こんにちは!日本文化ラボ(Nippon Culture Lab)運営者のsamuraiyan(さむらいやん)です。
今回は、初夏の京都を訪れるとあちこちで見かける、あの不思議で魅力的な和菓子「水無月(みなづき)」について、みんなで一緒にじっくり深掘りしていけたらなと思っています。
梅雨から夏の盛りに移り変わる6月の終わり頃、京都の街は独特の湿気と熱気に包まれます。朝はしっとり雨が降っていたのに、昼になると一気に蒸し暑くなる。そんな京都らしい季節の変わり目に、和菓子屋さんの店頭や、歴史ある神社の境内で一際目を引くのが、白いういろうの上にツヤツヤとした赤い小豆が敷き詰まり、カチッとエッジの効いた三角形に切り分けられた「水無月」ですよね。
きっとこの記事を読んでくれているあなたは、京都の夏越の祓において、なぜこの水無月というお菓子を食べる理由があるのか、そのルーツや背景に強い興味を持っているんじゃないでしょうか。ネットで検索してみても、断片的な情報はたくさん出てくるけれど、歴史的な起源から神事の正しい作法、さらにはおすすめの名店比較やアレルギーの注意点まで、知りたいことが1箇所にまとまっているページって、なかなか見つからないものですよね。うん、ここはかなり気になるところです。
毎年6月30日という一年の折り返し地点に、京都の人たちがこぞってこのお菓子を買い求め、無病息災を願うのには、実は驚くほど深い民俗学的な意味や、平安貴族への憧れから生まれた庶民の知恵が隠されているんです。この記事では、そんな水無月にまつわるストーリーを、まるで一緒に京都の街を歩きながらおしゃべりしているような感覚で、どこよりも詳しく、そして分かりやすくお届けしていきますね。京都の和菓子文化そのものを先に広く知りたい方は、京都の和菓子ガイドもあわせて読むと、水無月の位置づけがさらに分かりやすくなりますよ。これを読み終える頃には、今年の6月に食べる水無月の味わいが、きっと何倍も奥深いものに変わるはずです。
この記事で分かること
- 京都の伝統行事である夏越の祓の起源と、水無月を食べる理由に隠された呪術的な意味
- 雨の多い6月をなぜ水無月と呼ぶのかという漢字表記の由来と、言葉に宿る日本の季節感
- 京都を代表する主要神社での神事日程や、茅の輪くぐり・人形流しの正しい参拝作法
- 仙太郎や出町ふたばをはじめとする京都の老舗和菓子店の特色比較と、自宅での簡単レシピ
水無月と夏越の祓に込められた意味
夏越の祓に宿る無病息災への祈りと生存への願い

一年のちょうど真ん中にあたる6月30日。この日は、12月31日の大晦日と同じように、古くから「大祓(おおはらえ)」という特別な儀式が行われる、ものすごく重要な節目です。その中でも、本格的な夏の到来を前に行われるのが「夏越の祓(なごしのはらえ)」。夏越の祓そのものの意味や、京都の神社別の茅の輪くぐり作法を詳しく知りたい方は、京都の夏越の祓と茅の輪くぐり作法も参考になります。私たちは普段、普通に暮らしているだけでも、知らず知らずのうちに心や体に小さな罪や穢れ(けがれ)を溜め込んでしまうもの。それをこのタイミングで一回きれいにリセットして、これからの過酷な後半の半年間を、みんなで元気に無病息災で過ごせますようにと神様にお祈りする、とても優しい神事なんですよ。
ここでいう「罪」や「穢れ」は、現代の私たちがイメージする法律上の罪や、単純な汚れとは少し違います。昔の人たちにとっての穢れとは、病気、災い、心身の疲れ、知らないうちに積もった不調、自然のリズムから外れてしまった状態のようなもの。つまり、夏越の祓は「半年間、よく頑張った自分を一度整える日」と考えると、とても分かりやすいかなと思います。
現代の私たちは、エアコンのある涼しい部屋で過ごせますし、医療も発達しているので、夏に対してそこまで命の危険を感じることは少ないかもしれません。でも、はるか昔の農耕社会や、病気の原因がよく分かっていなかった時代を想像してみてください。春から夏へと季節がガラッと変わるこの時期は、食べ物が傷みやすく、水も不衛生になりやすく、今でいう感染症などの疫病が爆発的に流行しやすい、本当に恐ろしい季節だったんです。
そのため人々は、神前で身を清める「精進潔斎(しょうじんけっさい)」を行い、酷暑が本格化する前に、なんとしても厄災を遠ざけようと祈りました。今のように薬や病院にすぐ頼れない時代ですから、神様に祈ること、体を清めること、縁起のよい食べ物を口にすることは、ただの迷信ではなく、毎日を生き抜くための大切な心の支えでもあったわけです。
夏越の祓は、昔の人にとって「夏を生き延びるための節目」でした。
6月30日に茅の輪をくぐり、人形に穢れを移し、水無月を食べる流れには、「ここで一度、心と体を整えよう」という意味が重なっています。現代風に言えば、神社で行う半年分のリセット習慣。そう考えると、ぐっと身近に感じられますよね。
この切実な「生きたい」「家族を守りたい」「無事に夏を越したい」という祈りのエネルギーが、現代の私たちが6月30日にいただく行事食としての水無月に、そのまま受け継がれているんだなと思うと、なんだか背筋が伸びるような、厳かな気持ちになります。小さな三角形のお菓子に、これほど大きな願いが込められている。京都の年中行事って、やっぱり奥深いです。
氷室の節会から始まった宮廷文化と庶民の知恵

では、あの独特な見た目をした水無月という和菓子が、一体どうやって生まれたのか。そのルーツを辿っていくと、なんと平安時代の宮廷で華やかに行われていた「氷室の節会(ひむろのせちえ)」という行事にまで行き着きます。
京都って、夏はものすごく蒸し暑い盆地ですよね。風が抜けにくく、湿気が体にまとわりつくような暑さ。そんな京都の北区西賀茂などの山中には、昔「氷室(ひむろ)」と呼ばれる、冬の天然の氷を夏まで溶かさずに保管しておくための、特別な地下貯蔵庫が設けられていました。冬のあいだにできた氷を切り出し、藁や木の葉などで断熱しながら大切に保存して、暑い季節に宮中へ届ける。今でいう冷凍庫のような役割ですが、もちろん当時は電気なんてありませんから、管理も運搬もものすごく大変だったはずです。
宮中のルールを定めた『延喜式』などの古い記録には、氷が宮中に運ばれ、飲み物を冷やしたり、暑気払いに使われたりしたことが伝えられています。特に旧暦の6月1日は「氷の節句(氷の朔日)」と呼ばれ、氷室から切り出された貴重な氷を口にすることで、夏の暑さを払い、健康を願う意味がありました。今の感覚でいえば、冷たい氷くらいコンビニで買えますが、当時の氷は別格。まさに権力と富の象徴だったんです。
この日、山奥の氷室から切り出された貴重な氷の破片が都へと運ばれ、天皇から臣下へと振る舞われたのですが、当時の運搬作業は本当に過酷そのもの。途中で氷が溶けてしまうこともあれば、運ぶ人にとっては命がけの重労働でもありました。天然の氷は庶民には逆立ちしても手が届かない、超がつくほどの高級品。いえ、もはや幻の存在だったんですね。
清少納言の『枕草子』にも、削った氷に甘葛(あまづら)という天然の甘味料をかけた、日本最古のかき氷のような描写が出てきます。「なんて風流で贅沢なんだろう!」と憧れますが、これも一握りの特権階級にのみ許された楽しみでした。涼を味わうという行為そのものが、当時は非常に特別だったわけです。
水無月の三角形は「氷のかけら」の見立てです。
本物の氷を手に入れることができない京都の一般の庶民たちは、ただ指をくわえて見ているだけではありませんでした。ここで発揮されたのが、素晴らしい「見立て」の知恵です。彼らは、麦の粉や米粉などをこねて蒸し上げた白い「ういろう」を作り、それを刃物で鋭い三角形に切り分けました。その尖った形を、憧れの「氷室の氷の破片」に見立てることで、自分たちも同じように暑気払いをしようとしたわけです。
これこそが、和菓子「水無月」の誕生につながる大きな発想です。実際の氷は食べられなくても、白く涼しげなういろうを氷に見立てれば、気持ちの上では同じように夏を迎える準備ができる。厳しい生活の現実を、豊かな想像力と貴族文化へのリスペクトで乗り越えようとした、京都の庶民のたくましさと美意識の結晶だと言えますね。
そして、上にのせられた小豆にも大切な意味があります。古くから赤い色には邪気を祓う力があると考えられてきました。赤飯や小豆粥など、人生の節目や季節の節目に小豆を食べる習慣が日本各地に残っているのも、こうした魔除けの感覚とつながっています。つまり水無月は、下の白いういろうで「氷」を表し、上の赤い小豆で「邪気払い」を表す、かなり完成度の高い縁起菓子なんです。
水無月を構成する3つの意味
- 三角形:氷室から切り出された氷のかけらを表す
- 白いういろう:涼しさ、清らかさ、夏の暑気払いを表す
- 赤い小豆:邪気払い、厄除け、無病息災への願いを表す
ちなみに、水無月の三角形をさらに真ん中で二つに切り分けたとき、片方を「無事に過ごすことができた前半の半年」、もう片方を「これから新しく迎える後半の半年」に見立てる考え方もあります。こうした解釈を知ると、ひと口食べるたびに「前半半年、おつかれさま」「後半半年も無事に過ごせますように」と、自分自身に声をかけたくなりますよね。たった一つのシンプルな三角形という幾何学的な形の中に、時代を超えてたくさんの豊かな意味やストーリーが付け足され、今もなお人々の心に深く息づいているのは、本当にロマンがあります。
水無月の漢字表記の由来と古代日本語の語源
水無月について調べていると、誰もが一度は「あれ?」って疑問に思うポイントがありますよね。そう、「雨がたくさん降る梅雨の6月なのに、なんで『水の無い月』って書くんだろう?」という、おもしろい言語学的な謎です。私も最初は「日照りが続いて水が干上がるからかな?」なんて勝手に想像していたのですが、本当の理由としてよく語られるのは、実はまったく逆の意味なんです。
この「水無月(みなづき)」という漢字に使われている「無(な)」という文字は、何かを否定したり「無い」と言ったりする意味ではなく、古代の日本語において、名詞と名詞を繋ぐ連体助詞の「の」と同じ役割を果たす言葉だと考えられています。つまり、水無月というのは「水が無い月」ではなく、本来は「水の月」という意味になるわけです。これ、知ったときは「なるほど!」って思わず膝を打ちますよね。
旧暦の6月といえば、今の暦でいうと7月の初旬から中旬頃にあたります。日本の伝統的な農耕文化において、この時期は田植えを無事に終えた後、田んぼに並々と大量の水を張って、稲を大切に育てていくための、ものすごく重要な季節ですよね。京都の年中行事や暮らしのしきたり全体を知りたい方は、京都のしきたりと風習の記事もあわせて読むと、季節行事の背景がつかみやすくなります。そのため、「田んぼにたっぷりと水を引く必要がある月」という意味を込めて、親しみを込めて「水な月」と呼んだのが本来の語源なのだそうです。
「無」という漢字は、意味ではなく音をそのまま当てはめた万葉仮名のような役割として、後から定着したと考えると自然です。この不思議な文法構造は、10月の「神無月(かんなづき)」をめぐる考え方とも似ています。一般的には「神様が出雲へ行ってしまうから神がいない月」と説明されることも多いですが、語源的には「神の月」と見る説もあり、古い日本語の奥深さを感じる部分です。
「水無月」は、水が無い月ではなく「水の月」。
この解釈を知ると、6月の見え方が少し変わります。雨が降り、田に水が入り、青葉が濃くなり、夏が近づいてくる。その季節の気配を、たった三文字で表しているのが「水無月」という言葉なんですね。美しい日本語。しみじみします。
語源に関するその他の面白い諸説
もちろん、歴史や民俗学の世界にはいろんな見方があって、他にも興味深い説がたくさん語り継がれています。例えば、田んぼに一斉に大量の水を引くために、周りの川や水源から一時的に水がなくなってしまうから「水無し月」なんだという、当時の農村のリアルな風景から生まれた説。これは「水がない」という表記を、そのまま実感として受け止めた考え方ですね。
あるいは、梅雨が明けた後の猛烈な酷暑によって、天からの恵みの雨がすっかり干上がってしまうからという説もあります。旧暦の6月は、現在の暦でいうと真夏に近い時期ですから、「雨の季節」というよりも「暑さが本格化する時期」として捉える方が、古い季節感には近いかもしれません。
さらに、農作業のリズムから見ると、田植えが終わって一息つくものの、稲の管理や水の調整に気を抜けない時期でもあります。水は豊かに必要だけれど、洪水になっても困るし、干ばつになっても困る。自然の恵みと怖さが隣り合わせにある季節。それが水無月です。こう考えると、「水無月」という言葉には、単に水がある・ないだけでは語りきれない、農耕民のリアルな生活感覚がぎゅっと詰まっているように感じます。
どの説が絶対に正しいと一つに決めるよりも、複数の説を知ったうえで、言葉の奥行きを楽しむのがいいかなと思います。日本の旧暦の月名は、どれも自然と暮らしの距離がとても近いです。水無月もその一つ。6月の和菓子を食べながら、言葉の由来まで味わえるなんて、ちょっと贅沢ですよね。
青水無月という言葉が表す初夏の瑞々しい情景
京都の季節の表現って、本当に耳に心地よくて美しいものが多いですよね。旧暦の6月を表現する言葉の中に、水無月の頭に「青」をちょこんと乗せた「青水無月(あおみなづき)」という、とっても優美な言葉があります。これは、しとしとと降る梅雨の雨に濡れながら、山々や街の木々の葉が、日に日に生命力に満ち溢れた鮮やかな青葉、青緑色へと生い茂っていく、あの瑞々しい初夏の情景をそのまま切り取った言葉なんです。
ただ「6月」と数字で呼ぶよりも、「青水無月」と口にするだけで、目の前にパッと鮮やかな緑と、しとしとと降る京都の美しい風景が浮かんできますよね。こうした京都らしい感覚の味わい方は、京都の五感文化にも通じています。和菓子の水無月をいただくときも、窓の外に広がる青々とした木々を眺めながらお茶をすすると、まるで自分が平安時代の風流な世界にタイムスリップしたかのような、とても贅沢な時間を過ごすことができます。
冷たくして食べる水無月のひんやりした口当たりと、外のむっとするような湿気。その対比もまた、京都の初夏らしい楽しみ方です。
青水無月は、景色まで味わうための言葉です。
水無月を食べるときは、ただ味だけを見るのではなく、外の緑、雨の匂い、湿った空気、遠くから聞こえる祭りの気配まで一緒に感じてみてください。和菓子は、舌だけではなく季節全体で味わうもの。そう考えると、ひと切れの水無月がぐっと豊かになりますよ。
こうした自然のほんの少しの変化や美しさを、言葉やお菓子に変えて愛でてきた日本人の感性は、これからもずっと大切にしていきたいなと思います。水無月というお菓子は、歴史や信仰だけでなく、季節の美しさを受け止めるための小さな器でもあるんですね。
夏越の祓で注目される水無月以外の伝統的な行事食
京都の夏越の祓といえば、街中どこを見渡しても「水無月」が主役で、圧倒的な人気を誇っているのは間違いありません。ただ最近は、食文化の多様化や歴史の再発見によって、水無月以外のおいしい選択肢にもじわじわと注目が集まっています。甘いものがちょっと苦手な方、家族で食卓に取り入れたい方、神社参拝のあとに食事として楽しみたい方には、こちらの行事食もかなりおすすめです。
夏越の祓の本質は、「半年分の穢れを祓い、残り半年の無病息災を願うこと」です。つまり、必ず甘い和菓子だけでなければいけない、というわけではありません。もちろん京都では水無月の存在感が圧倒的ですが、赤い小豆、丸い形、夏野菜、涼感のある盛り付けなど、厄除けや暑気払いの意味を込めた料理として楽しむこともできます。
新定番として全国へ広がる「夏越ごはん」
近年、全国の神社や食品業界が一緒になって新しく提案し、人気を集めているのが「夏越ごはん(なごしごはん)」です。これは、夏越の祓の最大のシンボルである「茅の輪(ちのわ)」をイメージした丸い食材と、古来から邪気を払うとされる赤い小豆や、粟(あわ)などの雑穀を組み合わせた、とてもヘルシーで満足感のあるご飯もののメニューです。
代表的なのは、雑穀ごはんの上に、夏野菜を使った丸いかき揚げをのせるスタイル。ゴーヤ、赤パプリカ、玉ねぎ、かぼちゃ、オクラ、とうもろこしなど、色鮮やかな夏野菜を使うと、見た目にも元気が出ます。丸く揚げたかき揚げを茅の輪に見立て、小豆や雑穀で邪気払いの意味を添える。現代的だけれど、きちんと行事の意味も残したメニューなんですね。
夏越ごはんは、家庭でも取り入れやすい行事食です。
例えば、夏野菜のゴーヤや赤パプリカ、玉ねぎ、ぷりぷりの小えびなどを丸い形のかき揚げにして、五穀米や雑穀ごはんの上にのせるだけでも、立派な夏越ごはんになります。他にも、丸く盛り付けた夏野菜カレー、雑穀入りのビビンバ、輪切り野菜を使った丼など、子どもから大人まで楽しめるアレンジがしやすいのも魅力です。
水無月はおやつとして楽しみ、夕食には夏越ごはんを食べる。そんなふうに一日の中で行事食を組み合わせると、6月30日がぐっと特別な日になります。忙しい毎日の中でも、食卓に小さな季節行事を取り入れるだけで、暮らしのリズムが少し整う感じがしますよね。
京料亭の美学が詰まった「水無月豆腐」

一方、京都の格式高い懐石料理や会席料理の世界では、コースの最初を飾る先付(さきづけ)として、甘い和菓子の代わりに料理人が腕によりをかけた「料理としての水無月」が登場することがあります。いわゆる「水無月豆腐」です。これがまた、見た目にも味にも京都らしい美意識がぎゅっと詰まっているんですよ。
水無月豆腐は、白いういろうの代わりに、豆腐、湯葉、長芋、葛、寒天などを使って、涼しげな白い三角形を表現する料理です。甘い和菓子ではなく、だしや酢、薬味と合わせて味わうので、食事の始まりにぴったり。形は水無月、味わいは京料理。まさに見立ての美学です。
例えば、すりおろしてふわっと泡立てた大和芋や長芋に、京都らしい生湯葉を合わせ、寒天や葛で絶妙なやわらかさに固めることで、氷室の氷を思わせるエッジの効いた三角形を美しく表現します。そして天面には、お菓子の水無月と同じように、邪気を祓う意味を持つ小豆が、器の美しさを引き立てるように一粒だけ品よく飾られることもあります。
さらに、琥珀色の土佐酢のジュレ、爽やかな振り柚子、涼しげな叩きオクラなどを添えることで、目にも鮮やかな涼感と魔除けの意匠を同時に表現します。食べる前から、もう美しい。職人さんのこだわりと美学には、本当にため息が出ちゃいます。
水無月は「お菓子」だけでなく「料理」にも展開されます。
京都の食文化では、形や色に意味を込める「見立て」がとても大切にされています。水無月豆腐は、氷・小豆・三角形という水無月の要素を料理の中に取り入れたもの。甘いものが苦手な方でも、夏越の祓の季節感を楽しめる素敵な一皿です。
京もの伝統食品である水無月の全国的な知名度
今でこそ全国のデパ地下などで見かけるようになった水無月ですが、もともとは京都が発祥のゴリゴリの郷土菓子。京都の王朝文化や、お茶の発展とともに磨かれてきたお菓子なので、京都府からは正式に「京もの伝統食品」として指定されています。農林水産省の「うちの郷土料理」でも、水無月は京都府内で伝統的に食べられてきた郷土菓子で、白いういろうの上に小豆を乗せ、三角形に切り分けた菓子として紹介されています。また、三角の形は暑気払いの氷を模し、小豆の赤色には邪気払いの意味が込められていると説明されています(出典:農林水産省「水無月 京都府|うちの郷土料理」)。だからこそ、あの美しい佇まいと上品な味わいが今も大切に守られているんですね。
この指定を受けているということは、単なる季節のお菓子ではなく、地域の食文化として守り継がれてきた価値があるということです。水無月は、京都の人たちにとって「6月に食べる甘いもの」というだけではありません。夏を迎える心構えであり、家族の健康を願う習慣であり、和菓子店の職人技を感じる季節のしるしでもあります。
特に京都では、6月に入ると和菓子店だけでなく、スーパーの和菓子コーナーや百貨店、駅のお土産売り場にも水無月が並びます。白、黒糖、抹茶の3種類がセットになっていることも多く、見比べて選ぶ時間も楽しいものです。地元の人にとっては「あ、水無月が出た。もう夏越やな」という感覚。季節のカレンダー代わりなんですね。
地域によってこんなに違う!知名度のギャップ
関西圏、特に京都や大阪、兵庫などの近畿地方にお住まいの方なら、6月になればスーパーの和菓子コーナーや街の小さな餅屋さんにも水無月がズラリと並ぶのが当たり前の光景ですよね。知名度もかなり高くて、「あ、もうすぐ夏が来るんだな」と感じる定番中の定番です。
でも実は、関東をはじめとする他の地域に行くと、「水無月?名前は聞いたことあるけど、食べたことはないなぁ」という方が、まだまだ結構いらっしゃるのがリアルなところです。ういろうと小豆の組み合わせ自体は珍しくないのに、「6月30日に食べる三角形の和菓子」としての認識は、地域によってかなり差があります。
このギャップが生まれる理由の一つは、夏越の祓と水無月の結びつきが、特に京都で強く育まれてきたからです。神社に参拝して茅の輪をくぐり、帰りに和菓子屋で水無月を買う。あるいは、家族の分をまとめて買って、夕食後にお茶と一緒にいただく。こうした生活の中の習慣として根づいている地域と、百貨店の催事やニュースで知る地域では、どうしても距離感が違ってきます。
とはいえ、ここ最近は全国展開している有名な百貨店の和菓子フロアや、大手の和菓子チェーン店が「6月限定の健康祈願の縁起物」として販売するようになったので、全国的な認知度は少しずつ広がっています。まだ食べたことがないという他地域のご友人がいたら、ぜひこの歴史や意味と一緒にプレゼントしてあげると、きっとすごく喜ばれると思いますよ。
北域地方のライバル!?石川県に伝わる「氷室饅頭」
ちょっと面白い豆知識として、京都以外の地域にも、同じように「氷室の氷」にルーツを持つ面白い夏の厄除け菓子が存在します。それが、北陸地方の石川県、特に金沢市などに深く根付いている「氷室饅頭(ひむろまんじゅう)」です。
この地域では、明治時代にカレンダーが新暦に変わった後も、7月1日を「氷室の節句」としてお祝いする習慣が大切に守られています。江戸時代、加賀藩の前田家が将軍家に氷室の氷を献上する際、道中の無事を祈って神社に饅頭を供えたのが始まりとされていて、今でも7月1日になると、赤・白・緑の3色の可愛らしいお饅頭を食べて健康を願う文化が残っています。
京都の人たちが外郎の「形」で氷を表現したのに対して、金沢の人たちは「お饅頭」という形で夏の無病息災を願いました。地域が変われば表現の仕方も変わるけれど、自然への畏敬の念や健康を願う優しい気持ちは同じです。こうした地域ごとの違いを知ると、日本の行事食って本当におもしろいなと思います。
| 地域 | 行事食 | 時期 | 主な意味 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 京都 | 水無月 | 6月30日頃 | 夏越の祓、無病息災、暑気払い | 三角形のういろうを氷に見立て、小豆で邪気払いを表す |
| 石川・金沢周辺 | 氷室饅頭 | 7月1日頃 | 氷室の節句、健康祈願、厄除け | 赤・白・緑の饅頭を食べ、夏の健康を願う |
和菓子の歴史を語る上で外せない「和菓子の日」のルーツ
6月という月は、水無月だけでなく、実は和菓子全体にとっても厄除けと切っても切れない深い縁がある月なんですよ。それが、毎年6月16日に制定されている「和菓子の日」です。京都の和菓子がなぜ季節感や美意識を大切にするのかをさらに知りたい方は、京都の和菓子ガイドもあわせて読んでみてください。その起源は遥か昔、西暦848年の平安時代にまで遡ります。当時、国内で恐ろしい疫病が猛威を振るい、たくさんの人々が苦しんでいました。
時の天皇であった仁明天皇(にんみょうてんのう)は、神様からのご神託を受け、嘉祥(かじょう)元年となった6月16日に、16個の菓子や餅を神前に丁寧にお供えして、疫病退散と国民の健康を心から祈願したと伝えられています。これが「嘉祥の祝(かじょうのいわい)」という行事になり、江戸時代には大名たちが将軍からお菓子を賜るなど、長く厄除けの習慣として愛されてきました。
明治時代以降、この素晴らしい風習は一度すっかり廃れてしまったのですが、1979年に全国和菓子協会が「日本の素晴らしい和菓子文化と、初夏の健康祈願の結びつきをもう一度思い出そう!」ということで、「和菓子の日」として見事に復活させました。6月はまさに、私たちが和菓子のおいしさに感謝しながら、自分や大切な人の体を労わるための、特別なセルフケアの月なのかもしれませんね。
京都で水無月を味わい夏越の祓を体験する神事と名店
さて、ここからは、実際に京都の街で夏越の祓を体感してみたい!という方や、本当においしい本場の水無月を食べてみたい!という方のために、より実践的でワクワクするようなデータベースをお届けします。京都には、それぞれに異なる魅力を持った素晴らしい神社や、職人さんのこだわりが爆発している老舗の和菓子屋さんが星の数ほどあります。どこに行こうか迷ってしまわないように、ポイントを分かりやすく整理しましたよ。
京都で夏越の祓を体験するなら、まずは「神社で茅の輪をくぐる」「人形に穢れを移す」「水無月を買って食べる」という3つを意識すると分かりやすいです。全部できれば理想ですが、時間がない場合は茅の輪くぐりだけでも十分。逆に、神社には行けなくても、家で水無月を食べながら半年を振り返るだけでも、季節の行事としての意味はしっかり感じられると思います。
京都で夏越の祓を楽しむ基本ルート
- 参拝したい神社を決める
- 茅の輪の設置期間と大祓式の時間を確認する
- 当日は時間に余裕を持って参拝する
- 茅の輪くぐりと人形のお祓いを体験する
- 帰りに老舗和菓子店で水無月を購入する
- 冷たいお茶と一緒にいただき、後半半年の健康を願う
夏越の祓を執り行う京都の主要神社と神事日程
京都の夏越の祓は、本当にほぼ全ての神社と言っていいほど、たくさんのお社で一斉に行われます。でも、神社によって茅の輪の大きさが全然違ったり、独自の面白いイベントが同時開催されていたりするんです。京都観光Naviでも、2026年京都市内の夏越の祓・茅の輪くぐり一覧として、各神社の茅の輪設置期間や大祓式の時間が紹介されています(出典:京都観光Navi「2026年京都市内の夏越の祓・茅の輪くぐり 一覧」)。どこに参拝するか決める参考に、2026年現在の主要な神社の特徴を分かりやすく一覧表にまとめてみました。ぜひチェックしてみてくださいね!
| 神社名 | 所在地・アクセス | 茅の輪設置・特徴 | 人形(形代)流しの特徴 | 独自の特徴・関連行事 |
|---|---|---|---|---|
| 北野天満宮 | 京都市上京区馬喰町 市バス「北野天満宮前」すぐ |
6月下旬頃から楼門に大きな茅の輪が掲げられることで知られます。京都でも特に迫力のある茅の輪を見たい方におすすめです。 | 6月30日に夏越の大祓式が行われます。人形に罪穢れを託し、神職によるお祓いを受ける流れが中心です。 | 御祭神・菅原道真公にゆかりの深い天満宮。毎月25日の天神市と時期が近く、境内周辺もにぎわいやすいです。 |
| 上賀茂神社 | 京都市北区上賀茂本山 市バス「上賀茂神社前」 |
世界遺産の境内に茅の輪が設けられます。広い境内と清らかな水の気配があり、夏越の祓らしい清浄感を味わいやすい神社です。 | 6月30日夜に、境内を流れる「ならの小川」へ人形を流す神事が行われることで知られます。篝火の雰囲気も幻想的です。 | 夜間の神事は非常に厳かな雰囲気。静かに夏越の祓を体験したい方に向いています。 |
| 城南宮 | 京都市伏見区中島鳥羽離宮町 地下鉄「竹田駅」徒歩15分 |
6月下旬から7月上旬にかけて茅の輪が設置されることが多く、比較的長い期間くぐれるのが魅力です。 | 人形に穢れを移し、境内の水の流れに託す形でお祓いを受けます。自分で流す体験ができる時期もあります。 | 車のお祓いで知られる神社らしく、愛車の茅の輪くぐりが行われる年もあります。ドライバーの方にも人気です。 |
| 車折神社 | 京都市右京区嵯峨朝日町 嵐電「車折神社」すぐ |
比較的長い期間、境内に茅の輪が設置されることがあり、混雑を避けて参拝したい方にも向いています。 | 大祓式で人形を納め、神職によって清めていただく形が中心です。 | 芸能神社でも有名なため、嵐山観光と組み合わせやすいのが魅力。電車アクセスもかなり便利です。 |
| 貴船神社 | 京都市左京区鞍馬貴船町 叡電「貴船口駅」からバス |
本宮社殿前に茅の輪が設置されます。山の空気と川の音に包まれながらくぐる茅の輪は、街中とはまったく違う清涼感があります。 | 大祓式の後、貴船川へ人形を流す神事が行われることで知られています。水の神様を祀る貴船らしいお祓いです。 | 京の奥座敷らしい涼しさが魅力。夏の京都観光と相性が良く、川床と組み合わせる方も多いです。 |
| 平野神社 | 京都市北区平野宮本町 市バス「衣笠校前」 |
6月30日の神事に合わせて茅の輪くぐりが行われます。地元の人にも親しまれる、あたたかい雰囲気の神社です。 | 人形を使ったお祓いのほか、動物形の人形が用意される年もあり、ペットの健康を願う方にも注目されています。 | 水無月に関連する催しが行われる年もあり、和菓子好きには特に楽しい参拝先です。 |
| 今宮神社 | 京都市北区紫野今宮町 市バス「今宮神社前」 |
病気平癒や厄除けの信仰が篤い神社で、夏越の祓の季節にも多くの参拝者が訪れます。 | 人形に災厄を移し、お焚き上げによって清める作法が伝えられています。 | 参拝後に名物「あぶり餅」を楽しめるのも魅力。厄除けの信仰と食文化がセットで味わえる場所です。 |
※各神社の神事日程や受付時間は、天候や諸事情により変更される場合があります。特に2026年のように曜日や行事運営の都合が関係する年は、直前に時間が調整されることもあります。参拝される際は、必ず事前に各神社の公式サイトなどで最新の情報をご確認くださいね。
茅の輪くぐりの正しい歩き方と伝統的な唱え詞

神社に行くと、本殿の前にチガヤという草で編まれた大きな緑色の輪っか、つまり「茅の輪」がドーンと用意されています。これ、初めて見たときは「どうやってくぐればいいんだろう?」ってちょっと緊張しちゃいますよね。でも大丈夫。基本のルールさえ覚えれば、とても自然に参拝できます。
茅の輪をくぐるときは、数字の「8」の字を大きく描くように、左回り → 右回り → 左回りの順番で、合計3回くぐり抜けるのが最も一般的な作法です。ただし、神社によって案内板に書かれている回り方や唱え詞が少し違う場合もあります。その場合は、必ずその神社の案内に従ってください。これが一番大切です。
くぐるときは、急いで歩く必要はありません。軽く一礼して、心の中で「この半年の罪穢れを祓い、残り半年を健やかに過ごせますように」と念じながら、ゆっくり進むと良いです。写真を撮る人も多いですが、神事の時間帯や混雑時は、周りの参拝者の流れを妨げないように気をつけたいところですね。
茅の輪くぐりの基本手順
- 茅の輪の前で軽く一礼する
- 茅の輪をくぐって左へ回り、正面に戻る
- もう一度くぐって右へ回り、正面に戻る
- 三度目にくぐって左へ回り、正面に戻る
- 最後に茅の輪をくぐって本殿へ進み、参拝する
そして、ただ黙々とスタスタ歩くのではなく、心の中で、あるいは小さく声に出して、神聖な「唱え詞(となえことば)」を口ずさむのがポイントです。最も代表的なものは、平安時代の和歌にも由来するとされる、とても歴史ある言葉です。周る順番に合わせて、次のように唱えてみてくださいね。
1周目(左に回るとき)の和歌:
「水無月(みなづき)の なごしの祓(はらえ) する人は ちとせの命(いのち) のぶといふなり」
(現代語のニュアンス:6月に夏越の祓を行う人は、誰もが健康で長生きできるそうですよ、という意味です)
2周目(右に回るとき)の和歌:
「思ふ事(おもうこと) 皆つきねとて 麻の葉(あさのは)を きりにきりても 祓(はら)へつるかな」
(現代語のニュアンス:心の中のモヤモヤや悩み事が全部消えてしまえと願いながら、細かく切った麻の葉でしっかりお祓いをしましたよ、という意味です)
3周目(もう一度左に回るとき)の和歌:
「宮川(みやがわ)の 清(きよ)き流れに 禊(みそぎ)せば 祈(いの)れることの 叶(かな)はぬはなし」
(現代語のニュアンス:神社の清らかな川の流れで身をきれいに清めるなら、神様にお祈りしたことで叶わない願いなんてありません、という意味です)
ちなみに、伏見にある城南宮さんなどでは、その土地ならではのユニークな和歌として「とはのもり」という言葉を含む唱え詞が案内されることもあります。「永遠の守り」という意味合いと、現地の古い地名である「鳥羽の森」を重ねた、京都らしい粋な表現です。地域や神社ごとに、大切に引き継がれてきた言葉の力、つまり言霊が今も残っているなんて、本当に素敵ですよね。
茅の輪の茅を抜き取るのは避けましょう。
茅の輪には神聖な意味があります。記念に少し持ち帰りたい気持ちになる方もいるかもしれませんが、勝手に茅を抜き取るのはマナー違反です。神社によっては茅の輪守りや茅の輪護符が授与される場合があるので、持ち帰りたい場合は授与所で確認するのが安心ですよ。
人形流しの厳格な作法と穢れを移す手順
茅の輪くぐりと並んで、夏越の祓のとても重要な主役が、紙を人間の形に切り抜いた「人形(形代・かたしろ)」を使ったお祓いです。これは、自分自身の身代わりになってくれるお人形に、この半年間でついてしまった目に見えない汚れや疲れを全部引き取ってもらうための、とても真剣な儀式です。
なんとなく形だけで済ませるのではなく、昔ながらの正しい手順で行うと、終わった後のスッキリ感が全然違います。もちろん、神社ごとに細かな作法は違うので、境内の案内や神職さんの説明がある場合は、そちらを優先してくださいね。
まずは、用意された人形の表面に、自分の氏名、性別、そして年齢を記入します。このときの年齢は、昔ながらの「数え年」で書くのが本来の習わしとされることがあります。数え年の計算ってちょっとややこしく感じますが、基本的には「生まれた年を1歳」と数え、元日を迎えるごとに1歳加える考え方です。現代では満年齢で問題ないと案内する神社もあるため、迷ったら受付で確認すれば大丈夫ですよ。
文字が書けたら、いよいよ穢れを移す作業です。その人形を使って、自分の頭から爪先まで、全身を優しくなでるように触れさせていきます。もし普段から「最近、腰が痛いんだよね」「肩こりがひどくて」「足が疲れやすくて」といった、肉体的な不調や痛みを抱えている場所があれば、そこには特に念を込めて、お人形をそっと押し当てるようにして、痛みや疲れを移す気持ちで行います。
人形に穢れを移す基本手順
- 人形に氏名・年齢などを書く
- 人形で体をなでる
- 気になる不調の場所があれば、そこを丁寧になでる
- 人形に息を3回吹きかける
- 神社の案内に従って納める、または川に流す
最後の仕上げとして、人形に向かって息を「フッ、フッ、フッ」と3回優しく吹きかけます。古来から、人間の息には自分の魂や、体の中に溜まった悪い気が宿ると信じられてきました。この3回の息を吹きかけることによって、体の中に残っていた最後の穢れまでが紙の人形へと移り、あなたの大事な「身代わり(形代)」が完成するわけです。
こうして完成した人形を、上賀茂神社の「ならの小川」や貴船川などの清らかな流れにそっと浮かべて流したり、神主さんにお焚き上げしていただくことで、私たちの身心は清々しくリフレッシュされると考えられています。実際にやってみると、紙の人形が自分の代わりに流れていく様子には、かなり象徴的な力があります。「ああ、半年分の疲れを手放しているんだな」と感じられるんですよね。
小さなお子さんと一緒に参拝する場合は、「この紙に悪いものを移して、きれいにしてもらうんだよ」とやさしく説明してあげると、行事の意味が伝わりやすいです。ペット用の形代を用意している神社もあるため、家族の一員である犬や猫の健康を願いたい方は、事前に確認してみるのもいいかなと思います。
京都の老舗和菓子店における水無月の特徴比較

京都の人たちの水無月に対する情熱って、本当にものすごいんですよ!「一年に一回、どこでもいいから食べれば満足」なんてレベルじゃなくて、「今年はあのお店の食感を試してみよう」「次はあっちの老舗をはしごして小豆の風味を比べてみよう!」と、何軒も巡って楽しむマニアな方がたくさんいるんです。とくに出町エリアで和菓子めぐりを考えている方は、出町ふたばの豆餅完全ガイドもあわせてチェックしておくと、行列や買い方のイメージがしやすくなります。そこで、京都やその周辺で誰もが認める超有名どころの和菓子屋さんの水無月を、職人さんのこだわりがどこにあるのか一目でわかるように、じっくり比較できるデータベースを作ってみました!
| 店舗名 | お店の特徴・立地 | 土台(ういろう)の食感と素材 | 小豆・トッピングのこだわり |
|---|---|---|---|
| 仙太郎 | 創業130年を超える、あんこ好きから圧倒的な支持を集める人気店。百貨店でも購入しやすく、初めて水無月を食べる方にも選びやすいです。 | もっちりとした力強い弾力があり、米粉と小麦の風味が絶妙に調和した王道の外郎。噛むほどに生地の素朴な甘みが広がります。 | 小豆一粒一粒の粒立ちが良く、豆本来の豊かなコクと香りを楽しめる設計。甘さもしっかりあり、満足感の高い水無月です。 |
| 出町ふたば | 上京区出町。名物の「名代豆餅」で全国からファンが押し寄せる大行列店。京都らしい手土産としても人気です。 | ソリッドでエッジがシャープに立ちながらも、口の中に入れるとすっとなじむバランスの良さ。見た目の端正さも魅力です。 | 大粒の小豆をふっくらやわらかく炊き上げ、天面に隙間なく敷き詰める贅沢さ。豆の存在感をしっかり感じたい方に向いています。 |
| 五建ういろ | 安政2年(1855年)創業。清水寺へと続く参道で参拝客をもてなした茶店がルーツ。ういろ専門店ならではの安心感があります。 | 伝統の蒸し技術による、肌に吸い付くようなもちもち感となめらかさ。ういろうそのものをじっくり味わいたい方におすすめです。 | 主役である外郎の上品な味わいを邪魔しない、甘さ控えめで品のある仕上がり。全体のバランスがとてもきれいです。 |
| 二條若狭屋 | 中京区二条。お茶席で使われる上菓子も手がける、端正で美しいビジュアルが魅力の名店です。 | モッチリと粘る手前の絶妙なラインで、スパッと心地よく噛み切れる歯切れの良さ。上品な食感が印象的です。 | 小豆の色合いが淡く、とても明るい印象。甘さも表面のツヤ感も控えめで、洗練された「すっぴん美人」のような仕上がりです。 |
| 長五郎餅本舗 | 豊臣秀吉が催した「北野大茶会」のエピソードから続く、京都でも屈指の老舗。歴史好きにも刺さるお店です。 | 米粉よりも小麦粉の風味が前に出る、しっかりとした食べ応え。噛みしめるほど素朴な味わいを感じます。 | 外郎に埋め込まれたような甘納豆が特徴。粒数は控えめながら、その分一粒一粒の味わいが濃厚です。 |
| 大極殿本舗 六角店 | 明治の面影を残す町家建築と、美しい中庭の雰囲気が魅力。店の空気ごと楽しみたい方におすすめです。 | 一般的な米粉のういろうとは異なり、葛を使った涼感のあるタイプが登場することも。ぷるんとした口当たりが印象的です。 | 透明感のある生地を引き立てるように、しっとりと炊き上げられた小豆が添えられます。見た目の涼しさも魅力です。 |
| 塩芳軒 | 西陣の静かな路地に佇む、格式高い京菓子の世界を守る上菓子屋。落ち着いた京都らしさを感じられます。 | ほんのりくすんだ色味で、つるんとして重くなく、プリッとした食感。上菓子屋らしい繊細さが光ります。 | 小豆はしっとりしすぎず、ほくほくとした豆の風味を感じる仕上がり。甘さの余韻も上品です。 |
| 笹屋春信 | 西京区・桂のエリアで地元の人たちから信頼を集めている実力派の店舗。地域密着の魅力があります。 | 容器の底に経木が敷かれることもあり、その清々しい移り香が初夏の涼しさを演出します。 | 薄づきでクリアな寒天のコーティングにより、小豆が光を受けて宝石のように見えます。見た目も華やかです。 |
| 中村軒 | 桂離宮のすぐ目の前。名物の麦代餅でも知られる老舗で、遠方から訪れるファンも多いです。 | どっしりとした重量感があり、1個食べただけで満足感の高い外郎。しっかり食べたい方に向いています。 | 力強い土台に負けないくらい、甘みと風味が濃厚な小豆。お茶と合わせると相性抜群です。 |
| 俵屋吉富 | 宝暦5年(1755年)創業、西陣に歴史を刻む名門。「京菓子資料館」なども運営しています。 | むっちりとした適度な噛みごたえと、お米のやさしい甘みが広がる、伝統的な白いういろうです。 | 外郎の上に散りばめられた大粒の大納言小豆が印象的。粒の食感を楽しみたい方におすすめです。 |
| 京菓匠 鶴屋吉信 | 上京区今出川堀川に本店を構える、全国的にも名前が知られる京菓子のトップブランドです。 | 歯切れが良く、もちもちしすぎない上品な硬さ。誰に贈っても安心感のある、きれいな仕上がりです。 | 大納言小豆を贅沢に使い、甘さ控えめで雑味の少ない味わい。洗練された水無月を探す方に向いています。 |
| 永楽屋 | 四条河原町の交差点近くに本店を構え、からいものと甘いものの両方で知られる便利な名店です。 | 白はむっちり硬め、黒糖は深いコク、抹茶は香りの良さが魅力。味のバリエーションを楽しみたい方にぴったりです。 | 大粒の小豆を寒天の膜で薄く均一にコーティングした、見た目にも華やかな仕上がりです。 |
| 鼓月 | 「千寿せんべい」などで全国的にもおなじみ。幅広い世代に親しまれる、安定感のある和菓子店です。 | 小麦粉を主体とした外郎はコシがあり、歯切れも良好。生地のほのかな塩気が甘さを引き締めます。 | やわらかく蜜漬けされた大納言小豆が、口の中でほろりとほどけます。甘めが好きな方にも合いやすいです。 |
| 井筒八ッ橋本舗 | 京都土産の定番「夕子」などの八ッ橋で有名な老舗。実は季節菓子にも注目したいお店です。 | 小麦粉、米粉、でん粉をブレンドした弾力のあるういろう。もっちりとした白い生地が印象的です。 | 艶やかな寒天でコーティングされた大粒の大納言小豆が美しい光沢を放ち、厚みもあって食べ応えがあります。 |
※各店舗の水無月の価格、販売期間、白・黒糖・抹茶などの味のラインナップ、具体的な予約方法については、年ごとの材料の状況や販売方針によって変動する場合があります。確実に入手したい場合や最新の正確な価格情報については、必ず各店舗の店頭や公式サイトをご確認のうえ、事前の予約をおすすめしますよ。
初めて水無月を食べ比べるなら、選び方はシンプルでOKです。
- 王道を知りたい:仙太郎、鶴屋吉信、俵屋吉富
- 小豆の存在感を楽しみたい:出町ふたば、中村軒、永楽屋
- ういろうの食感を重視したい:五建ういろ、鼓月、井筒八ッ橋本舗
- 上品で繊細な京菓子らしさを味わいたい:二條若狭屋、塩芳軒、大極殿本舗
水無月は、冷蔵庫でしっかり冷やしすぎると生地が硬くなりすぎることがあります。購入したら、お店の案内に従いつつ、食べる少し前に涼しい場所へ出しておくと、ういろうの食感が戻っておいしくいただけることもあります。保存料をあまり使わない生菓子タイプは日持ちしないので、基本は購入当日中、遅くとも翌日までに食べるのがおすすめです。
そして何より、水無月は「意味を知って食べる」と本当に味わいが変わります。三角形は氷。小豆は厄除け。6月30日は夏越の祓。そこまで分かったうえで口にすると、ただの甘い和菓子ではなく、半年分の疲れをそっと受け止めてくれるような、やさしい行事食に感じられるはずです。今年の水無月、ぜひあなたもじっくり味わってみてくださいね。
“`
