NISSHAとは?企業文化「誰もやらないことをやる」と強みを解説

印刷技術から電子部品や医療分野へ発展したNISSHAの企業文化 企業文化

京都企業の企業文化シリーズ「NISSHA」個別分析ページです。NISSHAは、1929年に京都で高級美術印刷を目指して創業し、現在では産業資材、ディバイス、メディカルの3事業を世界で展開する技術企業です。

この記事では、NISSHAの企業文化の原点である「他社の手がけないことに挑む」という創業者精神、現在のNissha Philosophy、6つのコア技術、印刷会社から医療・モビリティへ変化してきた歴史、最新業績、年収、就職・転職、将来性まで整理します。

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こんにちは。日本文化ラボ(Nippon Culture Lab)、運営者の「samuraiyan(さむらいやん)」です。

京都企業の企業文化を見ていくと、会社ごとに象徴的な言葉があります。

京セラには「アメーバ経営」。

オムロンには「SINIC理論」。

SCREENには「思考展開」。

堀場製作所には「おもしろおかしく」。

TOWAには「クォーター・リード」。

では、NISSHAは何でしょうか。

NISSHAの場合、現在のNissha Philosophyだけでなく、1929年の創業時までさかのぼると、会社の性格を非常によく表す言葉があります。

「他社の手がけない高級印刷をやろう」

という創業者・鈴木直樹氏の考え方です。

NISSHA自身も現在までの成長を振り返り、創業以来の「誰もやらないことをやる」という差別化戦略が、高品質なものづくりへつながってきたと説明しています。

この考え方が面白いのは、「印刷会社として印刷を極め続ける」という意味ではなかったことです。

NISSHAは高級美術印刷で評価を得た後、印刷技術を別の用途へ転用していきました。

木目転写箔。

電子部品。

タッチセンサー。

自動車内装。

蒸着紙。

ガスセンサー。

医療機器。

そして医薬品。

現在のNISSHAを見ると、「印刷会社」と呼ぶだけでは企業の実態をほとんど説明できません。

2017年には、社名そのものを「日本写真印刷株式会社」から「NISSHA株式会社」へ変更しました。

これは単なるブランド変更ではありません。

印刷を捨てたのではなく、印刷で培った技術を別の産業へ応用し続けた結果、会社の事業領域が「印刷」という言葉では収まらなくなったのです。

そこにNISSHAという京都企業の面白さがあります。

この記事では、企業文化、歴史、技術、業績、働き方、投資、そして2026年現在の重要な経営上の確認事項まで詳しく見ていきます。

この記事でわかること

  • NISSHAとはどんな会社なのか
  • 日本写真印刷からNISSHAへ社名変更した理由
  • 創業者・鈴木直樹氏の「誰もやらないことをやる」という精神
  • Nissha Philosophyとは何か
  • 5つのShared Values
  • 印刷技術から事業を多角化できた理由
  • NISSHAの6つのコア技術
  • 産業資材・ディバイス・メディカルの3事業
  • タッチセンサー・自動車内装・医療機器との関係
  • M&Aを成長戦略に使う理由
  • 2025年12月期の最新確定業績
  • 2026年12月期1Qの業績
  • 2026年2Q決算が延期されている理由
  • NISSHAの平均年収
  • 就職・転職先として見るポイント
  • 将来性と投資で確認したいポイント

  1. NISSHAとは?京都発の「印刷を超えた」技術企業
  2. NISSHAの歴史|1929年、京都の小さな印刷所から始まった
    1. 1946年|日本写真印刷株式会社を設立
  3. 企業文化の原点|「誰もやらないことをやる」
  4. 1960年代|「紙への印刷」から飛び出した
    1. 1967年|国内初の木目転写箔
    2. 1983年|IMDを開発
  5. 電子部品へ|「印刷」がタッチセンサーになった
  6. NISSHAの6つのコア技術
  7. Nissha Philosophy|現在の企業文化を体系化
  8. 現在の5つのShared Values
  9. 企業文化の象徴「Leaders in Trusted Technologies」
  10. 2017年|「日本写真印刷」から「NISSHA」へ
  11. NISSHAの現在の3事業
  12. NISSHAの強み1|加飾技術でモビリティへ
  13. NISSHAの強み2|タッチセンサーと機能性フィルム
  14. NISSHAの強み3|蒸着紙とサステナブル資材
  15. NISSHAの強み4|M&Aで医療機器会社へ変わった
    1. CDMOとは?
  16. NISSHAの強み5|医薬品にも参入
  17. 2025年12月期業績|売上1,948億円、利益は減少
  18. 2025年12月期の事業別売上高
  19. 2026年12月期1Q|売上457億円・営業利益7.5億円
  20. 2026年9月現在|第2四半期決算は延期中
  21. 2026年12月期の会社予想|5月時点では売上1,980億円
  22. 第8次中期経営計画|「IT依存」から安定成長へ
  23. NISSHAの将来性1|医療機器CDMO
  24. NISSHAの将来性2|モビリティ
  25. NISSHAの将来性3|サステナブル資材
  26. 「M&Aが強み」であると同時にリスクにもなる
  27. NISSHAの平均年収|約742万円
  28. NISSHAへの就職・転職|どんな人と相性がよい?
    1. NISSHAと相性がよい可能性がある人
    2. 慎重に考えた方がよい人
  29. NISSHAで考えられる主な仕事
  30. NISSHA株を投資視点で見るポイント
    1. 2026年12月期は年間50円配当を計画
  31. 京都企業として見るNISSHA|「伝統」は事業ではなく技術に残す
  32. 「変わらないために変わる」を体現する京都企業
  33. 企業文化シリーズで見るNISSHA
  34. よくある質問
    1. NISSHAは何の会社ですか?
    2. NISSHAは印刷会社ですか?
    3. 日本写真印刷とNISSHAは同じ会社ですか?
    4. NISSHAの企業文化を表す言葉は?
    5. NISSHAの強みは何ですか?
    6. NISSHAの平均年収はいくらですか?
    7. NISSHAの最新売上高はいくらですか?
    8. 2026年2Q決算は発表されていますか?
    9. NISSHAの将来性は?
  35. まとめ|NISSHAの企業文化は「技術を守る」のではなく「技術を変化させる」こと

NISSHAとは?京都発の「印刷を超えた」技術企業

NISSHA株式会社は、京都市中京区に本社を置く技術系メーカーです。

現在は、

  • 産業資材
  • ディバイス
  • メディカル

の3つの事業セグメントをグローバルに展開しています。

項目 内容
会社名 NISSHA株式会社
英文名 Nissha Co., Ltd.
創業 1929年10月6日
設立 1946年12月28日
創業者 鈴木直樹氏
本社 京都市中京区壬生花井町3
代表取締役社長・最高経営責任者 鈴木順也氏
資本金 121億1,979万円
連結社員数 5,305人(2025年12月末現在)
2025年12月期売上高 1,948億98百万円
証券コード 7915
上場市場 東京証券取引所プライム市場
企業文化のキーワード 誰もやらないことをやる・Nissha Philosophy・多様性・コア技術の融合

NISSHAは現在「印刷会社」ではない創業事業は印刷ですが、現在の連結事業は産業資材、ディバイス、メディカルが中心です。出版・商業印刷は現在もグループ内で続いていますが、NISSHAグループ全体を理解するには「加工技術を異分野へ展開するメーカー」と捉える方が実態に近いです。

NISSHAの歴史|1929年、京都の小さな印刷所から始まった

NISSHAの歴史は1929年に始まります。

創業者・鈴木直樹氏が京都の自宅で印刷業を始めました。

当時掲げたのが、

「他社の手がけない高級印刷をやろう」

という考え方です。

活字を並べて大量に印刷するだけなら、多くの会社ができます。

それではなく、写真や美術作品を高い品質で再現する、他社が簡単にはできない仕事を目指しました。

京都の印刷工房で高級美術印刷を確認する日本人職人

1946年|日本写真印刷株式会社を設立

1946年には京都の印刷会社・似玉堂を吸収し、日本写真印刷株式会社が誕生します。

その後、美術全集や展覧会図録などの分野で評価を高めました。

1962年の『国宝』、1966年の『原色日本の美術』など、時代を代表する出版物を手がけ、「高級美術印刷のNISSHA」として存在感を確立していきます。

企業文化の原点|「誰もやらないことをやる」

NISSHAの企業文化を考えるとき、「高級美術印刷を得意とした会社だった」で終わらせてはいけません。

重要なのは、なぜ高級美術印刷を選んだのかです。

他社と同じことをするのではなく、他社が簡単にはできない領域を選ぶ。

この差別化の発想こそ、その後のNISSHAを理解する鍵になります。

会社自身も現在までの成長について、創業者が志した「誰もやらないことをやる」という差別化戦略を実践してきた成果だと説明しています。

NISSHAらしさを簡単に整理すると

  • 他社と同じ市場で価格だけを競わない
  • 自社技術を別の用途へ転用する
  • 新しい市場へ早く入る
  • 必要ならM&Aで新しい能力を取り込む
  • 技術と人材の多様性を組み合わせる

つまりNISSHAの企業文化は、「一つの技術を守り続ける」というより、

自分たちの技術の本質を理解し、時代に合わせて使い道を変える文化

だと見ると分かりやすくなります。

1960年代|「紙への印刷」から飛び出した

NISSHAに最初の大きな転換が訪れたのが1960年代です。

紙への印刷だけを続けていては、将来的な成長に限界がある。

そこで、印刷で培った「表面に意匠や機能を付ける技術」を別の素材へ応用しました。

1967年|国内初の木目転写箔

1967年には国内初の木目転写箔を開発し、家電市場へ参入します。

テレビなどのプラスチック製筐体へ木目模様を転写する技術です。

考えてみると、これは「印刷」をやめたわけではありません。

紙へインクを載せていた技術を、立体物や工業製品の表面へ広げたのです。

現在のNISSHAの産業資材事業につながる重要な転換でした。

1983年|IMDを開発

1983年には、成形と同時にデザインを転写するIMD(成形同時加飾転写)システムを開発しました。

現在では自動車内装や家電など、さまざまな製品へ加飾技術が使われています。

電子部品へ|「印刷」がタッチセンサーになった

NISSHAのもう一つの転換が電子部品です。

印刷には、非常に細かな模様を正確な位置に形成する技術があります。

その技術を、模様ではなく電気的な機能を持つパターンへ応用しました。

1970年代から電子部品へ進出し、1985年には抵抗膜方式透明タッチセンサーを開発。

2012年にはフォトリソグラフィーを使った静電容量方式のフィルムタッチセンサーを開発し、世界的なIT機器メーカーへ採用されました。

「印刷会社がなぜタッチセンサーを作れるの?」印刷には「薄い膜を作る」「細かなパターンを形成する」「複数素材を重ねる」といった技術があります。NISSHAは、これらを意匠だけではなく電子機能へ応用したことで、ディバイス事業を育てました。

NISSHAの6つのコア技術

現在のNISSHAは、自社の競争力を6つのコア技術として整理しています。

コア技術 簡単な意味
印刷 インクによって意匠や機能を付与する
コーティング 薄い膜を形成する
ラミネーション 複数の薄い素材を積層する
成形 素材を立体的な形へ加工する
パターンニング 機能を持つ微細パターンを形成する
金属加工 金属の切削・切断・表面加工を行う

NISSHAの特徴は、この6つをそれぞれ単独で使うのではなく、複数を組み合わせるところです。

NISSHAのコア技術を活用した機能性フィルムと精密部品の研究開発

たとえば医療機器であれば、印刷、コーティング、ラミネーション、成形、パターンニング、金属加工という複数の技術を組み合わせられます。

これが、印刷会社から医療機器企業まで事業を広げられた理由のひとつです。

Nissha Philosophy|現在の企業文化を体系化

現在のNISSHAでは、会社のMissionと社員が共有する行動原則を「Nissha Philosophy」として体系化しています。

Missionでは、世界各地の多様な人材能力と情熱、技術を結集し、それを経済的・社会的価値へ発展させることで、人々の豊かな生活へ貢献することを目指しています。

ここでもキーワードは「多様性」と「技術」です。

自社だけの一つの技術に固執するのではありません。

異なる人。

異なる国。

異なる事業。

異なる技術。

それらを組み合わせ、新しい価値へ変えることを重視しています。

現在の5つのShared Values

Nissha Philosophyの中で、社員が共有する価値観として5つのShared Valuesが設定されています。

NISSHAのShared Values

  • Customer is Our Priority:お客さま価値を最大化する
  • Diversity and Inclusion:多様な人材能力を組織の力へ変える
  • Commitment to Results:成果にこだわる
  • Accomplished with Efficiency:スピードを重視し仕事を完遂する
  • Act with Integrity:誠実に行動し信頼を守る

この5つを見ると、現在のNISSHAが目指す企業文化がよく分かります。

「新しいことに挑戦する」だけではありません。

顧客価値。

多様性。

成果。

スピード。

誠実さ。

これらを同時に求めています。

企業文化の象徴「Leaders in Trusted Technologies」

NISSHAは現在、コーポレートタグラインとして、

「Leaders in Trusted Technologies」

を掲げています。

NISSHAは加工技術を強みにするメーカーです。

ただし高性能な技術だけでは、医療、自動車、電子機器などの市場では継続的に採用されません。

品質や安全性を含め、「信頼できる技術」であることが重要です。

創業時の高級美術印刷でも、現在の医療機器でも、求められるものは異なります。

しかし「高い品質で顧客の期待に応える」という考え方には共通性があります。

2017年|「日本写真印刷」から「NISSHA」へ

NISSHAの企業文化を象徴する出来事が、2017年の社名変更です。

旧社名は、

日本写真印刷株式会社

でした。

しかし、その時点ですでに会社の事業は、

  • 産業資材
  • タッチセンサー
  • 自動車関連
  • 医療機器

などへ大きく広がっていました。

「印刷会社」という社名と、実際の事業内容との距離が大きくなったのです。

そこで2017年10月6日、社名を「NISSHA株式会社」へ変更しました。

社名変更から分かるNISSHAの特徴祖業を否定したのではありません。印刷技術を土台に事業を広げ続けた結果、「印刷」という事業名では会社全体を表せなくなりました。祖業の技術を残しながら会社の形を変える、NISSHAらしい変革です。

NISSHAの現在の3事業

2026年からNISSHAの報告セグメントは、

  • 産業資材
  • ディバイス
  • メディカル

の3つとして整理されています。

事業 主な製品・市場
産業資材 自動車・家電向け加飾フィルム・成形品、蒸着紙、サステナブル成形品など
ディバイス フィルムタッチセンサー、ガスセンサーなど
メディカル 低侵襲医療用手術機器、医療用ウェアラブルセンサー、医薬品など

NISSHAの強み1|加飾技術でモビリティへ

産業資材事業では、NISSHAの印刷・成形技術を使い、さまざまな製品表面へデザインや機能を与えています。

現在では特にモビリティ分野が重要です。

自動車の内装では、単に部品としての形があるだけでなく、

  • 木目
  • 金属調
  • ピアノブラック
  • 各種デザイン
  • 照明やセンサーとの融合

など、デザイン性と機能性が求められます。

NISSHAは「表面へ価値を付ける」という印刷会社時代からの技術を、自動車市場へ展開しています。

NISSHAの加飾技術をイメージした木目調の次世代自動車内装

NISSHAの強み2|タッチセンサーと機能性フィルム

ディバイス事業の代表製品が、フィルムベースのタッチセンサーです。

タブレット、物流端末、自動車、ゲーム機器などに採用されています。

薄いフィルムの上へ高精度な回路パターンを形成する技術は、NISSHAが長年積み重ねてきた印刷・パターンニング技術と相性のよい分野です。

一方でIT機器市場には需要の波があります。

特定の大型製品や顧客の新製品サイクルによって需要が変動しやすいため、現在のNISSHAはIT機器への依存を下げ、事業ポートフォリオを安定化させることを重要課題としています。

NISSHAの強み3|蒸着紙とサステナブル資材

NISSHAの産業資材には、蒸着紙という少し珍しい製品もあります。

紙の表面に金属的な光沢を与えた素材で、飲料・食品などのラベルやパッケージに使用されます。

プラスチック削減やリサイクル性への関心が高まる中、紙をベースとしたサステナブルな包装資材は重要性が高まっています。

NISSHAは2015年にベルギーの大手蒸着紙メーカーを買収し、この分野をグローバル事業へ育ててきました。

NISSHAの強み4|M&Aで医療機器会社へ変わった

NISSHAの現在を考えるうえで非常に重要なのがM&Aです。

自社技術だけですべての新事業をゼロから作るのではなく、自社にない技術・顧客・生産基盤を持つ企業をグループへ取り込んできました。

代表例が医療です。

2016年に米国の医療機器メーカーを買収して医療機器分野へ参入。

2017~2018年にも複数の医療機器会社を買収し、事業を拡大しました。

現在ではNissha Medical Technologiesとして、欧米を中心に大手医療機器メーカー向けCDMOを展開しています。

CDMOとは?

CDMOとは、顧客企業から製品の設計・開発・製造などを受託するビジネスです。

NISSHAの医療機器分野では、

  • 低侵襲手術用機器
  • 医療用ウェアラブルセンサー
  • 医療用電極

などを手がけています。

「印刷会社が医療機器を作る」と聞くと遠い事業に見えます。

しかし実際には、微細加工、成形、積層、金属加工、電極形成など、NISSHAのコア技術との接点があります。

NISSHAの医療機器CDMOをイメージした精密部品の検査工程

NISSHAの強み5|医薬品にも参入

2019年には国内の製薬会社を買収し、医薬品分野へ参入しました。

現在では一般用医薬品などのCDMOも強化しています。

2026年から報告セグメントの「メディカル」には、医療機器だけではなく医薬品も含まれるようになりました。

つまりNISSHAは、

高級美術印刷。

工業製品の加飾。

電子デバイス。

医療機器。

医薬品。

と事業領域を広げています。

それでも、中心にあるのは加工技術と顧客ニーズを組み合わせる能力です。

2025年12月期業績|売上1,948億円、利益は減少

2025年12月期のNISSHAは、連結売上高1,948億98百万円でした。

一方、営業利益は40億40百万円となり、前期から減少しました。

項目 2024年12月期 2025年12月期 前期比
売上高 1,955億98百万円 1,948億98百万円 ▲0.4%
営業利益 54億57百万円 40億40百万円 ▲26.0%
税引前利益 62億2百万円 35億51百万円 ▲42.7%
親会社所有者帰属利益 38億51百万円 10億1百万円 ▲74.0%

会社は、モビリティ向け新製品の立ち上げ費用や、医薬品CDMOの生産能力拡大に向けた先行費用などが利益を圧迫したと説明しています。

売上高だけでNISSHAを判断しないNISSHAは現在、事業ポートフォリオをIT機器中心から医療・モビリティ・環境分野へ変えている途中です。M&Aや新製品、生産設備への先行投資が利益を押し下げる局面もあるため、営業利益率と事業別の収益性を見ることが重要です。

2025年12月期の事業別売上高

事業 2025年12月期売上高 主な特徴
産業資材 763億15百万円 モビリティ・加飾・蒸着紙など
ディバイス 584億52百万円 タッチセンサー・ガスセンサーなど
メディカルテクノロジー 471億30百万円 医療機器CDMO・自社ブランドなど
その他 130億円 医薬品などを含む

なお、2026年1月から「メディカルテクノロジー」は「メディカル」へ名称変更され、医薬品も同セグメントへ含まれる形に再編されています。

2026年12月期1Q|売上457億円・営業利益7.5億円

2026年5月12日に発表された第1四半期決算では、売上高457億90百万円、営業利益7億50百万円でした。

項目 2025年1Q 2026年1Q 前年同期比
売上高 474億42百万円 457億90百万円 ▲3.5%
営業利益 14億32百万円 7億50百万円 ▲47.6%
税引前利益 5億92百万円 7億51百万円 +26.8%
親会社所有者帰属四半期利益 12百万円 4億22百万円 増加

産業資材とメディカルは比較的堅調だった一方、タブレット向けなどディバイス需要が減少し、売上高と営業利益が前年同期を下回りました。

2026年9月現在|第2四半期決算は延期中

ここは現在のNISSHAを企業研究するうえで重要です。

2026年9月3日時点で、2026年12月期第2四半期の決算はまだ発表されていません。

当初は2026年8月6日に発表する予定でした。

しかし、2026年5月にNISSHAが株式60%を取得して子会社化したベトナムの医療機器メーカーUSM HEALTHCARE MEDICAL DEVICES JOINT STOCK COMPANYについて、買収前の期間に不適切な会計処理が行われていたことが判明しました。

会社によると、循環取引を中心とする不適切な会計処理や、簿外債務の可能性などについて調査を進めています。

ここは表現を正確に区別する必要がありますNISSHAは、本件について「NISSHAによる買収前にUSMの役職員によって開始されたもので、NISSHAが関与した事実はない」と公表しています。2026年9月3日時点では調査中であり、連結財務諸表への最終的な影響額や関連する法令違反の有無などは確定していません。

半期報告書の提出期限は、当初の2026年8月14日から2026年10月23日まで延長されています。

会社は、第2四半期決算短信についても同期限までに公表するとしています。

2026年12月期の会社予想|5月時点では売上1,980億円

2026年5月12日時点で会社が公表している通期計画は、次の通りです。

項目 2026年12月期計画
売上高 1,980億円
営業利益 70億円
営業利益率 約3.5%
税引前利益 57億円
親会社所有者帰属当期利益 32億円

現在は第2四半期決算の発表待ちです上記は2026年5月12日時点で公表された計画です。その後、USMに関する調査が進行しているため、2026年9月3日時点では今後の正式な決算発表・業績予想更新を確認することが重要です。

第8次中期経営計画|「IT依存」から安定成長へ

NISSHAでは、2024年から2026年まで第8次中期経営計画を進めています。

重要なテーマは事業ポートフォリオの強化です。

かつてNISSHAはIT機器向けディバイスの比率が大きく、顧客の新製品サイクルによって業績が大きく上下しやすい構造でした。

そこで現在は、より安定的な成長が期待できる非IT分野へ事業を広げています。

NISSHAが重点的に成長させる市場

  • メディカル
  • モビリティ
  • サステナブル資材

一方、タブレットなどIT機器向け事業では、売上規模だけを追うのではなく、生産性・効率性と資本効率を重視する方向です。

NISSHAの将来性1|医療機器CDMO

現在のNISSHAで最も重要な成長分野のひとつが、医療機器CDMOです。

特に、身体への負担を小さくする低侵襲治療や手術ロボットなどでは、小型で高精度な医療機器が必要です。

NISSHAは、

  • 微細成形
  • 金属加工
  • 電極
  • コーティング
  • 積層

といった複数の技術を組み合わせられるため、医療機器との相性があります。

自社ブランドだけで世界の巨大医療機器メーカーと競争するのではなく、顧客企業の設計・開発・製造を支えるCDMOという立ち位置も特徴です。

NISSHAの将来性2|モビリティ

自動車市場もNISSHAが重点化している分野です。

自動車内装は、単純な装飾部品から、

  • 大型ディスプレイ
  • タッチ操作
  • 照明
  • センサー
  • デザイン

を組み合わせたインターフェースへ変わりつつあります。

NISSHAは「表面のデザイン」と「電子機能」の両方に技術を持っています。

そのため、車内の意匠と機能を融合した部品へ事業を広げられる可能性があります。

NISSHAの将来性3|サステナブル資材

環境負荷低減も長期戦略の柱です。

プラスチック使用量を減らす包装資材やパルプ成形品、蒸着紙など、循環型社会に関連する製品を育てています。

NISSHAの2030年に向けたサステナビリティビジョンでは、

  • メディカル
  • モビリティ
  • 環境

に関する社会課題の解決を重要なテーマとしています。

「M&Aが強み」であると同時にリスクにもなる

NISSHAの成長を語るうえで、M&Aは欠かせません。

ガスセンサー。

蒸着紙。

自動車向け成形。

医療機器。

医薬品。

これらの事業の拡大には企業買収が大きく関わっています。

M&Aを使えば、技術・顧客・人材・製造拠点を短期間で取得できます。

一方で、買収先の企業文化、会計、内部統制、品質、事業収益性などを適切に確認し、グループとして管理する必要があります。

2026年のUSMの件は、NISSHAがM&Aを今後も成長戦略として使ううえで、買収前のデューデリジェンスと買収後のPMI・ガバナンスの重要性を改めて示す出来事でもあります。

NISSHAの平均年収|約742万円

2025年12月期の有価証券報告書によると、NISSHA株式会社単体の平均年間給与は741万9,000円です。

項目 2025年12月31日現在
単体従業員数 724人
平均年齢 42.6歳
平均勤続年数 15.7年
平均年間給与 7,419,000円

平均年間給与には賞与・基準外給与が含まれています。

平均年収は入社時の年収ではありません実際の給与は年齢、職種、役割、勤務地、評価などによって異なります。就職・転職では、最新の募集要項や提示条件を確認してください。

京都企業全体の給与水準を比較したい方は、京都企業の年収ランキング|任天堂・京セラ・村田製作所など給与水準を比較も参考になります。

NISSHAへの就職・転職|どんな人と相性がよい?

NISSHAを就職・転職先として見る場合、現在の事業内容だけではなく、この「変化する会社」という性格を理解しておくことが大切です。

NISSHAと相性がよい可能性がある人

  • 一つの技術を別の市場へ応用することに興味がある人
  • 新しい事業への挑戦を楽しめる人
  • 多様な国籍・専門性の人と働きたい人
  • モビリティ・医療・環境分野に関心がある人
  • 印刷・材料・化学・機械・電子の知識を活かしたい人
  • 顧客企業と一緒に製品を開発したい人
  • グローバルなBtoBビジネスに関わりたい人
  • 成果とスピードの両方を重視できる人
  • 既存のやり方に固執せず変化できる人

慎重に考えた方がよい人

  • 事業内容が変化しない会社だけを求める人
  • 海外や異文化との協働を避けたい人
  • 継続的な技術習得を避けたい人
  • M&A後の組織変化が苦手な人
  • 明確な成果やスピードを求められる環境が合わない人

NISSHAで考えられる主な仕事

分野 主な仕事内容
研究開発 材料、印刷、コーティング、センサー、新製品など
製品開発 自動車部品、ディバイス、医療機器など
生産技術 工程設計、自動化、品質・生産性改善など
品質保証 自動車・医療など各市場に応じた品質管理
営業・マーケティング グローバル顧客への提案・市場開拓
医療関連 医療機器CDMO、医薬品、品質・薬事など
経営企画・M&A 事業ポートフォリオ、企業買収、PMIなど
管理部門 財務、人事、法務、内部監査、DXなど

京都企業への転職については、京都の大企業転職ガイド|任天堂・京セラなど人気企業の特徴と難易度も参考になります。

NISSHA株を投資視点で見るポイント

NISSHAは東京証券取引所プライム市場に上場しています。

証券コードは7915です。

投資では「印刷会社」として見るより、事業ポートフォリオ改革が成功するかを見る必要があります。

投資で確認したいポイント

  • 営業利益率
  • ROE・ROIC
  • IT機器向けディバイスの需要
  • 医療機器CDMOの成長率
  • モビリティ事業の収益性
  • サステナブル資材の成長
  • M&A後の収益改善
  • のれん・無形資産
  • 営業キャッシュフロー
  • 海外事業の収益性
  • 為替
  • USMに関する調査結果
  • 内部統制・PMI
  • 配当・自己株式取得

2026年12月期は年間50円配当を計画

2025年12月期の年間配当は1株50円でした。

2026年12月期も、中間25円、期末25円の年間50円を計画しています。

2026年8月には中間配当25円が決定されています。

NISSHAの株主還元方針は、成長投資を優先しながら、業績・配当性向・財務健全性などを考慮し、安定配当を継続することを基本としています。

投資に関する注意この記事はNISSHAや京都企業を理解するための一般的な企業研究記事です。特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。2026年9月現在はUSMに関する調査および第2四半期決算発表の延期という重要な確認事項があります。必ずNISSHA公式IRの最新開示をご確認ください。

京都企業として見るNISSHA|「伝統」は事業ではなく技術に残す

NISSHAは、京都企業を考えるうえで非常に面白い会社です。

1929年に始めたのは高級美術印刷でした。

普通なら、高級印刷の老舗としてブランドを守る道もあったはずです。

しかしNISSHAは、印刷という完成品にこだわりませんでした。

印刷の中にある、

  • 色を再現する技術
  • 薄膜を形成する技術
  • 細かなパターンを作る技術
  • 素材へ付加価値を与える技術

を取り出し、新しい市場へ使いました。

その結果、木目転写箔になり、タッチセンサーになり、自動車部品になり、医療機器になりました。

つまりNISSHAにとって守るべき「伝統」は、昔と同じ商品を作り続けることではありません。

他社が簡単にはできない高品質な技術で、顧客が必要とする新しい価値を生むこと。

そこに創業時からの一貫性があります。

京都企業が世界で強い理由については、京都企業はなぜ強い?世界で戦う技術企業が京都に集まる理由もあわせてご覧ください。

「変わらないために変わる」を体現する京都企業

NISSHAの歴史を見ると、京都企業についてよく語られる「伝統と革新」という言葉を、具体的な事業として理解できます。

印刷をやめたから、伝統を捨てたわけではありません。

印刷技術を変化させたからこそ、その技術を約100年にわたって使い続けることができました。

1929年。

紙への高級美術印刷。

1967年。

工業製品への木目転写。

1980年代。

電子部品・タッチセンサー。

2000年代。

世界市場。

2010年代。

医療機器。

2020年代。

モビリティ・医療・環境。

商品は大きく変わっています。

しかし「誰もやらないことへ挑む」という考え方は変わっていません。

企業文化シリーズで見るNISSHA

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よくある質問

NISSHAは何の会社ですか?

京都市中京区に本社を置く技術系メーカーです。現在は産業資材、ディバイス、メディカルの3事業を中心に、自動車向け加飾部品、タッチセンサー、ガスセンサー、医療機器、医薬品などを展開しています。

NISSHAは印刷会社ですか?

創業は高級美術印刷ですが、現在のグループ事業は印刷の領域を大きく超えています。創業時からの印刷技術をコーティング、成形、パターンニングなどへ発展させ、工業・電子・医療分野へ展開しています。

日本写真印刷とNISSHAは同じ会社ですか?

はい。日本写真印刷株式会社は2017年10月6日にNISSHA株式会社へ社名変更しました。

NISSHAの企業文化を表す言葉は?

現在はNissha Philosophyと5つのShared Valuesが企業文化の基本です。その源流には、創業者が掲げた「他社の手がけない高級印刷をやろう」という発想があり、会社自身も「誰もやらないことをやる」という差別化戦略として振り返っています。

NISSHAの強みは何ですか?

印刷、コーティング、ラミネーション、成形、パターンニング、金属加工という6つのコア技術を組み合わせ、異なる市場へ応用できることが大きな強みです。

NISSHAの平均年収はいくらですか?

2025年12月期の有価証券報告書では、NISSHA単体の平均年間給与は741万9,000円、平均年齢42.6歳、平均勤続年数15.7年です。

NISSHAの最新売上高はいくらですか?

最新の確定通期業績である2025年12月期の連結売上高は1,948億98百万円です。

2026年2Q決算は発表されていますか?

2026年9月3日時点では発表されていません。2026年5月に子会社化したベトナムのUSMについて、買収前の期間の不適切な会計処理が判明したため調査が進められています。半期報告書の提出期限は2026年10月23日まで延長されています。

NISSHAの将来性は?

医療機器CDMO、モビリティ、サステナブル資材が主な成長機会です。一方、IT機器需要の変動、M&A後の収益化、USMに関する調査、利益率の改善などを確認する必要があります。

まとめ|NISSHAの企業文化は「技術を守る」のではなく「技術を変化させる」こと

NISSHAは1929年、京都で始まりました。

創業者・鈴木直樹氏が目指したのは、普通の印刷会社ではありませんでした。

「他社の手がけない高級印刷をやろう」。

誰もができる仕事ではなく、自分たちにしかできない高品質な仕事をする。

この考え方がNISSHAの原点です。

その後、高級美術印刷で評価を確立します。

しかしNISSHAは、紙への印刷だけにとどまりませんでした。

印刷技術を工業製品へ応用し、木目転写箔を開発。

さらに電子部品へ応用し、タッチセンサーへ。

成形技術を加えて自動車部品へ。

M&Aによって医療機器へ。

そして医薬品へ。

2017年には「日本写真印刷」という社名から「NISSHA」へ変わりました。

印刷という祖業を忘れたからではありません。

むしろ、印刷の中にある技術を徹底的に分解し、新しい市場で使い続けた結果です。

現在のNISSHAでは、それを6つのコア技術として整理しています。

印刷。

コーティング。

ラミネーション。

成形。

パターンニング。

金属加工。

さらにNissha Philosophyでは、人材と技術の多様性を組み合わせ、新しい経済的・社会的価値へ変えることを重視しています。

現在は大きな転換期でもあります。

IT機器への依存を減らし、メディカル、モビリティ、サステナブル資材へ事業ポートフォリオを変えています。

一方で、2026年には買収したUSMで買収前の不適切な会計処理が判明し、第2四半期決算の発表が延期されています。

これはM&Aによって事業を拡大してきたNISSHAにとって、買収後の統合やガバナンスをどう強化するかという重要な課題でもあります。

それでも、この会社の約100年の歴史を見ると、一つの共通点があります。

市場が変わったときに、昔の成功体験だけにこだわらないことです。

「誰もやらないことをやる」。

1929年には、それが高級美術印刷でした。

1960年代には工業製品への加飾。

1980年代以降は電子デバイス。

現在は医療・モビリティ・環境です。

商品は変えても、他社とは違う技術で新しい価値を生み出す姿勢は変えない。

そこに、京都企業・NISSHAの企業文化を見ることができます。

この記事の要点

  • NISSHAは1929年に京都で創業
  • 創業者は鈴木直樹氏
  • 原点は「他社の手がけない高級印刷をやろう」という発想
  • 会社自身も「誰もやらないことをやる」という差別化戦略を強みとしている
  • 1946年に日本写真印刷株式会社を設立
  • 1967年に国内初の木目転写箔を開発
  • 電子部品・タッチセンサーへ事業を多角化
  • 2017年にNISSHA株式会社へ社名変更
  • 現在の企業文化はNissha Philosophyとして体系化
  • 5つのShared Valuesを設定
  • 6つのコア技術を組み合わせて新製品を創出
  • 現在は産業資材・ディバイス・メディカルの3事業
  • メディカル・モビリティ・サステナブル資材を重点市場に設定
  • 2025年12月期売上高は1,948億98百万円
  • 平均年間給与は741万9,000円
  • 2026年2Q決算はUSMの買収前会計問題の調査により延期中
  • 半期報告書の提出期限は2026年10月23日
  • 今後は事業ポートフォリオ改革とM&A後のガバナンスが重要

NISSHAの公式情報会社概要、事業、歴史については、NISSHA公式サイトをご確認ください。

企業理念については、Nissha Philosophy公式ページをご確認ください。

決算、中期経営計画、株式情報については、NISSHA公式IR情報をご確認ください。

最新の適時開示については、NISSHA適時開示資料をご確認ください。

ご利用にあたっての注意この記事は2026年9月3日時点で確認できるNISSHA公式サイト、公式IR資料、有価証券報告書、適時開示資料などをもとに作成しています。2026年現在、連結子会社USMに関する調査および2026年12月期第2四半期決算の発表延期が続いているため、今後、業績・財務情報などが更新される可能性があります。就職・転職・投資などの判断を行う際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。

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