風景という「三文以上の徳」がたくさん待っています。ぜひ、あなたのお気に入りの一軒を見つけて、最高の京都の一日をスタートさせてくださいね。

