京都の和菓子はなぜ美しい?五感で味わう季節の芸術文化

京都の紅葉を背景にした秋の和菓子(栗・柿・紅葉)のイメージ。『Kyoto wagashi-season 京都の五感

こんにちは。日本文化ラボ(Nippon Culture Lab)、運営者の「samuraiyan(さむらいやん)」です。

「京都 五感 和菓子・季節感」と検索しているあなたは、もしかすると大阪の北浜に本館を構える有名パティスリー「五感(GOKAN)」の京都店舗や限定スイーツを探しているのかもしれませんね。それとも、古都・京都が育んできた伝統的な和菓子が「五感の芸術」と称される、その美意識や奥深い楽しみ方に触れたいと考えているのでしょうか。実はこのキーワードには、現代的な「食」の楽しみと、歴史的な「文化」の探求という、二つの異なる側面が含まれています。この記事では、パティスリー五感の京都でしか買えないお土産情報から、和菓子を通じて季節を五感すべてで味わう粋な体験まで、私の実体験を交えながら徹底的に解説します。

  • 京都高島屋店で入手可能なパティスリー五感の限定商品と店舗の実情
  • 「ええもんちぃ」など、お米を使ったスイーツが京都土産に最適な理由
  • 視覚や聴覚で季節を感じる「和菓子は五感の芸術」という言葉の真意
  • 二十四節気のリズムで楽しむ、京都の旬の銘菓と老舗のカフェ情報

京都の五感で出会う和菓子と季節の限定品

京都の洗練された空間で楽しむ、パティスリー五感のロールケーキと伝統的な抹茶のセット。現代と伝統が調和する五感の体験。

まずは、関西を代表する洋菓子ブランドとして名高い「五感(GOKAN)」についてです。「自然と愛」をテーマに、日本人の心に響く洋菓子を作り続けるこのお店は、小麦粉ではなく「お米」を主役に据えたスイーツが多く、和の情緒を感じさせる点でも京都観光との相性が抜群です。京都エリアでの展開や、ここでしか出会えない味について深掘りしていきましょう。

京都高島屋店で人気の季節限定メニュー

大阪・北浜のレトロなビルに本館を構える「五感」ですが、京都でその味を求めるなら、四条河原町にある京都高島屋(地下1階)がメインの拠点となります。デパ地下の活気あるフロアの一角にありながら、ショーケースには四季折々の日本の農産物を使った美しいケーキが並んでいます。

特に注目すべきは、季節ごとにガラリと表情を変える限定メニューの数々です。私が訪れた春先には、完熟の苺をふんだんに使ったタルトや、桜の塩漬けをあしらった和洋折衷の生菓子が登場していました。また、秋には和栗やサツマイモ(鳴門金時など)を使った濃厚なモンブランが並び、視覚的にも「旬」を訴えかけてきます。

【重要】カフェスペースについて
北浜本館には優雅なサロン(カフェ)がありますが、京都高島屋店は「テイクアウト専門」です。イートインスペースはありませんのでご注意ください。購入したスイーツは、滞在先のホテルでゆっくり楽しんだり、天気の良い日には近くの鴨川公園のベンチでピクニック気分で味わうのが京都通の楽しみ方ですよ。

お土産にはええもんちぃの黒豆マドレーヌ

 

大粒の丹波黒豆が贅沢に入った黒豆マドレーヌ「ええもんちぃ」の断面。しっとりとした生地と素材の良さが伝わるクローズアップ。

京都旅行のお土産として、あるいはちょっとした手土産(おもたせ)として私が自信を持っておすすめするのが、「ええもんちぃ」です。これは五感の看板商品である黒豆マドレーヌで、大阪土産としての知名度が高いですが、実は京都観光の文脈でも非常に理にかなった一品なんです。

その理由は、使われている素材にあります。「ええもんちぃ」には、京都の丹波地方が誇る名産品「丹波黒(たんばぐろ)」という大粒の黒大豆がゴロッと入っています。国産の米粉と国産小麦をブレンドした生地は、洋菓子特有の重たさがなく、しっとりとしていて口どけが軽やか。そこに黒豆のほっくりとした食感と煮豆の優しい甘さが加わり、和菓子好きの方にも洋菓子好きの方にも喜ばれる絶妙なバランスを実現しています。

ここがポイント!
個包装になっていて日持ちもするため、職場へのばらまき土産にも最適です。「京都に行ってきたけど、あえて関西の名店『五感』の、しかも丹波黒豆を使ったお菓子を選んだよ」と言えば、センスの良さをアピールできるかもしれません。

お米のルーロで味わう旬の食材とこだわり

新潟県産コシヒカリの米粉を使用した「お米の純生ルーロ」。季節の苺を巻き込んだ、もっちりとした質感のロールケーキ。

五感のスイーツを語る上で欠かせないのが、創業以来のこだわりである「お米」です。特に「お米の純生ルーロ」は、小麦粉を一切使わず、「新潟県胎内産コシヒカリ100%」の米粉で作られたスポンジ生地が最大の特徴です。

フォークを入れた瞬間に感じる弾力と、口に入れた時のもっちりとした食感は、小麦粉のケーキでは味わえない独特の体験です。このルーロ(ロールケーキ)にも、京都の四季を感じさせる限定バージョンが頻繁に登場します。
例えば、新緑の季節には抹茶の苦味を効かせた生地に小豆を巻き込んだものや、秋には渋皮栗を贅沢に使ったものなど、その時期一番美味しい日本の食材が主役になります。クリームも甘さ控えめで、素材本来の風味(五感で言うところの味覚と嗅覚)を邪魔しないよう計算し尽くされています。

宇治抹茶や完熟苺など京都らしい素材

京都高島屋店を訪れるなら、やはり「京都らしさ」を感じる素材にも注目したいところです。五感では、京都・宇治の抹茶を使用したスイーツも数多く展開されています。

おすすめは「穂の一 宇治臼挽茶(うじうすびきちゃ)」です。これは外側が北陸産もち米「新大正糯」を使った最中(もなか)の皮で、その中に石臼で丁寧に挽かれた宇治抹茶を練り込んだチョコレートクッキー生地を流し込んで焼き上げた、新感覚のクッキーです。
サクッとした最中の軽やかな音(聴覚)、鼻に抜ける深みのある抹茶の香り(嗅覚)、そしてお米の甘み(味覚)。まさに五感をフル活用して楽しむお菓子です。また、冬から春にかけては、京都府内や近隣産地の完熟苺を使ったフレッシュなケーキも並びます。これらの商品は、入荷状況によってラインナップが変わる「一期一会」の楽しみもあるので、店頭でのチェックが欠かせません。

パティスリー五感の店舗情報とアクセス

京都でパティスリー五感の世界観に触れることができるのは、現在のところ京都高島屋店のみとなっています。四条河原町という京都の中心地に位置しているため、祇園や清水寺への観光の前後にも立ち寄りやすい絶好のロケーションです。

店舗名 五感 京都高島屋店
住所 京都市下京区四条通河原町西入真町52 京都高島屋 地下1階
アクセス 阪急「京都河原町駅」直結(地下通路から雨に濡れずに行けます)
京阪「祇園四条駅」より徒歩約5分
営業時間 10:00~20:00(百貨店の営業時間に準ずる)
定休日 京都高島屋の定休日に準ずる

夕方以降は人気の商品(特にお米のルーロなどの生菓子)が売り切れてしまうことも多いので、絶対に手に入れたい場合は、午前中やお昼過ぎの早い時間に訪れることを強くおすすめします。

五感で味わう京都の和菓子と季節の移ろい

さて、ここからはもう一つのテーマ、京都が世界に誇る伝統文化「和菓子」の深淵なる世界へご案内します。「和菓子は五感の芸術である」という言葉、聞いたことはありますか?これは単なる比喩ではなく、和菓子を楽しむための具体的なメソッドなのです。

視覚と聴覚で楽しむ芸術的な上生菓子

季節の情景を写し取った芸術的な上生菓子(練り切り)。職人技が光る繊細な造形と色彩。

京都の上生菓子(じょうなまがし)は、茶道のおもてなしの精神から生まれました。その最大の特徴は、味覚だけでなく、人間の感覚すべてを刺激するように設計されている点にあります。

和菓子を味わう5つの感覚

  • 視覚(Eyesight):季節の植物や風景を「抽象化」して表現した色や形を目で楽しむ。
  • 味覚(Taste):お茶(特に抹茶)の味を引き立てる、洗練された甘みと素材の味。
  • 嗅覚(Smell):素材そのものが持つほのかな香りや、口に含んだ時の「含み香」。
  • 触覚(Touch):舌触りや喉越し、そして菓子切りで切る時の手応えや指先の感覚。
  • 聴覚(Hearing):菓子の名前(菓銘)を聞き、その響きから情景を想像する。

(出典:全国和菓子協会『和菓子は五感の芸術』

特にユニークなのが「聴覚」です。お菓子そのものが音を奏でるわけではありません。耳で名前を聞いて、心の中で景色を見る。この高度な遊びこそが、京菓子の真骨頂なのです。

菓銘の響きから想像する文学的な風景

聴覚による楽しみ方をもう少し具体的に掘り下げてみましょう。和菓子には必ず「菓銘(かめい)」と呼ばれる名前がついています。これらは単なる商品説明(例:「イチゴ大福」など)ではなく、和歌や古典文学、季語から引用された詩的なタイトルであることが多いのです。

例えば、「遠桜(とおざくら)」という銘のお菓子があったとします。目の前のお菓子は、ピンクと白のグラデーションで作られた抽象的なきんとんかもしれません。
しかし、この名前を聞いた瞬間、私たちの脳裏には「目の前の桜」ではなく、「霞たなびく遠くの山々に、ぼんやりと見える桜の風景」が広がります。あるいは、「唐衣(からごろも)」という銘からは、『伊勢物語』の在原業平の有名な和歌を連想し、杜若(かきつばた)の咲く水辺の情景や、遠く離れた都を思う旅人の哀愁までを感じ取るのです。

このように、名前という「音」をきっかけに、視覚情報を超えた広大な世界を心に描く体験は、世界中のスイーツの中でも極めて稀有な文化だと言えるでしょう。

二十四節気のカレンダーで知る旬の銘菓

京都の二十四節気を彩る四季折々の和菓子。桜餅、水無月、栗菓子など、季節の移ろいを感じさせる詰め合わせ。

京都の季節感は、「春夏秋冬」の4つだけでは語り尽くせません。約15日ごとに季節が推移する「二十四節気(にじゅうしせっき)」に合わせ、和菓子の意匠も次々と移ろいでいきます。京都を訪れる時期によって出会えるお菓子が全く違うのも、この街の魅力です。

季節 代表的な銘菓 味わいと意味
春(立春~穀雨) 引千切(ひちぎり)
桜餅
3月の雛祭りに欠かせない引千切は、宮中の忙しさを表現した形がユニーク。関西の桜餅は道明寺粉のつぶつぶした食感が特徴です。
夏(立夏~大暑) 水無月(みなづき)
若鮎
6月30日の「夏越の祓」に食べる水無月は、氷を模したういろうと、魔除けの小豆が乗った京都人のソウルフード。
秋(立秋~霜降) 月見団子
栗しぼり
京都の月見団子は里芋の形をしており、餡を衣のように巻きつけます。栗しぼりは、栗と砂糖だけで作られた秋の味覚の結晶です。
冬(立冬~大寒) 花びら餅
薯蕷(じょうよ)饅頭
ごぼうと白味噌餡を求肥で包んだ花びら餅は、新年の初釜(茶会)で出される雅な祝い菓子。冬の京都のシンボルです。

また、和菓子には季節の先取りをする「走り」、最盛期の「旬」、そして去りゆく季節を惜しむ「名残(なごり)」という考え方があります。店頭に並ぶお菓子がどの段階にあるのかを知ることも、五感で季節を感じる楽しみの一つです。

老舗の茶寮やカフェで体験する本場の味

五感を研ぎ澄ませて和菓子を味わうには、環境も大切です。京都には、素晴らしい日本庭園を眺めながら、作りたてのお菓子を頂ける茶寮(さりょう)が点在しています。私の特におすすめするスポットをいくつかご紹介します。

茶寮 宝泉(さりょう ほうせん)/下鴨

下鴨の老舗茶寮で、美しい日本庭園を眺めながら抹茶と和菓子を味わう静寂のひととき。

下鴨神社の近く、静かな住宅街に佇む名店です。ここの名物は、注文を受けてから職人が練り上げる「わらび餅」。作りたてでしか味わえない、箸で持ち上げても切れないほどの弾力(触覚)と、口の中で水のように解ける儚さ(味覚)は、まさに感動的な体験です。手入れの行き届いた枯山水の庭園を眺めながら(視覚)、静寂の中で頂く時間は何物にも代えがたい贅沢です。
(参考:京都の絶品和菓子カフェ&甘味処7選

老松(おいまつ)/嵐山・北野

有職菓子御調進所として知られる老舗です。特に夏みかんを丸ごとくり抜いて作られる「夏柑糖(なつかんとう)」は、初夏の京都の風物詩。寒天のひんやりとした喉越しと、夏みかん特有のほろ苦い香りが、蒸し暑い京都の夏に涼を運んでくれます。

職人の技に触れる手作り体験の楽しみ方

京都の和菓子作り体験で、職人の指導のもと繊細な練り切りを成形する手元の様子。

「食べる」だけでなく、自らの手で「作る」体験をすることで、和菓子への理解はさらに深まります。京都では、老舗の職人さんが直接指導してくれる和菓子作り体験(ワークショップ)が人気を集めています。

例えば、「亀屋良長(かめやよしなが)」「甘春堂(かんしゅんどう)」では、季節の上生菓子を作るクラスが開催されています。練り切り(ねりきり)と呼ばれる餡を手のひらで転がし、指先で形を整えていく作業は、まさに触覚のアート。微妙な力加減で表情が変わる繊細さを肌で感じることができます。

自分で作ったお菓子は、その場でお抹茶と一緒に頂くことができます。不格好でも、自分で作ったお菓子の味は格別。「なぜ職人の技がすごいのか」を身を持って知ることができる、貴重な時間になるはずです。

京都の和菓子を五感と季節で深く味わう

今回は「京都 五感 和菓子・季節感」というキーワードをもとに、パティスリー「五感」の現代的な魅力と、千年の歴史を持つ京菓子の奥深い世界の両方をご紹介しました。

お米のマドレーヌ「ええもんちぃ」をお土産に買って帰るのもよし、老舗の茶寮で「菓銘」の響きに耳を傾け、古の歌人の心に想いを馳せるのもよし。どちらも京都という街が持つ、豊かで多面的な「食」の体験です。

ぜひ次回の京都旅行では、スマホの画面ばかりを見るのではなく、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のすべてをフル活用して、その瞬間にしかない京都の季節を受け止めてみてください。きっと、これまでとは違った鮮やかな景色が見えてくるはずですよ。

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