京都企業の企業文化シリーズ「サンコール」個別分析ページです。サンコール株式会社は、京都市右京区に本社を置く精密部品メーカーです。1943年の創業以来、金属の精密塑性加工をコア技術とし、材料から精密加工品まで一貫して生産する独自のものづくりを発展させてきました。
この記事では、サンコールの企業文化を象徴する「技翔創変」、企業理念、精密塑性加工技術、材料から製品までの一貫生産、自動車部品、EV用バスバー、電流センサー、AIデータセンター向け光通信部品、中期経営計画、最新業績、年収、就職・転職、将来性まで詳しく解説します。
こんにちは。日本文化ラボ(Nippon Culture Lab)、運営者の「samuraiyan(さむらいやん)」です。
京都企業の企業文化を見ていくと、それぞれの会社を象徴する言葉があります。
京セラには「アメーバ経営」。
オムロンには「SINIC理論」。
SCREENには「思考展開」。
TOWAには「クォーター・リード」。
NISSHAには「誰もやらないことをやる」。
三洋化成工業には「界面制御技術・顧客密着・挑戦」。
第一工業製薬には「研究努力」と「こたえる、化学。」。
たけびしには「進取創造」と「!Link」があります。
では、京都の精密部品メーカーであるサンコールはどうでしょうか。
その企業文化を象徴する言葉が、
「技翔創変」
です。
少し珍しい四字熟語ですが、サンコールが独自に掲げる経営理念です。
「技翔」とは、
技術を飛翔させていくこと。
会社は「特異な技術なくしてSUNCALLは存在し得ない」という考えを示しています。
そして「創変」とは、
世の中の変化についていくのではなく、自ら変化を創り、リードしていくこと。
この2つを合わせたものが「技翔創変」です。
サンコールの歴史を見ると、この言葉が現在の会社に非常によく合っています。
創業時に作っていたのは、航空機用エンジンの弁ばねに使う高級鋼材でした。
戦後は自動車用弁ばね。
さらにビードワイヤー。
精密異形線。
プリンター部品。
HDD用サスペンション。
光通信部品。
EV用バスバー。
電流センサー。
歩行支援ロボット。
そして竹を利用したサステナブル材料。
へと技術の用途を広げてきました。
現在は特に、
- 自動車電動化
- AI・データセンター向け光通信
- 環境・エネルギー
- 医療・介護
といった分野へ技術を展開しています。
一方で、長年大きな事業だったHDD用サスペンションからは撤退しました。
過去の主力事業を守り続けるのではなく、成長性のある分野へ経営資源を移す。
この事業改革も「創変」という企業文化を理解する重要な事例です。
この記事では、そんなサンコールを歴史、企業文化、技術、事業、業績、人材、投資、将来性の面から詳しく見ていきます。
この記事でわかること
- サンコールとはどんな会社なのか
- 1943年に京都で始まった歴史
- 経営理念「技翔創変」とは何か
- サンコールの企業理念・企業指針
- 精密塑性加工技術とは何か
- 材料から精密加工品までの一貫生産の強み
- 自動車部品メーカーとしての強み
- EV用バスバーとは何か
- 電流センサーとの関係
- AI・データセンター向け光通信事業
- なぜHDD用サスペンション事業から撤退したのか
- 医療・介護・竹サステナブル事業
- 中期経営計画2027
- 2026年3月期と2027年3月期1Qの最新業績
- サンコールの平均年収
- 就職・転職先として見るポイント
- 株式投資で確認したいポイント
- サンコールとは?京都発の精密部品メーカー
- サンコールは何を作っている会社?
- 1943年|航空機用エンジンの高級鋼材から始まった
- 1952年|自動車用エンジン弁ばねへ
- 1980年代|電子・情報機器へ進出
- 1991年|「サンコール株式会社」へ社名変更
- サンコールの企業文化「技翔創変」とは?
- サンコールの企業理念|「技術集約型精密製品の創造」
- 5つの企業指針
- 行動指針|挑戦心とチームプレイ
- 採用でも「挑戦」を重視
- サンコール最大の強み|精密塑性加工技術
- 異形ダイスと精密異形線
- 強み|材料から精密加工品まで一貫生産
- サンコールの強み1|自動車部品
- 自動車電動化で「エンジン部品会社」から変わる
- EV用「バスバー」とは?
- 2026年度からバスバー事業を本格拡大
- 電流センサー|EVからデータセンターへ
- サンコールの強み2|光通信とAIデータセンター
- 次世代「SNコネクタ」へ
- 2027年3月期1Q|通信関連売上は42.7%増
- サンコールの強み3|プリンター部品
- HDD用サスペンションから撤退|「創変」を象徴する事業改革
- 2026年3月期|売上減でも営業利益は約2倍
- 2027年3月期1Q|売上・利益は減少、ただし事業構造が変化
- 2027年3月期予想を大幅上方修正
- 中期経営計画2027|再構築・安定収益・次の成長
- 中期経営計画の3つの基本方針
- 2026年5月に中期経営計画目標を上方修正
- 将来性1|AIデータセンターと光通信
- 将来性2|EV・電動化
- 将来性3|医療・介護ロボット
- 将来性4|京都の「竹」を使うサステナブル事業
- サンコールの平均年収|約645万円
- サンコールへの就職・転職|どんな仕事がある?
- サンコールと相性がよい人は?
- サンコール株を投資視点で見るポイント
- 2027年3月期は年間35円配当予想
- 京都企業として見るサンコール|「材料」から世界を支える会社
- サンコールの企業文化は「古い技術を守る」のではなく「飛翔させる」こと
- 企業文化シリーズで見るサンコール
- よくある質問
- まとめ|サンコールの企業文化は「技術を飛翔させ、自ら変化を作る」こと
サンコールとは?京都発の精密部品メーカー
サンコール株式会社は、京都市右京区梅津に本社を置く精密部品メーカーです。
1943年に創業し、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
証券コードは5985です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | サンコール株式会社 |
| 英文名 | SUNCALL CORPORATION |
| 創業 | 1943年6月 |
| 本社 | 京都府京都市右京区梅津西浦町14番地 |
| 代表取締役社長執行役員 | 奈良正氏 |
| 資本金 | 48億8百万円 |
| 単体従業員数 | 493人(2026年3月31日現在) |
| 連結従業員数 | 1,897人(2026年3月31日現在) |
| 2026年3月期売上高 | 522億23百万円 |
| 上場市場 | 東京証券取引所スタンダード市場 |
| 証券コード | 5985 |
| 経営理念 | 技翔創変 |
| コア技術 | 精密塑性加工技術 |
サンコールは東証「スタンダード」市場です京都には東証プライム上場企業が多いため混同しやすいですが、2026年9月3日時点でサンコールの上場市場は東京証券取引所スタンダード市場です。
サンコールは何を作っている会社?
サンコールの製品の多くは、一般消費者から直接見えるものではありません。
自動車。
プリンター。
データセンター。
通信設備。
医療・介護機器。
などの中に組み込まれる部品や材料です。
代表的な製品には、
- 弁ばね用鋼線
- 自動車用ばね
- リングギア
- ドライブプレート
- シートベルト用ぜんまいばね
- EV用バスバー
- 電流センサー
- プリンター用ローラー
- 光通信コネクタ
- 光通信アダプタ
などがあります。
サンコールを簡単にいうと「小さいが高い精度が必要な金属部品・機能部品を作る会社」です。特に金属を削るだけではなく、材料を伸ばす・曲げる・成形するといった精密塑性加工を得意としています。
1943年|航空機用エンジンの高級鋼材から始まった
サンコールの歴史は1943年6月に始まります。
現在の京都本社所在地で、
「三興線材工業株式会社」
として設立されました。
設立目的は、航空機用エンジンの弁ばねに使用する高級鋼材を製造することでした。

つまり会社の原点から、
- 金属材料
- 高強度
- ばね
- 精密加工
という現在につながる技術を扱っていました。
1952年|自動車用エンジン弁ばねへ
戦後、日本で自動車産業が成長すると、サンコールも自動車分野へ進みます。
1952年にはトヨタ自動車などへ自動車エンジン用弁ばねの納入を開始しました。
1953年には自動車用ビードワイヤーの量産化にも成功。
その後、自動車産業の成長とともに事業を拡大していきます。
1980年代|電子・情報機器へ進出
サンコールは自動車だけに事業を限定しませんでした。
1984年には電子回路検査機器用プローブ。
1985年にはHDD用サスペンション。
など、電子・情報機器分野へ進出します。
精密金属加工という同じ技術を、異なる産業へ応用したのです。
1991年|「サンコール株式会社」へ社名変更
1991年4月、三興線材工業から現在の「サンコール株式会社」へ社名を変更しました。
その後は米国、中国、香港、ベトナム、タイなど海外にも事業拠点を展開。
京都の会社でありながら、グローバルな部品供給体制を構築しています。
サンコールの主な歴史
- 1943年:三興線材工業株式会社として京都で創業
- 1952年:自動車エンジン用弁ばねの納入開始
- 1953年:自動車用ビードワイヤーを量産化
- 1964年:大阪証券取引所第二部・京都証券取引所へ上場
- 1984年:電子回路検査機器用プローブを生産開始
- 1985年:HDD用サスペンションを生産開始
- 1989年:米国へ進出
- 1991年:サンコール株式会社へ社名変更
- 2004年:10ギガビット光トランシーバーを開発・量産化
- 2024年:HDD用サスペンション事業からの撤退を決定
- 2025年:中期経営計画2027を開始
- 2026年:EV・光通信など次世代事業をさらに強化
サンコールの企業文化「技翔創変」とは?
サンコールの経営理念は、
「技翔創変」
です。
この4文字には、2つの考え方があります。
「技翔」|技術を飛翔させる
サンコールは「技翔」について、技術を飛翔させていくことだと説明しています。
さらに、
「特異な技術無くして、SUNCALLは存在し得ない」
という考え方を示しています。
他社と同じものを価格だけで競争するのではなく、独自の技術力が会社の存在理由だという発想です。
「創変」|変化についていくのではなく、自ら作る
「創変」は、
「変化を自分で作りだしていくこと」
です。
市場が変わったから仕方なく対応するのではありません。
世の中の変化を先に読み、新しい技術・製品・事業を作っていく。
これが「創変」の考え方です。
技翔創変を簡単にいうと独自技術を磨き、その技術によって自ら市場の変化を作る。
サンコールの企業理念|「技術集約型精密製品の創造」
企業理念では、
「技術集約型精密製品の創造」
をビジネステーマとしています。
さらに、自社が創り出す製品に込めた「智恵」と「品質」を社会へ提供することを存在意義として掲げています。
そのうえで、
- 企業文化
- 国際性
- 技術力
を持つ企業になることを目標としています。
5つの企業指針
サンコールでは、企業活動の基本となる指針として、次の5つを掲げています。
- 公徳優先
- 人間尊重
- 均衡経営
- 国際感覚
- 市場先取
特に企業文化という視点で注目したいのが「市場先取」です。
市場ができてから参入するのではなく、新しい市場を早く捉える。
これは現在のEV、電流センサー、AIデータセンター向け光通信への展開にもつながります。
行動指針|挑戦心とチームプレイ
さらに社員の行動について、
- 挑戦心を大切に
- 気配りを忘れず
- 感性豊かに
- 公正に
- 幅広い視野で
- 創造的に
- ルールを守って
- 和によるチームプレイ
を掲げています。
技術だけではなく、人やチームを重視していることも分かります。
採用でも「挑戦」を重視
採用情報でも、サンコールは「挑戦し続ける」という企業姿勢を明確にしています。
会社は社員の風土について、
「真面目で素直」
という表現を使っています。
そのうえで求める人材として、
- 自ら学ぼうとする人
- アイデアを積極的に出す人
- 世界でも活躍したい人
- 周囲と協力して仕事ができる人
などを挙げています。
「技翔創変」の「創変」を、人材面でも求めていることが分かります。
サンコール最大の強み|精密塑性加工技術
サンコールのコア技術は、精密塑性加工技術です。
塑性加工とは、金属へ力を加えて形を変え、その形状を保たせる加工方法です。
例えば、
- 伸ばす
- 曲げる
- 圧延する
- 成形する
などがあります。
金属を大量に削って目的の形を作る加工と比べ、材料を有効に利用しやすいというメリットがあります。
サンコールは創業以来、この塑性加工技術を磨いてきました。
異形ダイスと精密異形線
特に得意とするのが、複雑な断面を持つ金属線を作る技術です。
金属線を「ダイス」と呼ばれる金型へ通して引き抜くことで、目的の形状へ加工します。
サンコールではダイス設計や超精密金型技術まで自社で蓄積し、精密な異形線へ発展させてきました。
こうした材料は、自動車など高い耐久性や寸法精度が求められる分野で使用されています。
強み|材料から精密加工品まで一貫生産
サンコールが会社として特に強調しているのが、
「材料から精密加工品までの一貫生産」
です。
一般的な部品メーカーでは、材料を外部から購入して加工するケースも多くあります。
しかしサンコールでは、材料加工の段階から自社技術を持っています。
例えばばねなら、
鋼材メーカーと材料成分を検討する。
線材を加工する。
ばねを成形する。
熱処理する。
表面処理する。
品質を測定する。
という工程を総合的に設計できます。

一貫生産がなぜ強い?材料そのものから最終形状まで把握できるため、「もっと強く」「もっと軽く」「もっと小さく」といった顧客要求に対して、部品の形だけでなく材料段階から改善できます。
サンコールの強み1|自動車部品
現在でもサンコール最大の事業分野は自動車です。
2026年3月期の自動車分野の売上高は372億69百万円。
連結売上高の71.4%を占めました。
| 製品区分 | 2026年3月期売上高 |
|---|---|
| 材料関連製品 | 82億83百万円 |
| 自動車関連製品 | 289億86百万円 |
| 自動車分野合計 | 372億69百万円 |
エンジン、トランスミッション、安全装置など、高い耐久性と安全性が要求される場所へ部品を提供してきました。
自動車電動化で「エンジン部品会社」から変わる
ここで大きな問題があります。
EVにはエンジンがありません。
サンコールの歴史を支えてきた弁ばねなど、エンジン関連部品の市場は長期的には変化していきます。
そこで現在、サンコールが成長分野として育てているのが、
- バスバー
- フレキシブルバスバー
- 電流センサー
などの電動化製品です。
EV用「バスバー」とは?
バスバーとは、大きな電流を流すための金属製導体です。
EVでは、
- バッテリー
- インバーター
- モーター
- 急速充電システム
などの間で大電流を扱います。
その電力を安全・効率的に流すためにバスバーが使われます。
サンコールでは、長尺バスバーやフレキシブルバスバーなどを展開しています。
長年培った金属の精密成形技術を、エンジン部品ではなくEVの電気配電部品へ転用しているわけです。
2026年度からバスバー事業を本格拡大
中期経営計画では、2026年度から日本・米国でバスバー事業を本格的に拡大する計画です。
ポイントは、サンコールにとってEVは「これまでと全く関係のない新事業」ではないことです。
金属材料。
塑性加工。
絶縁。
量産。
自動車品質。
という既存技術・経験を、新しい市場へ転用しています。
ここにも「技翔創変」が表れています。

電流センサー|EVからデータセンターへ
電流センサーも成長分野です。
電気自動車では、大電流がどのくらい流れているかを高精度に測定する必要があります。
サンコールでは、
- 磁気方式
- シャント方式
など複数方式の電流センサーを展開しています。
さらに2026年には、異常電流を高速・高精度に検知する「Pyro一体型トリガーセンサー」を発表。
自動車だけでなくデータセンターなどへの展開も視野に入れています。
サンコールの電動化戦略精密金属加工 → バスバー → 電流センシング → EV・蓄電・データセンター
サンコールの強み2|光通信とAIデータセンター
2026年現在、サンコールでもう一つ注目したいのが光通信です。
生成AIの普及によってデータセンターの通信量が急激に増えています。
AIサーバー同士で膨大なデータをやり取りするには、高速な光通信ネットワークが必要です。

サンコールは、
- 光通信コネクタ
- 光通信アダプタ
などを展開しています。
2026年3月期の通信関連売上は40%増
2026年3月期の通信関連製品売上高は69億59百万円。
前年度から40.2%増となりました。
会社は、データセンター向け光通信コネクタ・アダプタ需要が好調だったと説明しています。
次世代「SNコネクタ」へ
2026年には、米国子会社Suncall Americaが、SENKO Advanced ComponentsのSNコネクタのライセンスを取得しました。
SNコネクタはVSFFと呼ばれる小型の次世代光コネクタです。
従来のLCコネクタより高密度に実装できることから、AI・クラウド向けハイパースケールデータセンターなどでの利用拡大が期待されています。
AIとサンコールの関係サンコール自身が生成AIサービスを開発しているわけではありません。AIを動かすデータセンター内部で大量のデータを高速に送るために必要となる光通信部品を提供する側です。
2027年3月期1Q|通信関連売上は42.7%増
2027年3月期第1四半期でも、通信関連事業の成長が続いています。
| 製品区分 | 2027年3月期1Q売上高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 材料関連製品 | 23億87百万円 | +27.8% |
| 自動車関連製品 | 72億98百万円 | +4.4% |
| 通信関連 | 26億26百万円 | +42.7% |
| プリンター関連 | 8億17百万円 | ▲15.6% |
AIデータセンター需要が、サンコールの事業ポートフォリオを変える重要な要素になっています。
サンコールの強み3|プリンター部品
プリンター関連では、紙を正確に送るためのローラーなどを手がけています。
サンコールでは、精密な金属シャフトと微細なセラミック粒子を塗布する技術を融合するなど、複数の技術を組み合わせて製品を開発してきました。
ここでも一つのコア技術だけではなく、
「技術と技術の融合」
によって新しい製品を作ることが特徴です。
HDD用サスペンションから撤退|「創変」を象徴する事業改革
サンコールの近年の経営を見るうえで避けて通れないのが、HDD用サスペンション事業からの撤退です。
1985年から約40年にわたり展開してきた事業でした。
しかし市場環境や収益性の悪化を受け、2024年に撤退を決定。
生産委託先での生産を2025年6月、顧客への出荷を2025年7月で終了しました。
長期間続けてきた事業であっても、将来的に十分な収益が見込めなければ撤退する。
そして経営資源を、
- EV
- バスバー
- 電流センサー
- 光通信
などへ移す。
売上高減少を「事業縮小」とだけ見ない2026年3月期以降のサンコールではHDD用サスペンション事業撤退により売上高が大きく減少しています。そのため売上高だけで判断せず、撤退事業を除く成長分野や営業利益の変化を見る必要があります。
2026年3月期|売上減でも営業利益は約2倍
2026年3月期の連結売上高は522億23百万円でした。
前年度の639億40百万円から18.3%減少しています。
一方、営業利益は71億25百万円となり、前年度から107.0%増えました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 639億40百万円 | 522億23百万円 | ▲18.3% |
| 営業利益 | 34億42百万円 | 71億25百万円 | +107.0% |
| 経常利益 | 31億56百万円 | 74億84百万円 | +137.1% |
| 親会社株主帰属純利益 | ▲7億69百万円 | 62億9百万円 | 黒字転換 |
利益改善には、通信関連事業の増益に加え、前年度に発生していたHDD用サスペンション事業整理費用の反動なども影響しています。
2026年3月期の高い利益率をそのまま将来へ当てはめない2026年3月期はHDD用サスペンション事業撤退に伴う前年度費用の反動など特殊要因もあります。継続的な収益力を見る場合は、EV・通信関連の成長と既存自動車事業の収益改善を確認する必要があります。
2027年3月期1Q|売上・利益は減少、ただし事業構造が変化
2026年8月7日に発表された2027年3月期第1四半期では、売上高132億90百万円、営業利益18億80百万円でした。
| 項目 | 2027年3月期1Q | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 132億90百万円 | ▲13.8% |
| 営業利益 | 18億80百万円 | ▲23.4% |
| 経常利益 | 19億22百万円 | ▲17.8% |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | 14億92百万円 | ▲23.4% |
数字だけを見ると減収減益です。
しかし前年同期にはHDD用サスペンションの売上高35億97百万円が含まれていました。
2027年3月期1QではHDD売上はゼロです。
一方、
- 自動車分野:+9.3%
- 通信関連:+42.7%
となっています。
つまり「HDDがなくなったことによる減少」と「新しい事業の成長」を分けて見る必要があります。
2027年3月期予想を大幅上方修正
第1四半期決算と同じ2026年8月7日、サンコールは2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。
| 項目 | 2027年3月期最新会社予想 |
|---|---|
| 売上高 | 560億円 |
| 営業利益 | 85億円 |
| 経常利益 | 85億円 |
| 親会社株主帰属純利益 | 63億円 |
| 年間配当予想 | 35円 |
営業利益は前年度71億25百万円からさらに増加する予想です。
会社予想は確定値ではありません自動車需要、米国通商政策、中国市場、AIデータセンター投資、為替、原材料価格、地政学リスクなどにより実績は変動する可能性があります。
中期経営計画2027|再構築・安定収益・次の成長
サンコールは2025年度から2027年度を対象とする「中期経営計画2027」を進めています。
ミッションは、
「確かなる技術で信頼される高品質なモノづくりを追求し、サステナブルな未来をカスタマイズする」
です。
そしてビジョンとして、
「コア技術と先端技術を駆使し、時代の潮流を捉え、持続的な成長を実現する」
ことを掲げています。
中期経営計画の3つの基本方針
- 既存自動車分野における収益性改善
- 成長事業の基盤強化
- 安定経営を実現・維持するための財務戦略
既存自動車事業は「売上拡大」より収益性
エンジン関連市場は長期的に変化します。
そこで既存自動車事業では、
- 価格適正化
- 拠点再編
- 不採算製品の見直し
- サプライチェーン強化
などによって安定的に利益を確保する方向です。
成長事業はEVと光通信
一方、成長事業では、
- バスバー
- 電流センサー
- 光通信コネクタ
- 光通信アダプタ
を重点化しています。
従来の自動車部品で得た資金と技術を、次世代市場へ再投資する構造です。
2026年5月に中期経営計画目標を上方修正
2026年3月期の業績改善を受け、会社は2026年5月に中期経営計画の数値目標を上方修正しました。
| 指標 | 2027年3月期中計目標 | 2028年3月期中計目標 |
|---|---|---|
| 売上高 | 505億円 | 525億円 |
| 営業利益 | 58億円 | 66億円 |
| 純利益 | 42億円 | 50億円 |
さらにその後、2026年8月に発表された2027年3月期会社予想は、売上高560億円、営業利益85億円、純利益63億円となりました。
つまり最新の会社予想は、5月に上方修正した中期目標をさらに上回る水準です。
今後の中長期目標がどのように更新されるかも注目点になります。
将来性1|AIデータセンターと光通信
現在、最も分かりやすい成長機会の一つがAIデータセンターです。
生成AIでは大量のGPUやAIアクセラレータを接続する必要があります。
そこで、高速・大容量・高密度の光通信が重要になります。
サンコールでは通信関連売上が大きく伸びており、次世代SNコネクタの供給体制も強化しています。
今後もAI・クラウド投資が拡大すれば、大きな成長機会になる可能性があります。
将来性2|EV・電動化
EV市場は短期的には地域によって成長速度に差があります。
しかし長期的には自動車の電動化が重要テーマであることは変わりません。
サンコールは、エンジン関連部品の技術を、
- バスバー
- 電流センサー
- 電動車関連部品
へ転用しています。
EVだけでなくHVや蓄電設備などへ対象市場を広げられるかも重要です。
将来性3|医療・介護ロボット
サンコールは医療・介護分野にも挑戦しています。
大学や病院などと共同し、歩行支援ロボット「オルソボット」を開発しています。
脳卒中後のリハビリや、歩行能力が低下した高齢者などの支援を想定した技術です。
現在の売上規模では自動車や通信と比べ小さい分野ですが、
- 高齢化
- 介護人材不足
- 健康寿命延伸
という社会課題へ技術を応用する新規事業として注目できます。
将来性4|京都の「竹」を使うサステナブル事業
さらに少し異色なのが、竹を活用した環境事業です。
京都府内などでは放置竹林が地域課題になっています。
サンコールでは竹を、
- 竹炭
- バイオマス樹脂材料
- インキ
- 自動車内装用素材
などへ利用する研究・事業化を進めています。
2026年には京都府宮津市とも、地域資源である竹を活用したサステナブル事業の可能性を共有しています。
これは本業の精密部品とは離れて見えますが、「技術を社会課題へ応用する」という点では企業文化とつながっています。
サンコールの平均年収|約645万円
2026年3月期の有価証券報告書によると、サンコール単体の平均年間給与は6,447,456円です。
| 項目 | 2026年3月31日現在 |
|---|---|
| 従業員数 | 493人 |
| 平均年齢 | 42.5歳 |
| 平均勤続年数 | 18.3年 |
| 平均年間給与 | 6,447,456円 |
平均年間給与には賞与と基準外賃金が含まれています。
なお、単体従業員数は前年度から236人減少しました。
有価証券報告書では、その主な理由をHDD用サスペンション事業撤退に伴う希望退職と説明しています。
平均年収=入社時の給与ではありません実際の給与は年齢、職種、役職、評価、勤務地などによって異なります。就職・転職では最新の募集要項や提示年収を確認してください。
京都企業の給与水準を比較したい方は、京都企業の年収ランキング|任天堂・京セラ・村田製作所など給与水準を比較も参考になります。
サンコールへの就職・転職|どんな仕事がある?
| 職種・分野 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 研究開発 | 新材料、センサー、電動化、通信、医療・介護などの技術開発 |
| 製品設計 | 自動車部品・バスバー・電流センサー・通信部品などの設計 |
| 金型・加工技術 | 精密塑性加工、ダイス、金型などの設計・開発 |
| 生産技術 | 量産工程の設計、自動化、生産性・品質改善 |
| 品質保証 | 自動車・通信などの厳しい品質要求への対応 |
| 営業・技術営業 | 自動車メーカー・部品メーカー・通信関連企業への提案 |
| 海外事業 | 海外拠点やグローバル顧客との事業運営 |
| 管理部門 | 経営企画、人事、財務、法務、IR、サステナビリティなど |
サンコールと相性がよい人は?
相性がよい可能性がある人
- 金属・機械・電気・材料に興味がある人
- 精密なものづくりが好きな人
- 独自技術を持つBtoB企業で働きたい人
- 自動車の電動化に関わりたい人
- AI・光通信分野に興味がある人
- 既存技術を新しい市場へ応用したい人
- 研究から量産まで関わりたい人
- 海外事業に関心がある人
- 新しいアイデアを積極的に出したい人
- 周囲と協力して仕事を進められる人
慎重に考えた方がよい人
- 一般消費者向け商品だけに関わりたい人
- 細かな品質管理が苦手な人
- 継続的な技術学習を避けたい人
- 事業ポートフォリオの変化を好まない人
- 海外顧客やグローバル拠点との仕事を避けたい人
京都企業への転職については、京都の大企業転職ガイド|任天堂・京セラなど人気企業の特徴と難易度も参考になります。
サンコール株を投資視点で見るポイント
サンコールは東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
証券コードは5985です。
投資で確認したいポイント
- 既存自動車事業の収益性
- EV用バスバーの売上拡大
- 電流センサー事業
- AIデータセンター向け光通信需要
- SNコネクタの拡販
- 通信関連事業の利益率
- HDD撤退後の収益構造
- 海外拠点の収益性
- 設備投資
- 営業キャッシュフロー
- ROE
- 為替
- 自動車生産台数
- 米国通商政策
- 配当
2027年3月期は年間35円配当予想
2026年3月期の年間配当は20円でした。
2027年3月期については、2026年8月7日の業績予想上方修正に合わせて配当予想も変更され、年間35円となっています。
内訳は中間20円、期末15円の予想です。
中期経営計画では最終年度の配当性向30%以上を目指す方針を示しています。
投資に関する注意この記事はサンコールや京都企業を理解するための一般的な企業研究記事です。特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。自動車需要、AIデータセンター投資、為替、地政学リスクなどによって業績・配当は変化する可能性があります。投資判断の際は最新の公式IRをご確認ください。
京都企業として見るサンコール|「材料」から世界を支える会社
京都の技術企業には、完成品ではなく「産業の中に入り込む技術」を得意とする会社が多くあります。
村田製作所は電子部品。
ロームは半導体。
SCREENは半導体製造装置。
TOWAは半導体後工程装置。
三洋化成工業・第一工業製薬は機能化学材料。
そしてサンコールは、
精密金属材料と加工部品
です。
一般消費者がサンコールという会社名を見る機会は多くありません。
しかし、自動車のエンジンや安全装置、EVの電力系統、プリンター、通信インフラなど、社会を動かす製品の内部に技術が使われています。
京都企業が世界で強い背景については、京都企業はなぜ強い?世界で戦う技術企業が京都に集まる理由もあわせてご覧ください。
サンコールの企業文化は「古い技術を守る」のではなく「飛翔させる」こと
サンコールの歴史を見ると、「技翔」という言葉の意味が分かります。
創業時の技術は高級鋼材でした。
その技術が自動車用ばねへ。
精密異形線へ。
電子部品へ。
プリンター部品へ。
通信部品へ。
そして現在はEV用バスバーや電流センサーへ飛翔しています。
技術を守るとは、同じ商品を作り続けることではありません。
技術そのものを別の市場へ飛ばす。
これが「技翔」です。
そして、HDD用サスペンションから撤退し、光通信やEVへ経営資源を移す。
過去の市場に固執せず、自分たちで会社を変える。
これが「創変」です。
企業文化シリーズで見るサンコール
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| サンコール | 技翔創変・精密塑性加工・一貫生産 | この記事 |
よくある質問
サンコールは何の会社ですか?
京都市右京区に本社を置く精密部品メーカーです。自動車用材料・部品、プリンター部品、光通信部品などを製造しています。現在はEV用バスバーや電流センサーなどの電動化製品も強化しています。
サンコールの企業文化を表す言葉は?
経営理念「技翔創変」です。「技翔」は技術を飛翔させること、「創変」は変化についていくのではなく自ら変化を創り出すことを意味します。
サンコールの強みは何ですか?
コア技術である精密塑性加工と、材料から精密加工品まで一貫して生産できる体制です。材料設計・加工・熱処理・表面処理などを組み合わせて、高精度・高耐久な部品を作れる点が特徴です。
サンコールは自動車部品会社ですか?
自動車が最大の事業分野ですが、自動車だけではありません。プリンター、光通信、医療・介護、環境関連などにも技術を展開しています。
サンコールと生成AIは関係がありますか?
生成AIそのものを開発する会社ではありません。AIデータセンターで使われる光通信コネクタ・アダプタを供給しており、2026年以降は次世代高密度SNコネクタの供給も強化しています。
サンコールの平均年収はいくらですか?
2026年3月期の有価証券報告書では、単体平均年間給与は6,447,456円、平均年齢42.5歳、平均勤続年数18.3年です。
サンコールの最新売上高はいくらですか?
2026年3月期の連結売上高は522億23百万円です。2027年3月期については2026年8月7日時点で560億円を会社が予想しています。
サンコールの将来性は?
EV用バスバー・電流センサー、AIデータセンター向け光通信部品が主な成長機会です。一方、既存エンジン部品市場の縮小、自動車需要、設備投資、為替などのリスクもあり、事業構造転換が今後の重要テーマになります。
まとめ|サンコールの企業文化は「技術を飛翔させ、自ら変化を作る」こと
サンコールは1943年、京都で創業しました。
最初の事業は、航空機用エンジンの弁ばねに使われる高級鋼材でした。
そこから自動車用弁ばねへ。
精密異形線へ。
電子機器へ。
プリンターへ。
光通信へ。
そして現在はEVとAIデータセンターへ。
扱う市場は大きく変わってきました。
しかし、その中心にあるのは、
精密塑性加工
という技術です。
さらにサンコールでは、材料だけを作るのでも、加工だけをするのでもありません。
材料から精密加工品まで一貫して作る。
その技術を自動車、通信、医療など異なる分野へ展開する。
この考え方を象徴する経営理念が、
「技翔創変」
です。
「技翔」。
独自技術を磨き、その技術を新しい市場へ飛翔させる。
「創変」。
市場が変わるのを待つのではなく、自ら変化を作る。
近年のサンコールを見ると、この企業文化がよく表れています。
長年の主力だったHDD用サスペンション事業から撤退。
一方で、EV用バスバーや電流センサーを拡大。
さらにAI・クラウドの拡大を背景に、光通信コネクタ事業を成長させています。
2026年3月期はHDD撤退によって売上高が減少した一方、営業利益は71億25百万円へ増加しました。
2027年3月期の最新会社予想では、売上高560億円、営業利益85億円、純利益63億円を見込んでいます。
これから重要になるのは、過去の事業を縮小したあとに、
- バスバー
- 電流センサー
- 光通信
- 環境・エネルギー
- 医療・介護
をどこまで次の柱へ育てられるかです。
航空機用鋼材から始まった会社が、80年以上を経てEVやAIデータセンターを支える部品を作っている。
商品は変わっています。
しかし、技術を深く磨き、その技術を新しい分野へ応用する姿勢は変わっていません。
「技翔」で技術を飛ばし、「創変」で会社自身を変えていく。
そこに、京都の精密部品メーカー・サンコールの企業文化を見ることができます。
この記事の要点
- サンコールは1943年に京都で創業
- 本社は京都市右京区梅津
- 東証スタンダード上場、証券コード5985
- 創業時の社名は三興線材工業
- 1952年から自動車エンジン用弁ばねを供給
- 1991年にサンコール株式会社へ社名変更
- 経営理念は「技翔創変」
- 技翔は「技術を飛翔させる」こと
- 創変は「自ら変化を創り出す」こと
- コア技術は精密塑性加工
- 材料から精密加工品までの一貫生産が強み
- 現在最大の事業は自動車分野
- EV用バスバー・電流センサーを成長事業として強化
- AIデータセンター向け光通信部品が成長
- 2026年3月期の通信関連売上は40.2%増
- HDD用サスペンション事業から撤退
- 2026年3月期売上高522億23百万円
- 同営業利益71億25百万円
- 2027年3月期売上高560億円・営業利益85億円を最新予想
- 平均年間給与は約645万円
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企業理念・経営理念「技翔創変」については、サンコール公式・理念をご確認ください。
精密塑性加工などの技術については、サンコール公式・技術開発をご確認ください。
中期経営計画については、サンコール公式・中期経営方針をご確認ください。
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