第一工業製薬とは?企業文化・界面技術・強みを解説

第一工業製薬の界面制御技術と電子・電池材料を表現した研究イメージ 企業文化

京都企業の企業文化シリーズ「第一工業製薬」個別分析ページです。第一工業製薬は、1909年に京都で創業した研究開発型の化学メーカーです。界面活性剤を原点に、電子・情報、環境・エネルギー、ライフ・ウェルネス、コア・マテリアルの4分野へ技術を展開しています。

この記事では、第一工業製薬の企業文化を支える「品質第一・原価逓減・研究努力」、現在の経営理念「こたえる、化学。」、独自性でトップを目指す「ユニ・トップ」、界面制御技術、最新業績、年収、就職・転職、将来性まで詳しく解説します。

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こんにちは。日本文化ラボ(Nippon Culture Lab)、運営者の「samuraiyan(さむらいやん)」です。

京都企業の企業文化を見ていくと、会社ごとに特徴的な言葉があります。

京セラには「アメーバ経営」。

オムロンには「SINIC理論」。

SCREENには「思考展開」。

TOWAには「クォーター・リード」。

NISSHAには「誰もやらないことをやる」。

三洋化成工業には「界面制御技術」「顧客密着」「挑戦」があります。

では、同じ京都の化学メーカーである第一工業製薬はどうでしょうか。

第一工業製薬の場合、その企業文化を理解するには、100年以上前から受け継がれている社是と社訓を見る必要があります。

社是は、

「産業を通じて、国家・社会に貢献する」

です。

そして社訓は、

「品質第一、原価逓減、研究努力」

です。

特に「研究努力」は、この会社を理解する重要な言葉です。

第一工業製薬では会社設立と同じ1918年に試験室を設け、1919年には研究奨励規定、1920年には発明者表彰規定を制定しました。

まだ日本企業で研究開発制度が十分に整っていなかった時代から、新しい技術や製品を生み出すことを経営の中心に置いていたのです。

その後も、

界面活性剤。

合成洗剤。

CMC。

ウレタン。

光硬化材料。

電子材料。

電池材料。

ライフサイエンス。

へと事業領域を広げてきました。

現在の経営理念は、

「『こたえる、化学。』で価値を創出し続ける」

です。

そして成長戦略では、

「規模を追わず独自性でトップへ」

という「ユニ・トップ」を掲げています。

つまり第一工業製薬は、世界最大の化学会社になることを目標にしているわけではありません。

自社にしかできない技術を磨き、顧客の課題に化学で「こたえる」ことで、特定の領域で選ばれる会社を目指しています。

この記事では、そんな第一工業製薬の歴史、企業文化、技術、最新業績、年収、働き方、投資、将来性まで詳しく見ていきます。

この記事でわかること

  • 第一工業製薬とはどんな会社なのか
  • 「製薬」と名前が付いているのに何を作っている会社なのか
  • 1909年に京都で始まった創業の歴史
  • 社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」とは何か
  • 社訓「品質第一、原価逓減、研究努力」とは何か
  • 現在の経営理念「こたえる、化学。」とは何か
  • 「ユニ・トップ」とは何か
  • 界面制御技術の強み
  • なぜ電子材料・電池材料に強くなったのか
  • SMART 2030とは何か
  • 2026年3月期と2027年3月期1Qの最新業績
  • 第一工業製薬の平均年収
  • 就職・転職先として見るポイント
  • 将来性と投資で確認したいポイント

  1. 第一工業製薬とは?京都発の研究開発型化学メーカー
  2. 第一工業製薬は「薬を作る製薬会社」なの?
  3. 1909年|京都の線香店の納屋から始まった
  4. 1915年|輸入品に頼っていた石鹸を国産化
  5. 1918年|第一工業製薬株式会社を設立
  6. 社訓「品質第一・原価逓減・研究努力」とは?
    1. 品質第一
    2. 原価逓減
    3. 研究努力
  7. 1934年|国産初の高級アルコール系洗剤
  8. 界面活性剤のパイオニアへ
  9. 第一工業製薬の強み|「界面制御技術」
  10. 三洋化成工業とは何が違う?
  11. 現在の経営理念「こたえる、化学。」
  12. 「ユニ・トップ」とは?規模を追わず独自性でトップへ
  13. 現在の4つの事業分野
  14. 成長分野1|AI・データセンター向け低誘電樹脂材料
    1. 約100億円の設備投資
  15. 成長分野2|リチウムイオン電池材料
  16. 成長分野3|ライフ・ウェルネス
  17. SMART 2030とは?
  18. 2030年目標|売上高1,000億円・営業利益100億円
  19. 「企業の原点は人」|現在進む企業文化改革
  20. 採用では「自分らしさ」を重視
  21. 2026年3月期業績|売上828億円・営業利益101億円
  22. 2027年3月期1Q|売上44%増、営業利益約3倍
  23. 2027年3月期予想を上方修正|売上970億円
  24. 第一工業製薬の平均年収|約805万円
  25. 第一工業製薬への就職・転職|どんな仕事がある?
  26. 第一工業製薬と相性がよい人は?
    1. 相性がよい可能性がある人
    2. 慎重に考えた方がよい人
  27. 第一工業製薬の将来性1|生成AI・高速通信
  28. 第一工業製薬の将来性2|電池・脱炭素
  29. 第一工業製薬の将来性3|研究開発の自動化・DX
  30. 第一工業製薬株を投資視点で見るポイント
    1. 2027年3月期は年間150円配当予想
  31. 京都企業として見る第一工業製薬
  32. 企業文化シリーズで見る第一工業製薬
  33. よくある質問
    1. 第一工業製薬は何の会社ですか?
    2. 第一工業製薬は製薬会社ですか?
    3. 第一工業製薬の企業文化を表す言葉は?
    4. 第一工業製薬の強みは?
    5. ユニ・トップとは何ですか?
    6. 第一工業製薬の平均年収はいくらですか?
    7. 第一工業製薬の最新売上高は?
    8. 第一工業製薬の将来性は?
  34. まとめ|第一工業製薬の企業文化は「研究して、化学でこたえる」こと

第一工業製薬とは?京都発の研究開発型化学メーカー

第一工業製薬株式会社は、京都市に本店・本社を置く化学メーカーです。

創業は1909年。

会社としての創立は1918年です。

東京証券取引所プライム市場に上場しており、証券コードは4461です。

項目 内容
会社名 第一工業製薬株式会社
英文名 DKS Co. Ltd.
創業 1909年4月
創立 1918年8月
本店 京都市下京区西七条東久保町55
本社 京都市南区東九条上殿田町48番地2
東京本社 東京都中央区京橋
代表取締役社長 山路直貴氏
資本金 88億95百万円
連結従業員数 1,155人(2026年3月31日現在)
2026年3月期売上高 828億86百万円
上場市場 東京証券取引所プライム市場
証券コード 4461
経営理念 「こたえる、化学。」で価値を創出し続ける

「本店」と「本社」が違います第一工業製薬の登記上の本店は京都市下京区、本社機能は京都市南区にあります。さらに東京本社も設置しています。京都本社の上場企業一覧を作る場合は、この「本店・本社・東京本社」の違いを注記しておくと正確です。

第一工業製薬は「薬を作る製薬会社」なの?

社名に「製薬」と入っているため、医薬品メーカーだと思う方もいるかもしれません。

しかし、現在の第一工業製薬を一般的な製薬会社と考えるのは適切ではありません。

主力は、

  • 界面活性剤
  • 合成樹脂
  • ウレタン材料
  • 難燃剤
  • 電子材料
  • 電池材料
  • 食品・化粧品材料
  • ライフサイエンス関連製品

などです。

創業時に作っていたのも医薬品ではなく、蚕の繭を洗って絹糸を取り出しやすくする工業用薬剤「蚕繭解舒液」でした。

第一工業製薬を簡単にいうと薬を開発する製薬会社というより、「素材や製品へ新しい機能を与える化学メーカー」です。現在は電子・情報、環境・エネルギーなど先端産業向け材料の存在感が高まっています。

1909年|京都の線香店の納屋から始まった

第一工業製薬の歴史は1909年に始まります。

創業の場所は、京都にあった線香店「負野薫玉堂」の納屋でした。

負野小左衛門氏、中村嘉吉郎氏、小野茂平氏の3人が、

「蚕繭解舒液」

という工業用薬剤の製造を始めます。

1909年に京都で蚕繭解舒液の製造を始めた第一工業製薬の創業風景

当時の日本では生糸が重要な輸出産業でした。

ところが、繭から糸を効率的に取り出すには技術が必要です。

蚕繭解舒液を使うことで、繰糸の生産性を向上させることができました。

つまり第一工業製薬は、創業時から、

「産業現場の困りごとを化学で解決する」

会社だったのです。

この姿勢は、現在の「こたえる、化学。」にもつながっています。

1915年|輸入品に頼っていた石鹸を国産化

1915年には「玄武印マルセル石鹸」を発売しました。

当時、繊維工業用石鹸は輸入品への依存度が高い分野でした。

第一工業製薬の前身は、その国産化に取り組みます。

製法の確立から設備投資、製品化まで試行錯誤を繰り返し、国産製品を市場へ送り出しました。

現在でも「ゲンブマルセル石鹸」は販売されています。

1918年|第一工業製薬株式会社を設立

1918年には第一工業製薬株式会社を設立しました。

注目したいのは、その年に試験室も設置していることです。

さらに、

  • 1919年:研究奨励規定
  • 1920年:発明者表彰規定

を制定しました。

100年以上前から、社員が新しい製品・技術を生み出すことを制度として評価していたことになります。

第一工業製薬の企業文化の原点会社を設立してから研究部門を作ったのではなく、会社設立当初から研究を経営の中に組み込んでいました。現在まで続く社訓「研究努力」を理解する重要な歴史です。

社訓「品質第一・原価逓減・研究努力」とは?

第一工業製薬の企業文化で最も長く受け継がれている言葉が、

「品質第一、原価逓減、研究努力」

です。

品質第一

第一工業製薬では1922年に製品規格を整備し、品質チェックを研究係の責任として明確化しています。

1951年には品質管理委員会を設置しました。

化学材料は最終製品の性能・安全性へ直接影響します。

特に電子材料や自動車、食品、化粧品などへ材料を供給する企業では、品質のばらつきを抑えることが重要です。

原価逓減

「逓減」とは少しずつ減らしていくという意味です。

つまり、高品質な製品を作るだけではなく、製造方法や工程を改善し、継続的にコストを下げることも求めています。

研究開発と製造改善を両立する考え方です。

研究努力

第三が「研究努力」です。

第一工業製薬にとって研究は、一部の研究者だけが担当する補助的な仕事ではありません。

新しい市場を開拓し、会社を成長させる中心的な活動として扱われてきました。

この積み重ねによって、かつては「技術の一工」と評価される企業へ成長しました。

1934年|国産初の高級アルコール系洗剤

研究重視の文化を象徴する製品の一つが、1934年に発売した高級アルコール系洗剤です。

第一工業製薬は「DKS100番」「DKS300番」を市場へ送り出し、国産初の家庭用合成洗剤を生み出しました。

現在の事業から見ると洗剤メーカーというイメージは薄いですが、日本の洗剤技術の歴史にも関わっています。

界面活性剤のパイオニアへ

1950年代になると、現在の第一工業製薬の技術基盤につながる界面活性剤が成長します。

非イオン界面活性剤「ノイゲン」、陽イオン界面活性剤「カチオーゲン」などを開発。

1954年にはフランスで開催された第1回世界界面活性剤会議へ当時の社長が日本代表として参加しています。

この界面活性剤技術が、現在の多様な高機能材料につながっています。

第一工業製薬の強み|「界面制御技術」

第一工業製薬のコア技術の一つが界面制御技術です。

界面とは、異なる物質が接する境界です。

第一工業製薬の強みである界面制御技術を研究する日本人研究者

例えば、

  • 水と油
  • 液体と固体
  • 樹脂と金属
  • 電極と電解質

などの境目です。

この境界をコントロールすることで、

  • 混ざりやすくする
  • 分散させる
  • 接着する
  • 濡れやすくする
  • 静電気を抑える
  • 材料の性能を安定させる

といった機能を作ることができます。

第一工業製薬では、界面制御技術を核に複数の技術を組み合わせ、顧客の用途に合わせて材料をカスタマイズできることを強みとしています。

三洋化成工業とは何が違う?

三洋化成工業も京都を代表する界面制御技術の化学メーカーです。

そのため「同じような会社では?」と思うかもしれません。

共通点はありますが、企業文化の記事では切り口を分けることができます。

企業 企業文化の中心 現在の特徴
三洋化成工業 よりよい社会・顧客密着・挑戦 約3,000種類の機能化学品、ニーシーズ指向
第一工業製薬 品質第一・研究努力・こたえる、化学。 研究開発型、ユニ・トップ、電子・情報分野の成長

三洋化成工業については、三洋化成工業とは?企業文化・界面制御技術・強みを解説で詳しく紹介しています。

現在の経営理念「こたえる、化学。」

現在の第一工業製薬の経営理念は、

「『こたえる、化学。』で価値を創出し続ける」

です。

「こたえる」には複数の意味があります。

顧客の要求に応える。

社会課題に応える。

環境問題に応える。

新しい産業の要求に応える。

そして、その答えを化学技術で作る。

1909年に蚕糸産業の生産性という課題へ蚕繭解舒液で「こたえた」創業時のビジネスと、基本構造は大きく変わっていません。

100年以上続く「こたえる」会社1909年は繭から糸を取りやすくする薬剤、現在はAIサーバー向け材料やリチウムイオン電池材料。市場は変わっても、「産業の困りごとを化学で解決する」という考え方には一貫性があります。

「ユニ・トップ」とは?規模を追わず独自性でトップへ

現在の第一工業製薬を理解するうえで、特に重要なのが「ユニ・トップ」です。

UniqueとTopを組み合わせた考え方で、会社は、

「規模を追わず独自性でトップへ」

と表現しています。

化学業界には、売上高が何兆円にもなる巨大企業があります。

第一工業製薬がその規模をそのまま追いかける戦略では、資本力で不利になる可能性があります。

そこで、

  • 独自技術
  • 品質
  • サービス
  • 顧客への総合提案力

を組み合わせ、特定の用途で高い競争力を持つ製品を作ります。

つまり、

「大きさ」ではなく「代替しにくさ」で選ばれる会社

を目指す戦略です。

現在の4つの事業分野

第一工業製薬では、事業を大きく4つに整理しています。

事業 目指す社会 主な分野
電子・情報 デジタル社会 低誘電樹脂材料、電子材料、水系ウレタン、イオン液体など
環境・エネルギー 脱炭素社会 リチウムイオン電池材料、環境対応材料など
ライフ・ウェルネス 健康社会 食品・化粧品材料、健康食品、ライフサイエンス関連など
コア・マテリアル 循環型社会 界面活性剤、CMC、ウレタン、難燃剤など

成長分野1|AI・データセンター向け低誘電樹脂材料

2026年現在、第一工業製薬で特に注目されているのが低誘電樹脂材料です。

生成AIが普及すると、膨大なデータを高速で処理するために高性能なAIサーバーやデータセンターが必要になります。

電子信号が高速になるほど、基板材料などで信号損失を抑えることが重要になります。

そこで使われるのが低誘電材料です。

第一工業製薬の強みである界面制御技術を研究する日本人研究者

第一工業製薬のハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料は需要が拡大しており、2026年7月には供給能力を高めるための大規模設備投資を決定しました。

約100億円の設備投資

投資額は約100億円。

国内外の生産拠点を対象とし、2027年度以降の稼働を予定しています。

第一工業製薬の2026年3月期売上高は約829億円ですから、約100億円の投資は決して小さくありません。

会社が電子・情報分野を次の成長領域として重視していることが分かります。

AIサービスを提供する会社ではありません第一工業製薬は生成AIそのものを開発する企業ではありません。AIサーバーや高速通信機器を作るために必要となる高機能材料を供給する側です。

成長分野2|リチウムイオン電池材料

もう一つの重要分野が環境・エネルギーです。

第一工業製薬では以前から電池材料の研究を進めており、2002年には電池材料研究を目的とした会社も設立しています。

現在はリチウムイオン電池向けの負極用水系複合接着剤などを展開しています。

EVだけでなく、

  • 蓄電池
  • データセンター
  • スマートグリッド
  • 再生可能エネルギー

の拡大でも高性能電池の重要性は高まります。

2027年3月期第1四半期の増収増益にも、電池関連材料の販売拡大が寄与しました。

成長分野3|ライフ・ウェルネス

第一工業製薬は電子材料だけの会社ではありません。

食品や化粧品で使われるショ糖脂肪酸エステルなど、長い歴史を持つ材料もあります。

さらに現在はライフサイエンス分野にも取り組み、健康食品や新しい健康関連素材を育成しています。

電子・情報と比較すると事業規模や収益性には違いがありますが、少子高齢化や健康寿命という社会課題へ「化学でこたえる」領域として位置づけられています。

SMART 2030とは?

第一工業製薬は2025年度から、5カ年中期経営計画「SMART 2030」をスタートしました。

SMARTには、

  • Sustainability
  • Mission
  • Action
  • Reliability
  • Transformation

という意味が込められています。

戦略の重要キーワードは、

  • ユニ・トップ
  • サステナビリティ
  • チャレンジ

です。

2030年目標|売上高1,000億円・営業利益100億円

SMART 2030の当初計画では、2030年3月期に次の数値目標を掲げていました。

指標 2025年3月期実績 2030年3月期当初目標
売上高 732億円 1,000億円
営業利益 53億円 100億円
営業利益率 7.3% 10.0%
親会社株主帰属純利益 25億円 50億円

ところが、その後の電子・情報分野の成長によって業績は計画を大きく上回りました。

2026年7月時点で会社は、SMART 2030で掲げた当初の業績目標を前倒しで達成したとして、新たな成長目標を精査しています。

今後は「SMART 2030の上方再設計」に注目2027年3月期の会社予想では営業利益125億円となっており、すでに当初の2030年目標100億円を上回っています。今後、新しい中長期目標がどのように設定されるかは重要な確認ポイントです。

「企業の原点は人」|現在進む企業文化改革

第一工業製薬は、

「企業の原点は何よりも人」

という考え方を示しています。

SMART 2030では、設備投資や研究開発だけでなく、人材への投資も重要な戦略です。

  • 人事制度の刷新
  • キャリア形成支援
  • 教育制度の強化
  • 社内表彰制度の見直し
  • 健康経営
  • DE&I
  • スペシャリスト人材の獲得

などを進めています。

2030年には女性管理職比率15%を目標にしています。

採用では「自分らしさ」を重視

現在の採用コンセプトは、

「“自分らしさ”が活きる、化学企業。」

です。

一人ひとりの個性を同じ形へそろえるのではなく、それぞれの専門性や価値観を組織の力へつなげようとしています。

求める人材像として、

  • 自立
  • 事業貢献
  • 環境変化に柔軟

を掲げています。

100年前の「研究努力」という企業文化を、現在は「自分で考え、挑戦し、環境変化へ対応できる人材」という形で発展させていると見ることができます。

2026年3月期業績|売上828億円・営業利益101億円

2026年3月期の第一工業製薬は、大幅な増収増益となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期 前年比
売上高 732億55百万円 828億86百万円 +13.1%
営業利益 53億51百万円 101億7百万円 +88.9%
経常利益 57億37百万円 103億72百万円 +80.8%
親会社株主帰属純利益 25億85百万円 61億69百万円 +138.6%

特に営業利益が約1.9倍となっている点が目立ちます。

電子・情報分野を中心とする高付加価値製品の販売拡大によって、売上規模だけでなく収益性も改善しました。

2027年3月期1Q|売上44%増、営業利益約3倍

さらに2026年7月29日に発表された2027年3月期第1四半期では、成長が加速しました。

項目 2027年3月期1Q 前年同期比
売上高 275億1百万円 +44.4%
営業利益 51億17百万円 +196.9%
経常利益 52億28百万円 +209.5%
親会社株主帰属四半期純利益 31億16百万円 +216.5%

主な成長要因は、

  • ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料
  • リチウムイオン電池向け負極用水系複合接着剤

などの販売拡大です。

1Qの高い利益率をそのまま通期へ当てはめない電子材料・電池材料は顧客の設備投資、市場需要、製品構成などによって変動します。四半期ごとに利益率が変わる可能性があるため、今後の決算も確認する必要があります。

2027年3月期予想を上方修正|売上970億円

第1四半期の好調を受け、2026年7月29日に通期業績予想も上方修正しました。

項目 2027年3月期会社予想
売上高 970億円
営業利益 125億円
経常利益 126億円
親会社株主帰属純利益 77億円
年間配当予想 150円

売上高は、当初のSMART 2030で掲げた1,000億円へかなり近づきます。

一方、営業利益については、すでに2030年の当初目標100億円を上回る125億円を予想しています。

第一工業製薬の平均年収|約805万円

2026年3月期の有価証券報告書によると、第一工業製薬単体の平均年間給与は8,054,710円です。

項目 2026年3月31日現在
単体従業員数 611人
平均年齢 41.4歳
平均勤続年数 15.6年
平均年間給与 8,054,710円

前年の平均年間給与は約734万円だったため、2026年3月期は増加しています。

平均年収=入社時の年収ではありません平均年間給与には賞与・基準外賃金が含まれています。実際の給与は年齢、職種、役職、評価、勤務地などによって異なるため、就職・転職では最新の募集要項をご確認ください。

京都企業全体の給与水準については、京都企業の年収ランキング|任天堂・京セラ・村田製作所など給与水準を比較も参考になります。

第一工業製薬への就職・転職|どんな仕事がある?

職種 主な仕事内容
研究開発 界面活性剤、電子材料、電池材料、新規機能材料などの研究
製品開発 顧客ニーズに応じた材料設計・改良
生産技術 量産化、工程改善、自動化、生産性向上
設備・プラント 化学設備の設計、保全、安全対策
品質保証 品質管理、顧客要求、化学物質管理など
営業・技術営業 顧客課題を把握し技術・製品を提案
DX・データ 研究・生産・業務へのデータサイエンス活用
管理部門 経営企画、人事、財務、法務、知財、IRなど

第一工業製薬と相性がよい人は?

相性がよい可能性がある人

  • 研究開発を重視する会社で働きたい人
  • 化学で社会や産業の課題を解決したい人
  • 顧客ニーズから新しい材料を作ることに興味がある人
  • 半導体・AI・電子材料に関心がある人
  • 電池・脱炭素技術に関心がある人
  • 規模より独自技術を持つ会社に魅力を感じる人
  • 一つの専門分野を深く掘り下げたい人
  • 研究だけでなく実用化・量産まで関わりたい人
  • 変化する市場へ柔軟に対応できる人

慎重に考えた方がよい人

  • 一般消費者向け完成品だけに関わりたい人
  • 継続的な技術学習を避けたい人
  • 品質・安全に関する細かなルールが苦手な人
  • 顧客ごとの細かな技術調整を避けたい人
  • 事業構造や組織の変革を好まない人

京都企業への転職については、京都の大企業転職ガイド|任天堂・京セラなど人気企業の特徴と難易度も参考になります。

第一工業製薬の将来性1|生成AI・高速通信

現在、最も大きな成長機会の一つが電子・情報分野です。

生成AIの普及によって、

  • AIサーバー
  • データセンター
  • 高速通信
  • ネットワーク機器

の性能向上が求められています。

通信速度が上がるほど、電気信号の損失を抑える材料技術の重要性も高まります。

第一工業製薬の低誘電樹脂材料が今後も採用を拡大できるかは、成長性を見る重要なポイントです。

第一工業製薬の将来性2|電池・脱炭素

環境・エネルギー分野も成長戦略の柱です。

EVや蓄電システムでは、リチウムイオン電池の、

  • 高容量化
  • 長寿命化
  • 安全性
  • 低環境負荷

が求められます。

第一工業製薬は電池内部の材料そのものだけでなく、材料同士を適切につなぐ接着・界面技術を活用できます。

これは100年以上培ってきた界面制御技術と新市場をつなぐ事例です。

第一工業製薬の将来性3|研究開発の自動化・DX

2026年には研究開発現場へ人協働ロボットなどを導入し、ラボラトリーオートメーションも進めています。

1909年に京都で蚕繭解舒液の研究を始めた第一工業製薬の創業風景

化学研究では、

材料を配合する。

反応させる。

測定する。

条件を変える。

という多数の実験が必要です。

こうした作業を自動化し、研究者が仮説構築や新しいアイデアへ時間を使えるようになれば、研究速度そのものを高めることができます。

「研究努力」という100年前からの企業文化に、現在はデータ・AI・ロボットを組み合わせようとしています。

第一工業製薬株を投資視点で見るポイント

第一工業製薬は東証プライム市場に上場しています。

証券コードは4461です。

投資で確認したいポイント

  • 低誘電樹脂材料の売上成長
  • 約100億円の増産投資の進捗
  • AI・データセンター需要
  • 電池材料の成長
  • 電子・情報事業の利益率
  • 既存化学品の収益性
  • 研究開発費
  • ライフサイエンス事業の収益化
  • 設備投資負担
  • 原材料価格
  • 為替
  • 中国・海外需要
  • ROE・ROIC
  • 配当

2027年3月期は年間150円配当予想

2026年3月期の年間配当は150円でした。

2027年3月期についても、中間75円、期末75円の年間150円を会社が予想しています。

会社は、将来の成長投資に必要な内部留保とのバランスを取りながら、長期的・安定的な配当を基本方針としています。

投資に関する注意この記事は第一工業製薬や京都企業を理解するための一般的な企業研究記事です。特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。電子材料需要、原材料価格、為替、設備投資などによって業績は変動する可能性があります。投資判断を行う際は、必ず最新の公式IRをご確認ください。

京都企業として見る第一工業製薬

第一工業製薬は、京都企業を考えるうえで興味深い存在です。

任天堂のような一般消費者向け企業ではありません。

村田製作所やTOWA、三洋化成工業などと同じように、最終製品の「見えない部分」を支えるBtoB企業です。

特に共通するのが、

  • 長い歴史
  • 独自技術
  • 研究開発
  • 特定分野での高い専門性
  • 一般消費者からは見えにくい製品

です。

一方、第一工業製薬には、

「規模を追わず独自性でトップへ」

という明確な戦略があります。

この発想は、巨大企業と同じ商品で価格競争するのではなく、自社にしか作れない高付加価値材料を深掘りする京都企業らしい戦い方の一例と見ることができます。

京都企業が世界で強い背景については、京都企業はなぜ強い?世界で戦う技術企業が京都に集まる理由もあわせてご覧ください。

企業文化シリーズで見る第一工業製薬

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第一工業製薬 品質第一・研究努力・こたえる、化学。・ユニ・トップ この記事

よくある質問

第一工業製薬は何の会社ですか?

京都に本店・本社を置く化学メーカーです。界面活性剤を技術の原点として、現在は電子材料、電池材料、ウレタン、難燃剤、食品・化粧品材料、ライフサイエンス関連など幅広い製品を手がけています。

第一工業製薬は製薬会社ですか?

現在の主力事業は一般的な医薬品メーカーとは異なり、工業用化学品や高機能材料です。創業時も、繭から絹糸を取り出しやすくする工業用薬剤を製造していました。

第一工業製薬の企業文化を表す言葉は?

創業以来の社訓「品質第一、原価逓減、研究努力」が企業文化の原点です。現在は「『こたえる、化学。』で価値を創出し続ける」を経営理念とし、「規模を追わず独自性でトップへ」というユニ・トップ戦略を進めています。

第一工業製薬の強みは?

界面制御技術を核に複数の技術を組み合わせ、顧客用途に応じて材料を最適化できる研究開発力が強みです。現在はハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料や電池材料も成長しています。

ユニ・トップとは何ですか?

規模の大きさだけを追わず、独自性の高い技術・品質・サービスを組み合わせ、特定領域で顧客からトップクラスに評価される存在を目指す第一工業製薬の戦略です。

第一工業製薬の平均年収はいくらですか?

2026年3月期の有価証券報告書では、単体の平均年間給与は8,054,710円です。平均年齢41.4歳、平均勤続年数15.6年となっています。

第一工業製薬の最新売上高は?

2026年3月期の連結売上高は828億86百万円です。2027年3月期については、2026年7月29日時点で売上高970億円を会社が予想しています。

第一工業製薬の将来性は?

生成AI・データセンター向け低誘電樹脂材料、リチウムイオン電池材料などが大きな成長機会です。一方で、電子材料市場の需要変動、約100億円規模の設備投資効果、原材料価格、為替なども確認する必要があります。

まとめ|第一工業製薬の企業文化は「研究して、化学でこたえる」こと

第一工業製薬は1909年、京都の小さな納屋から始まりました。

最初に作ったのは「蚕繭解舒液」。

繭から絹糸を効率よく取り出すための工業用薬剤です。

当時の日本を支えた絹産業の課題に、化学でこたえたことが会社の出発点でした。

1918年には第一工業製薬株式会社を設立。

その年には試験室も設置しました。

翌年には研究奨励規定。

さらに発明者表彰規定。

研究開発を企業成長の中心に置いてきました。

社訓は、

「品質第一、原価逓減、研究努力」

です。

その後、界面活性剤や合成洗剤、CMC、ウレタン、電子材料などへ事業を広げてきました。

現在の経営理念は、

「『こたえる、化学。』で価値を創出し続ける」

です。

そして戦略は、

「規模を追わず独自性でトップへ」

という「ユニ・トップ」。

大企業と同じ商品を大量に作るのではなく、自社にしかできない機能で顧客から選ばれる。

現在、その戦略を象徴する製品の一つが、ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂材料です。

生成AIやデータセンターの成長によって需要が拡大し、2026年7月には約100億円の供給能力増強投資も決定しました。

2027年3月期第1四半期は、売上高275億1百万円、営業利益51億17百万円。

営業利益は前年同期の約3倍です。

通期営業利益予想も125億円へ引き上げられ、SMART 2030で当初掲げていた2030年営業利益100億円をすでに上回る水準になっています。

100年以上前。

蚕糸産業の課題に化学でこたえた会社が、現在はAIサーバーや次世代電池の課題へ化学でこたえています。

対象となる産業は大きく変化しました。

しかし、

研究する。

品質を高める。

顧客の課題を理解する。

新しい技術でこたえる。

という基本姿勢は変わっていません。

「研究努力」を続け、独自技術によって産業の課題へ「こたえる」。

そこに、京都企業・第一工業製薬の企業文化を見ることができます。

この記事の要点

  • 第一工業製薬は1909年に京都で創業
  • 1918年に第一工業製薬株式会社を設立
  • 本店は京都市下京区、本社は京都市南区
  • 東証プライム上場、証券コード4461
  • 創業製品は蚕繭解舒液
  • 社是は「産業を通じて、国家・社会に貢献する」
  • 社訓は「品質第一、原価逓減、研究努力」
  • 1918年から研究を重視
  • 界面活性剤を核とする界面制御技術が強み
  • 現在の経営理念は「『こたえる、化学。』で価値を創出し続ける」
  • 「規模を追わず独自性でトップへ」というユニ・トップ戦略を推進
  • 電子・情報、環境・エネルギー、ライフ・ウェルネス、コア・マテリアルの4事業
  • AIサーバー向け低誘電樹脂材料が成長
  • 電池材料も成長分野
  • 2026年に低誘電樹脂材料へ約100億円の増産投資を決定
  • 2026年3月期売上高828億86百万円
  • 2026年3月期営業利益101億7百万円
  • 2027年3月期1Q売上高275億1百万円
  • 2027年3月期通期売上高970億円・営業利益125億円を予想
  • 平均年間給与は約805万円

第一工業製薬の公式情報会社概要については、第一工業製薬公式・会社概要をご確認ください。

創業から現在までの歴史については、第一工業製薬公式・沿革をご確認ください。

経営理念については、第一工業製薬公式・経営理念をご確認ください。

SMART 2030については、第一工業製薬公式・中期経営計画をご確認ください。

最新の決算・株式情報については、第一工業製薬公式IR情報をご確認ください。

採用については、第一工業製薬公式採用サイトをご確認ください。

ご利用にあたっての注意この記事は2026年9月3日時点で確認できる第一工業製薬公式サイト、公式IR資料、有価証券報告書、中期経営計画、適時開示資料などをもとに作成しています。業績予想、設備投資、平均年間給与、配当、採用条件、中期経営目標などは今後変更される場合があります。就職・転職・投資などの判断を行う場合は、必ず最新の公式情報をご確認ください。

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